本校の美術科では、制作での手応えや仲間とのコミュニケーションを通して、自分自身が積み重ねた経験や実感によって新たなみかたを紡ぎ出していく「生徒が築く美術」をねらいにしています。３年間の活動を積み重ねながら生徒ひとり一人が自分にとっての「アートとは」という考えを構築し、探究しながら、自己の価値観を培える場としての授業をめざしています。「美術の教育」そして「美術を通しての教育」という観点から、えがくこと、つくること、あじわうことを経験し、自分と対峙し理解を深め、自己表現の術を知るとともに、社会に必要な「自分と他との関係性」について題材を一つの機会として考えていきます。ここで言う「自分と他との関係性｣とは、自分以外の他者の存在や素材（材料）、モチーフ、表現技法、テーマ性など、対峙する対象を通して、自分にとってより豊かな生き方とは何か、より豊かな社会とは何かについて向き合う姿勢です。そして、美術を通して、深い学びに繋がるための「学び問い続ける力」を育ませていきたいと願っています。
課題は表現活動や鑑賞活動の相互性を持ちながら取り組んでいきます。表現活動では作品そのものの仕上がりだけに留まらず、制作の過程の中で自身が抱く思索や葛藤にも活動の価値を見出してほしいと考えています。また、鑑賞活動においては、対象についてのみかたを仲間と共有したり差異を感じたりしながら深化し拡張し合いながら、自己の考えを培い伝えられる力を養わせていきたいです。