第2回シンポジウム(平成13年度)

テーマ:これからの学校教育と教員養成カリキュラム−公教育を支える「大学」を考える

【プログラム】
 1.日時 :平成14年1月26日(土) 13:30〜17:00
 2.場所 :東京学芸大学・中央講義棟C402教室
 3.主催 :東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター
 4.後援 :東京都教育委員会・小金井市教育委員会・小平市教育委員会
        国分寺市教育委員会

 第T部 シンポジウム
       司会 教員養成カリキュラム開発研究センター長     高城 忠
           教員養成カリキュラム開発研究センター助教授  岩田康之 

  @東京学芸大学長挨拶                         岡本靖正
  A教員養成カリキュラム開発研究センター              高城 忠
  Bシンポジスト及び提案内容
     1)初中等教育と高等教育の接点に立つ予備校から見えるもの  
                     丹羽健夫(河合文化教育研究所長)
     2)変動期の教員養成教育を支える大学改革
          −教員養成大学への期待と課題−
                     羽田貴史(広島大学高等教育研究開発センター教授)
     3)大学と教育委員会との連携体制
                     齋藤尚也(東京都教育庁指導部長・客員教授)
  C質疑応答
        ・指定討論者 天野和雄(東京都品川区立上神明小学校長)

 第U部 特別講演
  テーマ:「アメリカの教員養成プログラムの事例研究」                     
         −ミドルテネシー州立大学における教師教育カリキュラムから−
         ”The Teacher Education Curriculum at Middle Tennessee University”
  演 者: ジェイン L ウィリアムズ博士 (Jane L. Williams, Ed.D)
         教員養成カリキュラム開発研究センター客員教授
         ミドル・テネシー州立大学教授
  通 訳:冨田祐一(大東文化大学教授)

【概要】

1 趣旨
 前年度(2001年3月17日)に行った設立記念シンポジウム「これからの学校教育と教員養成カリキュラム」の後、これを本センターの事業の一つとして継続的に取り組んでいくこととなった。その際「これからの学校教育と教員養成カリキュラム」のテーマのもとに各回ごとに絞り込んだテーマを設定していくこと、また、毎年度の外国人客員教授による特別講演を、このシンポジウムにつなげて行うことなどを基本方針として確認した。
 今回は、折しも教員養成系大学・学部の組織的な統合再編、さらに「遠山プラン」「TOP30」構想下でのサバイバルが取り沙汰されている「大学」のあり方を問うことを中軸に据えることとし、公教育の「外側」から丹羽健夫氏(河合塾顧問・河合文化教育研究所長)、養成系大学と政策動向との関わりで羽田貴史氏(広島大学高等教育研究開発センター教授)、行政施策との関わりで齋藤尚也氏(本センター客員教授・東京都教育庁指導部長)のお三方に提案をお願いした。また、開催にあたっては東京都・小金井市・小平市・国分寺市の各教育委員会からの後援を得た。当日は学内外から約80名の参加を得た。

2 内容
 岡本靖正・本学学長および高城忠・センター長の挨拶に引き続き、提案者の紹介が行われ、丹羽−羽田−齋藤の順で提案がなされた。司会は高城忠センター長とセンター助教授の岩田康之が務めた。「初中等教育と高等教育の接点に立つ予備校から見えるもの」と題された丹羽氏の提案においては、大学受験の様相が変化し、「納得型」の若者が減って「理解型」が増えてきたという認識が示され、そうした中で教員養成系大学・学部の人気が低下している状況が指摘された。続いて提案にたった羽田氏は「変動期の教員養成教育を支える大学改革―教員養成大学への期待と課題―」と題して、高等教育政策全体が変動する状況の指摘と、そうした中でいわゆる「教員養成系大学・学部」が今後その独自性を打ち出していくための戦略の提案がなされた。これらを受ける形で齋藤氏が「大学と教育委員会との連携体制」と題して、主に教員研修における大学の役割に関しての提案を行った。その後、フロアを交えた討論に移り、予備校と大学との関係、近年の若者の知的状況の捉え方等をめぐって、活発な質疑が交わされた。
 続く特別講演においては、本センター客員教授のウイリアムズ博士より、テネシー州の教員免許制度と、その下におけるミドルテネシー州立大学の教師教育プログラムについての詳細なケース・スタディの報告があった。これに関しても、フロアーを含めての活発な質疑応答がなされた。

3 課題
 フロアー参加者は大半が学外の方であり、本センターのシンポジウムも、2回目にして徐々に外部の認知を得つつある様子がうかがわれる。今回の参加者にアンケートを採ったが、おおむね好評だったようである。しかしながら、テーマの絞り込みの不足や、時間の短さ、司会の不手際などに関しての批判も同時に見受けられ、今後の課題を残した。
【付記】
なお、シンポジウム及び特別講演の内容は「東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研究センター・第2回シンポジウム記録集」として印刷製本しています。ご入用の方は、currict@u-gakugei.ac.jp までご連絡ください。郵送料実費にてお分けいたします。