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「道徳授業パワーアップセミナー」(第2回) のご報告
それぞれ講話や協議では次のようなことが話題となり議論となりました。
まず、本学の担当よりの挨拶と本プロジェクトの概要の説明を行い、その後、赤・青カード(Yes/Noカード)を用いて参加者にいくつかの質問がなされました。それによれば、昨年度に続き、今年度も参加された方が30名ほど含まれていることがわかりました。 それぞれのプログラムにおいて、話題となり、また議論となったことの概要は以下のとおりです(敬称は略しています)。なお、詳しい内容は当日配布した冊子(全80ページ)にそのレジュメや実践資料、参考資料等が掲載されています。 まず最初に、本学の教員による2つの角度からの道徳教育に関する講話がなされました。
10:10 |
講話① 道徳教育新時代、いま求められる道徳授業
(永田繁雄・本学)
◇ |
大きな災害などの出来事の中で、心の教育・道徳教育をどう進めるか |
1 |
子どもたちの「心の危機」を「生きる力」の問題としてとらえる |
2 |
子どもに育みたい「自己を開発する力」とはどういうものか |
3 |
新しい学習指導要領が求める道徳教育・道徳の時間の充実 |
4 |
豊かな道徳的学びで価値の自覚を「生き方」につなげる授業にしよう |
5 |
道徳授業の「壁」(?)を可能性の「扉」に変えていくために、いま考えたいこと |
◇ |
子ども自身がもつ伸びる力を引き出すために |
|
11:40 |
講話② 心の危機を乗り越え、新しい道徳教育を拓く
(松尾直博・本学)
1 |
四つの痛み |
: |
フィジカル・ペイン、ソーシャル・ペイン、メンタル・ペイン、 スピリチュアル・ペイン |
2 |
ストレングス・モデル |
|
|
: |
困難な状況にある人でも長所や強みがあり回復力もある。 支援者はそこを支える。 |
3 |
リカバリー |
: |
困難を抱えていても希望を見つけ、生活の中に意味を見いだして生きていけるようになること。 →道徳の副読本にはリカバリーの要素が含まれている! |
4 |
ナラティブ |
: |
語ることで自分自身を作り直していく。 →道徳の時間もナラティブの機会になる可能性がある! |
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続いて午後の前半は、最初に小・中学校の道徳教育実践家3名の先生より、実践をもとにした道徳授業づくりに関する提案をいただき、協議を深めました。 各先生からは次のような提案(ここでは柱立てのみ)がされました。
13:10 |
提 案 : 私の道徳授業
コーディネーター:長谷 徹(東京家政学院大学)
提案①
自己のあり方・生き方について語り合うことを、児童と教師が共に楽しむ道徳授業を目指して
野村宏行 (本学附属大泉小学校)
1 |
道徳授業で大切にしている3つの視点(+1) |
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(1) |
教師が児童と語り合うことを楽しむ姿勢をもつ |
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(2) |
「発問」と「予想される児童の考え」を吟味する |
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(3) |
児童の思いが響き合うことを大切にする
(+1) |
児童一人一人を励ます・認める時間に
—「道徳カード」でのやりとりを通じて — |
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2 |
実践事例(第3学年) |
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○ |
主題名 努力を重ねる 1−(3) 勤勉・努力 |
|
○ |
資料名 医学の道へ進みたい(野口英世) |
提案②
私が考える道徳授業改善への2つの提言
— 「子どもの力」と「交流」 —
平野美和 (福島県郡山市立桜小学校)
※最初に震災の中での子どもの様子や心のケアなどもお話しいただいた。
提言1 |
道徳の授業の質を高めるには「子どもの力」が鍵である |
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(1) |
「グループワーク」は ~話合い+共同活動~ |
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(2) |
「グループワーク」の種類と実際 |
提言2 |
道徳授業だからこそを探す ~「交流」でつくる道徳授業- |
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(1) |
小学2年生と中学2年生との交流 |
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(2) |
特別支援学級児童と通常学級児童との交流 |
授業の実際Ⅰ(小5年) |
主題名: |
誠実に |
資料名: |
手品師 |
授業の実際Ⅱ(中2年) |
主題名: |
人間の尊さ |
資料名: |
青の洞門 |
提案③
自作資料の道徳郷土資料を活用し、道徳授業を活性化させる
三浦摩利 (東京都多摩市立多摩中学校)
1 |
自作資料「花火大会」について |
2 |
インタビュー映像のDVDを作成 |
3 |
研究授業「花火大会」(第1学年) |
4 |
「花火大会」指導案
主題名「よりよい社会の実現」 資料名:「花火大会(多摩市)」 |
5 |
自作資料「花火大会」 |
6 |
ワークシートについて |
7 |
成果と課題 |
|
続いて長谷徹先生のコーディネートのもと、3名の実践者によるパネルディスカッションが行われ、参会者からコメントや質問をいただき、協議を深めました。
14:10 |
パネル討議:生き方を豊かにする道徳教育をこのように進める
コーディネーター : |
長谷徹(東京家政学院大学) |
パネリスト : |
野村宏行(本学附属大泉小学校)
平野美和(福島県郡山市立桜小学校)
三浦摩利(東京都多摩市立多摩中学校) |
【討議の概要】
○ |
子どもの力とは何か。また、子どもが主体的に生き生きと学んでいくための工夫にはどんなものがあるか。 |
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・ |
子どもが主体的に授業に取り組むには、子ども自らが問いを作ることが大切だ。 |
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・ |
子どもの力を引き出すためには、教師の効果的な発問が特に重要になる。 |
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・ |
道徳の時間だけでなく、学級づくりによって意欲的な集団を作るようにする。 |
○ |
発問と話合いは子どもだけでは成り立たないので、話したくなるような教師の働きかけとしての発問が特に重要になると考えるが…。 |
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・ |
子どもが「自分ごと」として考えられるような発問にすることが重要。 |
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・ |
子どもたちが資料の中で「こんなことを考えてみたい」と受け止める自分なりの思いが中心となるが、そこで「冒険運転」をさせる前提としての教師の問い掛けや準備が「テーマ発問」というものだと考える。 |
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・ |
ハウツー「~すればよい」という方法や行為では答えることができないような発問となることを心掛けている。 |
○ |
「道徳カード」はどう使うのか。教師と子どものやりとりにどう生かすのか。 |
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・ |
B4サイズの画用紙に4枚貼り、綴じて教師に出すこととしているのでプライバシーは保護されている。みんなで共有した方がいい道徳的価値を含むカードについてはコピーして掲示するなどして読み合えるようにしている。 |
○ |
「気持ち柱」を提案されていたが、授業の中でどのように使うのか。 |
|
・ |
言葉では同じことを言っている子どもでも、ベクトルにすると違う方向を向いていることがよく見られる。そのようなときに生かすことで、子どもたちが互いにいろいろな意見を聞くこができる。 |
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このように、子どもの主体的な学び、発問の在り方については、各パネリストの考えや取り組みの角度が少しずつ異なるところが興味深く感じられました。また、パネリストの具体的な創意工夫に学ぼうとする質問も出されました。
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