在来種・外来種タンポポの生育地分布調査

この調査が出来るのは、タンポポの開花シーズンに限られますので、春を中心に行います。地方によって前後しますが、関東地方では例年、4月中旬から5月上旬が最適期です。

1.在来種と外来種の区別のしかた

2.在来種外来種タンポポの生育地分布調査

3.調査票

4.タンポポ調査の意義


1.在来種と外来種の区別のしかた

在来種と外来種の区別には、花を包んでいる緑色の部分を見ます。外側の緑色の皮のような部分がめくれて反転し下に垂れているのが外来種、めくれないのが在来種です。たまに、どっちつかずの花が見つかることがあります。その時は、花を紙の封筒に直接入れてアドバイザーに送ってください。調べて、ご返事します。この調査は、タンポポの花がないとできません。それで、この調査は春にやってください。

外来種のタンポポ

在来種のタンポポ


白い花のタンポポはややめくれ加減ですが、在来種のシロバナタンポポです。

シロバナタンポポ

シロバナタンポポ

九州から関東あたりまで生えていますが、本州では大変少ないので、この調査では黄色い花をつける在来種を対象とします。ただし、黄色の花の在来種タンポポが少ない九州四国地方では、シロバナタンポポを対象としてもかまいません。


2.在来種外来種タンポポの生育地分布調査

在来種・外来種タンポポはそれぞれどんなところにはえているのでしょうか。両種の生育地を調べ、生育地がどんなところか比べてみましょう。在来種と外来種は同じところに生育していますか、それともちがうところに生育していますか?生育地にはでれくらい、また、どのように人の手が加わっていますか?考えてみましょう。

どこで調査するの?

<調査地点の決定>

調査地点を選ぶとき、行きやすい場所にだけ行ったりとか、在来種タンポポがありそうな場所ばかりに行ったのでは、両種の生育地のちがいを比べてみることができないし、また、調査した地域での在来種と外来種の割合を正しく知ることができません。そこで調査地点はできるだけ無作為に選ぶ必要があります。また、他の学校と調査結果をくらべてみるためにも、調査地点を選ぶ手順を同じにしておいたほうが都合がよいですね。そこで、このプログラムでは、次のような調査地の選び方を提案します。
まず手始めに学校のまわりを調査してみましょう。自分たちの住んでいる地域の地図(1/5000、1/2500都市計画図など)を用意し、地図上で、学校のまわり1km四方を直線で囲んでください(1kmが地図上で何センチにあたるかは、地図の縮尺によって異なります)。これが調査範囲になります。次に、線で囲んだ1km四方の内側に縦横250mおきに直線を引いてください。線の交点が調査地点になります(調査地点にはあらかじめ通し番号をつけておきましょう)。下に例を示しておきました。参考にしてください。


*地図について:1/5000、1/2500縮尺の地図は、たいていは、町役場や市役所で買うことができますが(1枚300円くらい)、東京都のように商店に委託して販売している場合もあるようです。町役場、市役所、区役所(土木課、都市計画課)などに問い合わせてみましょう。また、地図は1/10000地形図を用いることもできますが、やや見にくいかもしれません。


*学校のまわりの調査がすんだら、ほかの場所でも調査してみましょう。例えば、学校が大都市の中心部にある皆さんは、次は郊外の緑の多いところで調査をして、結果を前と比べてみるとおもしろいでしょう。そのときも調査地点の選び方の手順を前と同じにしておくと、結果を比べてみるのに都合がよいですね。

どうやって調査するの?

<調査地点について>

地図をみながら調査地点まで行ってください。調査地点に着いたら、まずまわりを見渡してください。そこが広い場所(公園、校庭、田んぼなどetc.)だったら、自分の立っているまわり10m*10mくらいの範囲を目安にタンポポを探してください。町の中だったら、次のかどまで(20mくらい)歩いてみてください(タンポポを探す広さは、あくまでも目安なので、その場所の様子に合わせて増減してください)。
なお、調査地点が立ち入りできない場所(例えば、基地の中、湖の上など)の場合は無理をせず、そのことを調査票に書いておいてください。

<調査の手順>

調査地点では以下の手順に従ってタンポポの有無を確かめてください。また、調査票の記入は必ず現場で行ってください。タンポポがはえていないという情報も大切です。タンポポがない場合も調査票の記入は忘れずに。


調査票

タンポポがないという情報も集めていますので、タンポポの有無にかかわらず記入してください。

1.調査年月日

調査者の住所

調査者の氏名

2.調査地点について

2-1.調査地点の地番

2-2.調査地点の様子(2つ以上選んでもよい)

a)家の庭 b)児童公園など c)庭園 d)寺社の境内 e)墓地 f)土堤 g)石垣 h)路傍 i)校庭 j)グラウンド
k)空き地 l)耕作地(へりも含む) m)休耕地 n)果樹園 o)雑木林 p)牧草地 q)線路ぎわ r)駐車場 s)水田
t)湿地 u)造成地 v)河原 w)その他(具体的に)

3.調査地点のまわりのようす

調査地点は、どんな地域に含まれますか(2つ以上選んでもよい)

a)工業地帯 b)商店街 c)オフィス街 d)古くからの住宅地 e)新興住宅地 f)農村田園地帯 g)山林など

4.タンポポについて

4-1.タンポポが a)ない 4-5に記入してください。
b)ある 4-2以下に記入してください。

4-2.みつけたタンポポは次のうちどれですか。あったものすべてを選んでください。

a)日本のタンポポ(黄花) b)外来のタンポポ c)シロバナタンポポ d)種類がわからないタンポポ

4-3. 4-2で、aとb両方を選んだ場合、どちらが多いかについて教えてください。

a)日本のタンポポが圧倒的に多い b)日本のタンポポがやや多い c)半々ぐらい
d)外来のタンポポがやや多い e)外来のタンポポが圧倒的に多い

4-4.タンポポの生え方はどのようですか。異なる種類のタンポポも、いっしょに考えてください(ただし、シロバナタンポポは対象としません)。

a)非常に少ない(1-数株) b)調査した場所にまばらにある c)道沿いなどに、線状に点々とある
d)小さなかたまりをつくっている e)道沿いなどに帯状にずっと続いてたくさんある
f)調査した場所にたくさん群れている g)広い範囲にたくさん群れている

5.調査地点の管理(手入れ)や利用のされ方、また現在の土地の状態になったのはいつごろからか、わかったら教えてください。その他、気づいたこと、感想など。


結果の整理方法

1) それぞれの調査地点で、在来種・外来種のどちらが多かったかを地図上に表してみましょう。下の図を参考にしてください。この図では、タンポポの群落の大きさを小・中・大の3段階に分けて、また、在来種・外来種のどちらが多かったかを、6つの場合に色分けして示してあります。ここで注意してほしいことは、この色分けの仕方を、タンポポ調査に参加している皆さんのあいだで統一してほしいということです。それぞれがバラバラの色を使っていたら、データを交換した時にとても見にくいですからね。ですから、データをインターネットで送りあう前に、どのような色分けにするかを皆さんで話し合って決めておいてください。

2) 在来種・外来種・タンポポなしについて、それぞれどんなところに生育しているかをまとめてみましょう。

3) インターネットを利用して、他の地域で行った調査結果とくらべてみましょう。

必要な道具

調査票。 現地へ行くための地図。まとめのための地図。筆記用具。カメラなどがあると記録に便利。


4.タンポポ調査の意義

先生がたへ:タンポポが生育する場所は、人間の影響を強く受けるところです。そして、在来種タンポポは、田園的土地利用や古くから保存されてきた場所に、外来種タンポポは、開発されたり共存植物があまりない場所に主に生育するという特徴があります。東京都の区部では、昔から保存されて来た庭園などに、在来種タンポポが群生するのにしばしば出会うことができます。こうした分布実態(すみわけ)から、両種が人間による土地への干渉の質の違いに応じて生きていることに気付かせてください。都市の中心部など在来種タンポポがない地域では、他所の在来種生育地の情報を、ネットを通じて受け取り、在来種タンポポのようすを知ることが可能となるでしょう。さらに、在来の動植物のすみかと外来種の侵入場所などへの一般化、人間による自然の改変、自然保護を考える契機ともなるでしょう。


タンポポのホームページへもどる