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OECD Education2030が主催するGlobal Forumが開催されました

2020/06/25

 2020年5月19日,20日にOECD Education2030が主催するGlobal Forum (GF)がオンラインで開催され,東京学芸大学次世代教育研究推進機構からは松尾直博教授,長谷川友香講師,柄本健太郎講師が参加しました。

 このGFは,2020 年 5 月に予定されていた第 11 回 Informal Working Group Meeting (IWG) がコロナ禍により11 月に延期されたため,Education2030プロジェクトのメンバーがつながりを維持し,プロジェクトを推進するためにオンラインでのワークショップを実施したものです。

 GFのテーマは,“Overcoming challenges in curriculum delivery during school closures and transition back to school”で,コロナ禍による学校休校中そして再開に向けて,生徒の声を中心に据えて,「生徒の学びへのアクセス」,「学びの質」,「生徒のウェルビーイング」の観点から,事前のアンケート調査等でも懸念の声が多く上がった課題を話し合い,解決策とアクション・プランを策定しました。また,議論だけでなく,生徒の声を中心に,多様なメンバーでの協働作業が実施されました。

 

 以下では,GFに参加した柄本講師の感想をご紹介します。

参加して感じたのは,第一に,「生徒の学びへのアクセス」,「学びの質」,「生徒のウェルビーイング」という3つのテーマが非常にシンプルでわかりやすい枠組みだということでした。何かしらの枠組みがあることでゼロから議論を開始する必要なく,枠組みを参照しながらさらに議論を深めることができました。

第二に,グループディスカッションで,国際・国内的なコミュニケーションのためのプラットフォームを作れば良い取り組みを紹介しあえるという話になったとき,ある生徒から「生徒が教育の素晴らしい取り組みを知るのも悪くはないが,変更するかの決断に生徒は関われない。学校の管理職が決める必要があることだ」という発言がチャットに書き込まれたのが印象的でした。生徒の声が反映されないという感覚は,反映された前例や経験がない限りは,なかなか根強いものなのではないかと考えました。日本の場合,大人の従来の答えや解決策がなかなか通用しない今の状況だからこそ,大人も生徒の意見に耳を傾けようという傾向が出てきているように感じます。

第三に,ある生徒が構造(Structure)を大人に求めていたのが印象的でした。積極的に行動する生徒であっても,自ら枠組みや場を作り出すのは,積極性かどうかとは異なる難しさがあると感じるようでした。既存の構造,場,枠組みを使うことで,負担をかけずに,状況に合わせて,色々なことができれば短期的にはいいのかもしれません。一方,長期的に考えると,既存の構造・枠組みを少しずつ変えていくというのも一つの手だと思いました。

 

 次世代教育研究推進機構では今後も引き続きOECDと連携し,生徒の学びとウェルビーイングを高めるための研究・活動を行っていきます。

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