第10回OECD Informal Working Group Meeting(IWG)が開催されました
2019/11/07
2019年10月23日,24日,25日に韓国のイルサンとソウルにて,OECD the Future of Education and Skills 2030事業による第10回Informal Working Group Meeting (以下IWG)が開催され,機構から松尾直博教授と長谷川友香特命講師が参加しました。
第10回の今回はKorea-OECD International Educational Conferenceが並行開催され,23日には共通プログラムも実施されました。オープニングでは,韓国のこれからの教育がエージェンシーを育成する方向へ大きく変化していくことを印象づける動画が上映されました。
今回のIWGでは,カリキュラム改訂をよりよい教育の実現に結びつけるために,指導方法pedagogyと評価assessmentをどのようにしていけばよいか,それぞれの国や地域の実情,課題,挑戦,成果などについて,活発な意見交換が行われました。また,生徒のエージェンシーとウェルビーイングに加えて,教師のエージェンシーとウェルビーイングについても焦点を当てるディスカッションが行われました。次回のIWGに向けては,今後ますます国内外で教師教育(教員養成や教師の職能開発)がより重要なテーマになっていくことが予想されます。 E2030事業は2015~2018年の第一段階(フェーズ1)において「どのようなコンピテンシーが子どもたちに必要なのか」という問いを国際的に検討し,前回の第9回IWGでその成果として「ラーニング・コンパス(The OECD Learning Compass 2030)」というコンピテンシーの概念枠組みが発表されました。それを受けて今回第10回IWGから本格的に第二段階(フェーズ2)に移行し「どのようにコンピテンシーを育成するのか」というHowの問いが扱われました。3日間にわたり,数多くの基調講演,パネル・ディスカッション,スモールグループ・ディスカッション,先駆的な取組をしている学校への訪問などが行われました。 E2030事業のIWGの特徴としては,政府関係者や研究者だけでなく,教師や高校生・大学生が参加しているという点があります。今回も日本では,文部科学省,OECD日本イノベーション教育ネットワーク,東京大学,東京学芸大学,日本体育大学,福井大学,国連国際学校ハノイ校,豊島岡女子学園高等学校,福井県立敦賀高等学校,福井県立若狭高等学校,神戸大学附属中等教育学校,新潟大学教育学部附属中学校,立命館宇治高校など様々な組織からの参加がありました。特にこれまでのIWG以上に,日本から多くの高校生や教師が参加し,グループディスカッションなどで活躍をしました。
次回の第11回IWGは,モスクワで2020年5月に開催される予定です。次世代のコンピテンシーやエージェンシーを育む教育の実現のためには,教員養成・教員研修が極めて重要になってきます。東京学芸大学 次世代教育研究推進機構では,教員養成の基幹大学としてその専門性を生かし,OECDとの共同研究を軸に,関係機関と連携しながら検討を行っていきます。