緊急提言について:はじめに
松尾直博(東京学芸大学 教授)
コロナウイルスの感染拡大は、世界中の教育に大規模で長期にわたる影響を与えています。我々は、本プロジェクトで得られた知見を参考に、特にエージェンシーを育むという視点から、教育に関わる様々な人に提言をしたいと考えました。
そのひとつの理由として、ウイズ・コロナ、アフター・コロナ時代において問題を打開し、新たな教育を生み出していくためには、エージェンシーが鍵となると考えられるからです。例えば、ICTを用いた授業・遠隔授業が児童生徒にとって受動的な学びに留まるのか、それとも能動的な学びの起爆剤となるのかは、エージェンシーを育むことが重要になります。
もうひとつの理由として、コロナウイルス感染拡大下においては教育において様々な制限が求められ、それがエージェンシーを育む教育への大きな障壁となる可能性があるからです。制限がある中でも、工夫をすればエージェンシーを育て、児童生徒が個人や社会のウェルビーイングに向かって行く力を養うことは可能です。
ここで示すのは、国際的な視点からの提言、道徳教育からの提言、特別活動からの提言です。なお、エージェンシーの概念自体についてまず理解を深めたい方は、このwebページで示しているマンガや研究論文に目を通していただければと思います。
この提言を参考に、今の時代に求められる新しい教育を発展させていただければ、大変嬉しく思います。