玉島町並保存基本計画調査報告書
Historic Buildings Survey in Tamashima
前野研究室では平成2年度からベースキャンプを町のなかに設け3年間の予定で実測調査に入った。玉島は岡山県倉敷市の西部に位置する。かつては瀬戸内海に点在する島々でしかなかった遠浅の海を17世紀半ばからの新田開発のための干拓をして成り立った港湾都市である。当時の大阪を中心とした海洋交通体系に占める一は大きく、物流の集積地、中継地として繁栄した。戦後の急速な時代、社会基盤の変化に伴い、かつての水際空間が失われつつある。
□前提として
町並み調査などでは、私たちは単純な測量作業や机上での数字(文字)の調査によって都市のフィジカルな情報を比較的たやすく得ることができる。それに対して目に見える表層的な形を支配してる都市の意志(情報としての意図)は、建築的な様式、形態のみ追跡に加えて、多様な次元での要素を関連的に把握しなければならない。
□体験的方法
つまり真に有効な調査の方法としては"日常"、"生活"を通り抜けることによっておぼろげなその全体像を知ることが肝要になる。そして、それを実行するためには、あくまでも部外者としてのスタンスを崩さない程度の"分"をわきまえて、共同体の中での名誉部外者たる微妙な位置をしっかりと自覚し、バランス感覚をもって振る舞うことが必要となる。
有形無形に関らず今この時点で存在する日常生活の作法をも把握し、そのテキストを伝統的な空間、領域を認識・知覚・構築するための背景・モチーフ・プロトタイプとして保存・継承・活用・再生産していくことが大切である。
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