モンゴル国では1990年以降、市場経済化による経済の混乱やソ連邦からの援助停止により財政が逼迫した。これらの要因が複合して教育分野においても教員の質の低下、専門教育の未発達、教材や設備が十分でないなど様々な問題が生じており、特に教育行政能力の向上及び地方教育行政に携わる人材の育成が求められている。
また、2005年から「新教育スタンダード」が導入され、10年制から12年制に変更されると共に入学年齢も8歳から7歳に引き下げられた。新教育スタンダードでは、アカデミックな知識の記憶を主とする従来型の教育から児童中心型の教育への移行が目指されているが、現場の教師に真意が正しく伝わらないという問題が生じている。
教育制度の改革に伴い、教育省はモンゴル国立大学・教育大学と共に「初等教育」「理科教育」「数学教育」「 IT教育」の4つの指導法研究センターを設置し、各センターで指導法の開発が行われている。このような中、モンゴル側からこれらセンターに対する指導法改善の支援について要請がなされた。
(モンゴル国子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクトの概要(2006年10月4日)から抜粋・要約)



本プロジェクトは、4つのセンターに基づいた8つの分野のワーキンググループが、モンゴル国の初等及び中等教育で学習者主体の学習を実施する具体例を盛り込んだ指導書を作成・評価し、普及させる事業である。本学では、専門家の属する大学内の関係教員のみならず、附属学校教員との組織的な連携を図ることによって、理論と実践の両面から本プロジェクトを支援する。

・コーディネーター:高畑弘
・専門家の構成:犀川政稔、鎌田正裕、福地昭輝(理科)
高畑弘(算数・数学)
篠原文陽児(IT教育)
浅沼茂(総合学習)、戸田孝子(総合学習) 計7名
・専門家をさらに支援する関係講座、教室等
理科、算数・数学、IT、総合学習に関しては、関連講座・分野・教室及び教員養成カリキュラム開発研究センターが支援する。授業公開として、附属学校および他の国公私立学校の協力も得ている。2006年度は、モンゴル語(国語)及び図画工作の研修者も同行した。専門家の派遣はないが拡大して支援を行った。
・事務組織:国際課 学系支援課
・コーエイ総合研究所より3名(プロジェクトメンバーとして共同で作業を進める)