大学教育の質保証を求める声は年々高まっており、教員養成教育を行う大学には、初等中等教育の教育基盤の整備に関わって、教員養成教育の質保証もより強く求められています。
一方、教員養成教育の質保証システムを考えようとすると、いわゆる開放制原則(多様な大学が制度上等しく教員養成教育に参画するシステム)の下、
教員養成教育を提供する大学数の多さ(学士課程段階で約600大学、1,500学部)と多様性という現実に直面します。
もちろん、教員養成教育を行う大学は課程認定を受けており、これが法令の求める条件整備の要件を満たしていることの公証となります。
一方で、大学教育の質保証は大学が教育プロセスや学習成果の保証に向けて行う努力を評価する方向に転換しつつあります。
教員養成教育についても、大学が自律的に行うそのような努力や取組みを的確に評価することがその質的向上につながる可能性は高いのです。
このような状況を踏まえ、教員養成を行う中核的な大学としての使命を担う東京学芸大学では、平成22年度から平成25年度の4年間のプロジェクト「教員養成教育の評価等に関する調査研究」事業(文部科学省特別経費(プロジェクト分))において、学士課程(学部段階)における教員養成教育の評価システムについて調査研究を行いました。 その際、教員養成教育の多様性を損なわずに評価を行うことや、大学が自律的に内部質保証を機能させることなどを重視しました。 この主要な成果が、教員養成教育の日本型アクレディテーション・システムとも言える「教員養成教育認定評価」の提案です。
前述のプロジェクトの成果を受け平成26年度より、新たにプロジェクトを立ち上げ教員養成教育を行う他大学や教育委員会等と連携して「日本型教員養成教育アクレディテーション・システムの開発」事業(文部科学省特別経費(プロジェクト分)を推進します。
本プロジェクトでは教員養成教育を行う国公私立の多様な大学と連携・協力して、これまで策定した教員養成教育認定基準やハンドブック等に基づき、「教員養成教育認定評価」を行い、そこから得られた知見に基づき認定基準や評価ハンドブック等の有効性を検証し、精緻化・一般化を図ります。
これらの活動を通じて、教員養成教育を行う大学が中心となった自律的な教員養成教育の質保証システムが確立することを目指します。