MENU

NEWS & EVENTお知らせ&イベント

第9回OECD Informal Working Group Meeting(IWG)が開催されました

2019/06/21

 2019年5月22日,23日,24日にカナダ,ブリティッシュ・コロンビア州のバンクーバーにて,OECD the Future of Education and Skills 2030事業(以下E2030事業)による第9回Informal Working Group Meeting (以下IWG) が開催され,機構から柄本健太郎講師が参加しました。

 IWGは「現在から2030年までの近い将来までに子どもたちに必要なコンピテンシー」の姿とその育成方法などを検討する国際会議であり,2015年から年2回開催されています。第9回の今回はBRITISH COLUMBIA (B.C.) EDUCATION CONFERENCEと並行開催され,22日には共通プログラムも実施されました。BC州では先住民(Indigenous people)の文化,歴史がカリキュラムに取り入れられており,空港や会場の装飾も,それらを感じられるものとなっています。


バンクーバー国際空港


IWG一日目の会場

 E2030事業のIWGの特徴としては,政府関係者や研究者だけでなく,教師や高校生・大学生が参加しているという点があります。今回も日本では,文部科学省,OECD日本イノベーション教育ネットワーク,東京大学,東京学芸大学,福井大学,日本体育大学,筑波大学,豊島岡女子学園高等学校,福井県立若狭高等学校など様々な組織からの参加がありました。
 E2030事業は2015~2018年の第一段階(フェーズ1)において「どのようなコンピテンシーが子どもたちに必要なのか」というWhatの問いを国際的に検討してきており,参加国は2015年から徐々に拡大し,現在36ヶ国を数えています。2019年からは第二段階(フェーズ2)に移行し「どのようにコンピテンシーを育成するのか」というHowの問いを扱っていく予定です。それに関連し,第9回IWGでは会期一日目にフェーズ1の成果としてラーニング・コンパス(The OECD Learning Compass 2030)というコンピテンシーの概念枠組みが発表され,同時に関連文書・動画などが統合されたE2030事業の新HP(OECD The Future of Education and Skills 2030事業)も公開されました。ラーニング・コンパスには,「生徒のエージェンシー」(Student agency),「変革を起こす力のあるコンピテンシー」(Transformative competencies),見通し,行動,振り返りのサイクル(AAR Cycle)などの概念が組み込まれています。


IWG三日目の会場


OECDラーニング・コンパス2030 (出典1)

 各国代表に対しては,国際的な枠組みに対して提案を行うとともに,自国のカリキュラムとの比較を行い,国内外を往還した議論を行うことが求められています。日本からも様々な提案がこれまでE2030事業に対してなされており,その一部はE2030事業の新HPの中に組み込まれています。例えば,以下は東京学芸大学から提供された授業実践映像です。

国語:生徒エージェンシー(Student Agency)に関する映像
(東京学芸大学附属竹早中学校 森顕子教諭(現副校長)実践)

理科:見通し、行動、振り返りのサイクル (AAR Cycle: Anticipation, Action and Reflection)に関する映像
(東京学芸大学附属世田谷中学校 髙田太樹教諭実践)

家庭科:変革を起こす力のあるコンピテンシー(Transformative competencies)の一つである、責任ある行動をとる力(Taking Responsibility)に関する映像
(東京学芸大学附属国際中等教育学校 菊地英明教諭実践)

 IWGの二日目では,「いま必要な教師像と教師コンピテンシー」や,「チェンジ・マネージメント」(カリキュラムのほか,教材,教員養成・研修など様々なものの移行)の二つについて議論されました。今後,これら二つはE2030事業における2019年からのフェーズ2で大きなテーマとなっていくことが予想されます。次回の第10回IWGは,韓国で2019年10月23日,24日,25日に開催される予定です。開催までに国内外の議論がさらに進展・深まるよう,筆者の所属する東京学芸大学 次世代教育研究推進機構では,OECDとの共同研究を軸に,関係機関と連携しながら検討を行っていきます。

 

出典1:OECD (2019) http://www.oecd.org/education/2030-project/teaching-and-learning/learning/learning-compass-2030/in_brief_Learning_Compass.pdf

お知らせ&イベント