Tokyo Gakugei University Centre for International Education

研究室について

私たちが社会生活を送る上で、コミュニケーション能力の重要性を疑う人はいないと思います。家族や友人と会話をするとき、学習の場である教室で先生の話を理解するとき、仕事の場でプレゼンをするときなど、さまざまな場面でコミュニケーション能力が必要とされるので、高いコミュニケーション能力を持つことは生きていく上で有利だと考えられています。しかし、実はコミュニケーション能力の発達や障害については、まだまだわからないことが多いのです。

多くの言語発達に関する研究によると、子どもの言語発達に欠かせないのは乳幼児期の大人との会話であることがわかっています。また発達心理学の研究から、乳幼児期の子どもと大人との会話は、子どもの他者理解を促進するということがわかっています。コミュニケーション能力の発達に関する研究はまだまだ少ないですが、おそらく子どもの対人コミュニケーションの発達にも、乳幼児期の大人との会話が重要な役割を果たすと考えられます。

幼児期までに育った子どものコミュニケーション能力は、児童期の教室での学習力や読解力の基礎になります。教室での学習は、先生の話の中で大事なポイントを押さえて聞く、自分でもそのポイントについて考えてみる、そして記憶する、といった活動により達成されます。この能力は、コミュニケーションにおいてよく相手の話を聞いて反応するという能力と重なります。つまり、子どものコミュニケーション能力は、効果的な学習を促進するものでもあるということです。

そのため、何らかの理由で、乳幼児期、児童期に対人コミュニケーション能力が十分に発達しなかった場合、子どもの学力が伸び悩む可能性があります。

松井研究室では、健全な学習力につながるコミュニケーション能力の育成を目指して、コミュニケーションの発達と支援に関する基礎研究をしています。

新着情報一覧を見る

2017年7月5日
以下の論文がJournal of Autism and Developmental Disordersに出版決定になりました。
Oi, M., Fujino, H., Tsukidate, N., Kamio, Y., Kikuchi, M., Yoshimura, Y., Hasegawa, C., Gondo, K.,& Matsui, T. (In Press). Quantitative communicative impairments ascertained in a large national survey of Japanese children.
2017年6月1日
2017年8月20日に「バイリンガル・マルチリンガル(BM)子どもネット」研究会「つまずく子どものためのアセスメント」で話をすることになりました。ご関心のある方はぜひご参加ください。
2017年6月1日
2017年6月17日に東京言語研究所で「ことばとコミュニケーションの発達」と題して公開講義をすることになりました。ご興味のある方はどうぞご参加ください。
2017年3月20日
フロリダ大学大学院生の須藤美緒子さんとの共同研究が、SRCDのポスター発表になります(4月6日)。
The Compensational Effect of Bilingualism on Cognitive Control in Low-Income Japanese-Portuguese Children.
2017年3月19日
以下の論文がEuropean Journal of Developmental Psychologyに出版決定になりました。
Mercier, H., Sudo, M., Castelain, T., Stéphane, B., & Matsui, T. (In press).Japanese preschoolers’ evaluation of circular and non-circular arguments.