第1回 2001年10月 8日

第1回教師教育実践交流ワークショップ
テーマ:「教職の意義等に関する科目」の実践と課題

1 実施の目的
 本ワークショップは、各大学でとりくまれている教師教育の理念や実践を交流することを通して、大学における教員養成の質的向上に寄与することを目的として企画された。
 今回は教師教育カリキュラムの中でも特に、教職科目に焦点をあてた。具体的には教免法改訂で新たに加わった「教職の意義等に関する科目」をとりあげ、実際の授業内容や教育方法、評価の方法や現在の課題などを交流することを目標とした。したがって、可能な限り具体的な実践記録や資料を持参して参加していただくよう呼びかけをおこなった。

2 実施の概要
 2001年10月8日(祝日)午前10時から13時まで、東京学芸大学20周年記念館にて実施された。全国から21名の参加者を得た。多くの参加者から、各自の当該授業のシラバスや配付資料などの詳細な資料が配付され、大量の資料が交換された。
 議論の出発点として、平野朝久氏(東京学芸大学)、大谷奨氏(摂南大学)、高橋陽一氏(武蔵野美術大学)に基調報告を御願いした。各氏から、それぞれの大学カリキュラム全体における当該講義の位置づけと、当該講義の実践の様子を1時間半にわたって報告していただいた。三氏の報告によって、国立教員養成系大学、私立総合大学、私立単科大学など、教職課程のおかれる状況によって、当該授業の位置づけや評価も大きく異なっている実情が明らかになった。平野氏からは、当該授業が複数設置され、それぞれが異なる教官によって担当されていること、教職への動機付けをはかるために、大学周辺の公立小学校を訪問する機会を設け、一冊百円の専用ノートを作成していることが報告された。一方、大谷氏からは、少数のスタッフで教職課程を運営する困難さや、主専攻の講義に加えて教職課程を履修する学生達の負担への考慮などが語られ、具体的なビデオ教材などの紹介があった。高橋氏からは、美術教師志望の学生を対象にした教職課程テキストを編集であるとの報告がなされ、同時に単科大学における教職課程カリキュラム改革の困難さについても言及があった。その後、二つの小グループに分かれ、各参加者から基調報告者にむけての質疑応答や、各参加者の実践報告など、積極的な議論がおこなわれた。

3 参加者のアンケートから
 多くの参加者から「他の大学の実情がよくわかった」「ざっくばらんに話し合える雰囲気がよかった」との感想が寄せられ、少人数で膝を交えての議論を実現させたことに高い評価をいただいた。アンケート回答者全員から、来年度以降も年一回以上のペースで同様の企画を継続してほしいとの希望も寄せられた。内容に関しては、「文字通り教育実践の交流を」「参加者の実践の様子をさらに聞きたかった」「半日の企画ではなく一日の企画にしてほしかった」などと、一層具体的な教授内容や方法に関する情報交換を求める声が聞かれた。今後の企画に関しては、「総合演習について」「教育実習のテキストについて」といった具体的なテーマに関する要望が寄せられたほか、議論だけでなくビデオやOHPも使って実際に模擬授業をおこなってはどうか、などの意見も聞かれた。