目次
理論的文脈
考えられる問題点
ハイパーテキストの特性
ハイパーテキストに内在する課題
研究課題
認知心理学においては、
1)学習とは、知識の枠組みの再構成であること。
2)知識構造は、意味論的記憶における考え(ideas) の組織化されたもの。
3)考えは、スキーマと呼ばれる。
4)スキーマは属性から構成されている。
5)属性は、個人がある考えの周辺に形成する連合であること。
6)ある考えに関するスキーマは、概念との連合に基づいている。
7)これらの概念は、意味ネットワークと呼ばれる、相互に関連した概念ネットワークに配置されている。
8)意味ネットワークは、知識構造を表現している。
9)構造的ネットワークは、ノード(スキーマ)と、これらに結び付いて序列化されラベル化された関係(リンク)から構成されている。
−−−−>上記の認知理論における学習を前提とすれば、
認知構造を評価したり、適切な知識構造を表現したりなどすることが必要である。
ハイパーテキストは、これを可能にする。
ハイパーテキスト:解
ハイパーテキストは、非線型、言い換えれば、ダイナミックなテキストである。
ハイパーテキストは、知識ベースのいかなる情報へも、直ちに接近可能とする。
ハイパーテキストは、教科の構造や著者のテキスト構造には制限を受けない。すなわち、個々人の基準で情報を取り出せる。
その基準には、
(1)個人の関心、(2)個人の興味、(3)ある情報対して好奇心を満たすこと、(4)経験の水準、(5)情報の必要性、(6)課題への意欲
などがある。
個々人の知識構造はユニークである。−−>個々人の情報へのアクセスの方法などは、また特殊である。−−>テキスト構造は個々人の制御下にあるべきである。−−>学習者を励まして、彼等にもっと意味のあるような方法で情報が探究されたり(explore)
変更(alter) されたりすべきである。
ハイパーテキストやハイパーメディアの目的(goal)は、学習者自身が知識の探索を促進させるために、電子的な環境を与えることである。
ハイパーテキストは、他のメディアとも接続される。
ハイパーテキストは、学習者にいくつかの利益をもたらす:
(1)蓄積された情報への、制限のないアクセス
(2)より意味があると制作者が考えている系列で、学習者にアクセスさせるガイドツアー(guided tour)
(3)ハイパーテキストそれ自身に内在する構造と、伝達しようとする知識構造の提示とを表現する力−−>ハイパーテキストは、意味構造に基づくノード−リンクシステムであるため、提示しようとする知識構造をかなり直接的に表現する(map)ことができるから。
学習者に関して:
(1)学習者の、ハイパーテキストによるナビゲーション
(2)(1)に関連して、ハイパーテキストのアクセス方法、飛び越しの場所、など。
(3)学習者が学習し得たことを自分の知識構造にいかに統合させるか。
(4)「多量な非線型の表現は、知的な不消化、目標の欠如(loss of goal-dirextness)、認知的エントロピーの欠如、などの危険をともなう」(Dede, 1988)などに代表される意見に見られるような認知的な負担(cognitive overhead)。
制作者に関して:
(1)ハイパーテキストの作成の開始点(方法と場所)。
(2)ハイパーテキストの構造化の方法、どんなオプションを用意するか。
1)学習を効果的にするためのハイパーテキストの構造化をいかにするか。
解:(1)経験的設計
(2)ハイパーテキストの構造化
2)いかに知識構造への接近をするか。
解:(1)意味ネットワークのソフトウェアの利用
3)ハイパーテキストの構造化のために使うべき方法は何か。
解:(1)帰納的設計方法
(2)演繹的設計方法
量的方法、意味ネットワークソフトウェア、エキスパートシステムで使用されている知的なフロントエンド処理
4)ハイパーテキストの情報と学習者の認知構造の統合化を、いかに促進させることができるか。
解:(1)意味ネットワークソフトウェアとハイパーテキストの統合
(2)エキスパートシステムのフロントエンド
(Source: Designing Structured Hypertext and Structuring
Access to Hypertext by David H. Jonassen, Educational Technology Vol.XXVIII,
No.11, November 1988 pp.13-16.)
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