【目的・目標】
本事業では,学校現場の理数科教育を支援し,小学校教員授業力を高めるとともに,実験指導助手として派遣される技術者・研究者等に研修・研鑽の場を提供し,実験指導助手の質を保証するシステムの構築を目的としている.この事業への大学院生・学部生の参加や,事業の成果を積極的に大学における理数科教育の授業へ還元することにより,実践的な理数科教育力を持った小学校教員を養成することも目的としている.
この目的を達成するために,第一に,理科教育振興法で規定されている実験機器・器具類や実験・観察に必要な試薬・材料や教材を整え,学校現場に近い教育環境の教育・研修ラボを構築し,実験指導助手となる人材に対し実験・観察の指導に関する研修を行う.実験指導助手研修では,他で構想されている人材バンク等の人材も対象とするが,本学名誉教授や学生,教育界で活躍してきた同窓生や多摩産業活性化協会等を通し地域の産業界とも連携して独自の理数科教育を支援する人材の確保も行い,必要に応じこの人材も対象とした研修も行い,実験指導助手の質の保証を行う.多様な研修を可能にするために,教材資料の収集とそのデータベース化も行う(図1).
(クリックで拡大します)
第二としては,学校現場で必要としている教材の開発等を大学の授業に取り入れるとともに,大学院生・学部生を理数科教育支援システムに参加させ実験指導助手やTAの経験をさせることにより大学院生・学部生の実験・観察を中心とした実践的教育力を高め,理数科教育に強い小学校教員を養成し教育界に送り出すことにより,学校現場での同僚性の確保を図る.教材開発を積極的に行うために,学校現場からの要請に基づく教材の開発や学校現場では開発しにくいナノサイエンス等の先端科学技術教材の開発を行う教材開発ラボを構築する.ここで開発した教材は,広く学校現場に提供する.
第三は,本学では現職教員研修を継続的に行ってきているが,教員個々の実験・観察力の飛躍的向上を図るために,理科教育振興法に規定されている実験機器・器具類を整備した教育・研修ラボを活用し,個別指導に近い少人数での短期集中型の現職教員実験・観察研修を行う.
以上の事業を展開して,理科が分かり実験・観察に強い小学校教員を少なくとも全教員の30%に増やすことを目的とする(図2).
(クリックで拡大します)
ページのトップに戻る
【必要性・緊急性】
世界の先進国の中でも我が国の中・高校生の理科嫌いは突出しており,これは理科嫌いが既に小学校段階から始まっているためとの指摘がある.科学技術立国としての発展を目指す我が国にとって憂えるべき事である.小学校段階で理科離れを生む原因の一つは,小学校教員自身の理科嫌いとそれに起因する実験・観察への苦手意識と言われている(図3)(図4).小学校では,大学時代に理科(理科教育)を専攻してきた教員が5%に満たず残りの教員は文系出身者ということに問題があろうが,小学校が全科担任制の現状では理科系出身者の採用を優先するのは難しい.現在の小学校では少子化が進み1年生が2〜3学級というところが多く,これに伴い1校当たりの教員数も減ってきている.小学校の理科教育を充実させるには,1学年の学級担任のうちの一人は理科が分かり,同僚教員に対して実験・観察の指導・助言を行うことができる教員とし,理科の授業に積極的に実験・観察を取り入れていかなければ,児童・生徒の理科嫌いを払拭することは難しい.同僚教員に対して実験・観察の指導・助言を行うことができる教員を1学年に最低1名確保し教員理科教育力を底上げするためには,理科が「わかる」教員を少なくとも30%に増やす必要がある.これは科学技術立国を目指す我が国にとって緊急性の高い課題である.
ページのトップに戻る