環境教育リーダー養成講座

2013年度(平成25年度) 環境教育リーダー養成講座

平成25年度の新規登録者は、環境教育専攻だけにとどまらず、英語や日本研究などの多様な選修/専攻から17名で、昨年度からの登録者とあわせると47名となり、延べ参加者数は131名となりました。

【2012年度生第8講】まちあるき事前学習会

<平成25年4月13日(土)くにたち郷土文化館>

まちあるき事前学習会  国立市のまちづくりをテーマに次講に向けた学習会を開催しました。くにたち郷土文化館の学芸員である齊藤有里加氏に、国立の郷土史、文化、ハケなどの地勢等に関する講義をして頂き、さらに、学芸員という仕事についてのお話や郷土文化館の展示について解説して頂きました。郷土文化館周辺の崖線も散策し、湧水地点では近くの子どもが遊んでいる場面にも出会うことができました。その後、くにたち・まちづくり市民連絡会の五島宏氏に、国立市のまちづくりと市民活動の経緯についてお話頂きました。第9講のまち歩きに向けた事前学習として、さまざまな観点から国立について学ぶ機会となりました。

【2012年度生第9講】「くにたちdeまち歩き」

<平成25年4月20日(土)国立市内>

まち歩きの様子  前回第8講の学習会をふまえて、くにたち・まちづくり市民連絡会が主催した「くにたちdeまち歩き〜まちの変化を見て歩こう〜」に合流・参加しました。矢川駅から国立駅へと向かうルートを市民の方々に解説頂きながら散策しました。ルートの詳細は以下の通りです。まず矢川駅から南下し、国立第六小学校から矢川に沿って歩き、滝乃川学園の脇を通り、ママ下湧水へ向かいました。その後、青柳崖線を巡り府中用水に沿って、城山南土地区画整理事業の様子を見て、国立市古民家を見学しました。つぎに崖線を上がり、小規模開発地域を歩き、谷保天満宮に立ち寄り、谷保駅へと向かいました。その後、富士見台団地の中にある一橋大の学生が経営しているカフェここたので休憩し、大学通りを沿道の変化を確認しながら、終着点の国立駅まで散策しました。市の北部地域と南部地域の変遷の違いを街並みから実際に体感し、まちづくりにおける成果や課題などを現場から見出す力を養う内容となりました。

※ 第8講と第9講は、企画・運営にも受講生が関わり、会場手配や講師との打ち合わせなどの事前準備、ならびに当日の会場設営・進行などを担い、総合的な実践力を育む機会となりました。

【2012年度生第10講】第33回環境教育セミナー

<平成25年7月20日(土)東京学芸大学環境教育研究センター>

 センター主催の第33回環境教育セミナーを第10講として組み込みました。

 小規模自給農耕(山間地での農耕、有機農業、市民農園など)について各地の調査報告を聞き、また東日本大震災直後の食料確保について当事者の報告を聞きました。都市と中山間地における農地保全、家族や地域での食料安全保障、生物文化多様性保全について、話し合いました。

【第0講】

<平成25年5月11日(土)長池公園(八王子市)〜小山田緑地(町田市)>

フィールドワーク風景  新1年生を対象とした初めてのフィールドワークを、第0講とし、長池公園と小山田緑地を訪れました。まず長池公園自然館の内野秀重氏にインタープリテーションを実施して頂き、草花を用いた笛作りなどを体験しながら、自然と親しむ手法を学びました。次に、公園内を解説して頂きながら散策し、自然公園の管理についても説明頂きました。その後、新緑溢れる風景を堪能しながら小山田緑地まで歩いて移動しました。あいにくの雨模様でしたが、参加者からは雨の自然に触れる機会があまりないので、貴重な体験だったという声も聞かれました。

【第1講】「森づくりについて学ぼう」

<平成25年6月9日(日)東京学芸大学環境教育研究センター>

森づくりについてお話を伺う  昨年度同様、次の第2講で訪問する相模湖周辺で森林保全活動を展開しているNPO法人緑のダム北相模の石村黄仁氏(同法人代表理事)と宮村連理氏(杉並区立高井戸中学校教諭)のお二人に、森づくりの活動についてお話頂きました。NPOの活動にはさまざまな団体が関わっていますが、その中の一つである高井戸中学校の地球環境部は、現地での森林保全活動以外でも、大学をはじめとする様々な団体と連携しその活動の幅をさらに広げており、受講生とも新しい関わりを築き上げたいという提案も頂きました。森づくりを通した環境教育の実践事例を知ることができ、まだ環境教育に触れて間もない受講生にとって、具体的にイメージを膨らませることができる機会となりました。

【第2講】「森を体験しよう −森林保全ボランティア−」

<平成25年6月16日(日)若柳嵐山の森(相模湖畔)>

森を体験  こちらも昨年度同様、NPO法人 緑のダム北相模の定例活動に合流・参加しました。午前中は、スタッフの方に森の中を案内して頂き、森林の持つ機能や植生について、解説して頂きました。第1講で学んだことをもとに、午後は、高井戸中学校の宮村氏の指導の下、下草刈りを行いました。鬱蒼と生い茂っていた区域が、徐々に明るくなっていき、作業前後では見違えるほどの景色になったことで、大きな達成感を得ることができました。そのような活動の一つ一つが、森づくりの重要な役割を果たしていることを実感すると同時に、定期的な活動の重要性も認識できました。

【第3講】

 他団体主催のイベントに参加・合流する予定でしたが、諸事情により中止としました。

【第4講】「武蔵野うどんづくり」

<平成25年7月27日(土)東京学芸大学環境教育研究センター>

武蔵野の生活文化についてのお話を聞く  今井美代子氏・喜多征子氏をはじめとする小平郷土研究会の5名の方を講師に迎え、武蔵野うどんづくり体験を行いました。武蔵野うどんとは大学がある武蔵野地域に伝わる郷土料理で、一般的なうどんに比べ、麺は太く、地粉の影響で色は少し茶色がかっており、もりうどんのように、ざるに盛ったうどんをつけ汁につけて食べるものです。昨年同様、通常の小麦粉のほか、センター付設教材植物園(農園)で収穫した小麦を精麦した小麦粉も使用し、うどんづくりを行いました。うどんの生地を寝かせている時間を使い、この地域においてハレの料理としてうどんがよく食べられたことなど、武蔵野の生活文化についてお話を聞き、理解を深めました。地域の郷土食として根付いてきた生活文化を後世に伝えていくことの重要性を学ぶことができた講座となりました。

【第5講】「足尾銅山フィールド研修ツアー」

<2013年(平成25年)8月26日(月)栃木県日光市足尾町周辺地域>

研修ツアー足尾銅山  日本最初の公害といわれる足尾銅山地域を訪問する研修ツアーを実施しました。現地では、NPO法人 足尾に緑を育てる会の池野亮子氏に案内頂きました。まず足尾環境学習センターにて、池野氏に講義をして頂き、その後、センターの展示を見学しました。午後は松木渓谷を訪れ、山全体が裸地化し、岩が露出し、禿げ山となった様子を実際に確認することができました。その後、スタッフの方々の指導のもと、植樹体験を行いました。多くの団体・人々が現地を訪れ、植樹活動を行い、山の再生を図っていますが、現地スタッフの方の言葉にもあったように、まだまだ先の長い話であることを認識できました。一度破壊された自然は簡単には回復しないことを学び、その現場を人々がどのように捉え、また環境教育の素材としてどのように生かすことができるのか、深く考えるきっかけとなる講座となりました。

【第6講】「自然観察会」

<2013年(平成25年)9月20日(金)東京学芸大学環境教育研究センター>

教材植物園(農園)自然観察会  センター付設教材植物園(農園)を舞台に、小金井市環境市民会議の高橋利行氏と池竹則夫氏を講師に迎え、自然観察会を実施しました。高橋氏には主に昆虫について解説頂き、池竹氏には主に植物について解説して頂きました。またこのような自然観察会を企画するうえでの注意点なども説明頂き、自らが体験するだけでなく、実践するうえで必要な企画・運営力を養う機会となりました。今回は、広い農園の一角にある水田の周辺だけを対象としましたが、それでも多様な生物たちが関わり合いながら生息していることを説明頂き、自然界の奥深さを味わうことができました。またお二人がそれぞれ昆虫や植物のことが非常に好きで、楽しみながら学んでこられた様子が滲み出ていた講義となり、受講生もその雰囲気を間近で感じながら、楽しみながら学ぶことができた時間でした。

【第7講】「南三陸で学ぶ」

<2013年(平成25年)10月12日(土)〜14日(月・祝)宮城県南三陸町>

稲刈りとはさがけの作業体験
ふゆみずたんぼについて講義
被災地の見学

 東日本大震災の被災地である宮城県南三陸町を訪れるフィールドスタディツアーを実施しました。昨年に引き続き、津波で被災した水田を「ふゆみずたんぼ」(冬期湛水水田)として再生・復興に取り組んでいるNPO法人 田んぼ(宮城県大崎市)の活動に参加し、他のボランティアグループの方々と共に、稲刈りとはさがけの作業体験を行いました。また同時に地域の小学生を対象とした生き物調査プログラムの支援も行いました。その前夜には、NPOの理事長岩渕成紀氏にふゆみずたんぼについて講義をして頂き、事前学習をふまえたうえでの活動体験となりました。また、地元の漁師である千葉拓氏には震災当日から子ども時代の話までふり返りながら、子どもの頃の浜での遊びから焚き火の起こし方を学び、そうした経験知が震災直後に見事に生かされたこと、遊びと学びが一体となって獲得する生きる力の大切さについてお話し頂きました。最終日には伊里前小学校教諭の阿部正人氏に、震災当日の歌津伊里前地区の映像を見せて頂き、日頃から学校と地域のつながりが大事であることを述べられ、教育においても地域の協力を得て、ワカメやシロウオを環境教育の教材として活用し、自然と共生する持続可能な地域社会の価値を次世代に伝える「ふるさと学習」の教育実践についてお話し頂きました。また講義終了後は伊里前地区を散策しながら、震災当日の地区の状況をご説明頂きました。さらに「歌津てんぐのヤマ学校」を主宰する蜘瀧仙人氏にもご協力いただき、野外教育、自然体験活動の場を見学しました。被災地に足を運んで水田の再生活動に参加し、震災を体験した人々から話しを聞き、被災した場所を実際に歩いてみるという体験によってそれぞれが感じたことを、今後の日常にどのように繋げていくかが参加者の環境教育の課題となる3日間でした。

 なお、第7講の補講として、訪問地を含め、周辺のふゆみずたんぼで収穫された米を味わう「ふゆみずたんぼ米試食会」を12月18日に行いました。

【第8講】「高校生環境サミット@つばさ総合高校」

<2013年(平成25年)11月23日(土・祝)都立つばさ総合高等学校>

教材植物園(農園)自然観察会  東京都立つばさ総合高校ISO推進委員会主催の「第10回高校生環境サミット」に1,2年生が参加し、2012,13年度の本講座の活動についてポスター発表を行いました。準備段階は、2年生がつばさ高校の先生との連絡、学内の打ち合わせ、ポスターの原稿作成の進捗管理から編集作業までを担当し、1年生有志が学生間の連絡係を務めました。他専攻、異学年間の共同作業にも関わらず、素晴らしいチームワークでした。
 当日は午前の部の全体会で2年生が代表で報告を行い、午後からは参加者全員が順番にポスター発表を担当しました。空き時間にはISOの取り組みや学校の環境学習支援を初め、積極的に活動している首都圏の高校、大学、企業、NPOのポスター発表を聞き、学校の先生や生徒、他大学の学生、社会人との交流を深める場となりました。

【第9講】「正月飾りづくり」

<2013年(平成25年)12月22日(日)東京学芸大学環境教育研究センター>

教材植物園(農園)自然観察会  小金井市環境市民会議の瀧本広子氏を講師に迎え、農園で収穫した稲藁を用いた正月飾りづくり体験を行いました。しめ飾りは、全国各地域で形や飾る時期などの文化が異なっており、作り方もそれぞれ異なっているなかで、今回は岐阜県飛騨高山地方に伝わるしめ飾りづくりを体験しました。また、稲藁を用いた民具の実物を観ながら、その機能や役割とともに、やがて土に還る循環を意識した製品であることも解説して頂きました。また昔はそれらの主な作り手は農閑期の男性であり、一例として、嫁入りの際の生活道具を父が娘のために持たせたという風習を挙げ、文化的な側面も解説頂きました。藁を事前に少し湿らせ叩いておくなど、藁という繊維の性質に抗わない手法で、伝統的なしめ飾りをつくることができ、昔の生活と文化が連関していることを学ぶ機会となりました。

【第10講】「小金井・国分寺・小平 環境教育実践フォーラム」

<2014年(平成26年)1月30日(木)東京学芸大学環境教育研究センター>

教材植物園(農園)自然観察会  毎年、当センターが主催している、第5回小金井・国分寺・小平「環境教育実践フォーラム」に合流・参加しました。今回は、テーマを「学校の環境教育を支える地域」とし、環境教育と関連性が高く地域に根ざした二つの取り組みについてご報告頂きました。まず「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)の多摩市の先進的な事例を多摩市教育委員会指導主事の中谷愛氏にご報告頂き、次に、地域における学校の在り方という観点から、国分寺市立第八小学校におけるコミュニティスクールの活動について、コミュニティスクール委員の皆さんに発表頂きました。

【第11講】「エコなワザを学ぶ」

<2014年(平成26年)2月28日(金)東京学芸大学環境教育研究センター>

教材植物園(農園)自然観察会  日本の伝統的でエコロジカルなワザとモノを広める事業を展開している若手起業家の大塚玲奈氏をお招きし、宮城県登米市登米町の木材を使用し、伝統的な技術である組手(くで)を用いた棚作りワークショップを行いながら、エコロジカルなモノとワザについて学びました。ワークショップでは、設計から自分たちで取り組み、基本部材をいかに無駄なく使用しデザインするかを、考えるところから始めました。完成した棚は、当センターの展示コーナーにて使用しています。

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学習支援

【国分寺市立第八小学校】 第3学年 総合的な学習の時間「ハケの学習」

<2013年(平成25年)10月8日(火)>

教材植物園(農園)自然観察会  国分寺市立第八小学校では、近くにあるハケ(国分寺崖線)とその雑木林の学習に取り組んでおり、年間を通じて、ゲストティーチャーを招いたり、雑木林を訪れたりなど、様々な形態で学習を深めています。その取り組みの一つとして、大学生による学習支援を実施しました。
 事前に、子どもたちが雑木林に出かけて疑問に感じたことなどを質問表にまとめてもらい、その答えを大学生がゲストティーチャーとして子どもたちに解説するというかたちで授業を実施しました。質問に基づいて、草花、木・キノコ、ドングリ、昆虫@、昆虫A、の5グループに分かれ、それぞれのグループで教材を準備しました。実体顕微鏡を用いて実物を観察させたり、紙芝居形式で解説したりなど、子どもたちが理解しやすいように、工夫を凝らした学習支援を行いました。

【小金井市立小金井第一小学校】
第5学年 総合的な学習の時間「稲の学習」稲刈り体験

<2013年(平成25年)10月4日(金)>

教材植物園(農園)自然観察会  小金井市環境市民会議の環境学習部会による小金井第一小学校への授業支援に合流・参加しました。
 学校のプール横にあるコンテナのミニ田んぼに、子どもたちが種を撒くところから育てた稲を、手刈りで収穫する授業を支援しました。のこぎり鎌の扱い方や、刈り取った稲を束ねる紐の結び方などの説明を環境市民会議の方が務め、その後、順番に稲刈り作業に入りました。コンテナを区切って一人ひとりの区画としているため、非常に狭いなかでの作業となり、隣の子とぶつからないように誘導するなど、現場ならではの細かな注意を払わなければなりませんでしたが、時間が経つにつれて、スムーズな支援ができるようになりました。副校長先生からは、「大学生のお兄さんお姉さんがいると安心感が違うようで、目の色が違った」とのお言葉をいただき、参加者の達成感も得られた支援となりました。

【小金井市立東小学校】 第4学年 総合的な学習の時間 野川調べ

<2013年(平成25年) 10月21日(月)>

教材植物園(農園)自然観察会  小金井市環境市民会議の環境学習部会による東小学校への授業支援に合流・参加しました。小金井市を流れる野川をフィールドに、水質や生きものについて学ぶ校外学習を支援しました。2クラスが前半と後半に分かれて、水質調査と生きもの調査を交代で実施する内容で、水質調査では、透視度計を用いて野川の濁度を測り、その際、機器の使い方の説明などを受講生が担いました。また、生きもの調査では、環境市民会議の方が網など道具類の使い方を説明し、受講生は子どもたちが実際に川に入って生きものを採集するサポートを担いました。学校外での授業支援で、より安全面に注意を傾け、自分たちが将来教員となった際に、どのような授業を行うのかを考えながら、行動することができた学習支援になりました。

【小金井市立小金井第四小学校】
第5学年 総合的な学習の時間 稲藁を用いた正月飾りづくり

<2013年(平成25年) 12月17日(火)、18日(水)>

教材植物園(農園)自然観察会  小金井市環境市民会議の環境学習部会による小金井第四小学校への授業支援に合流・参加した。校内の一画にある田んぼでは、5年生によって、田植え・稲刈り・脱穀が行われ、成長の記録や稲に関わる調べ学習と合わせ、家庭科では炊飯の実習も行われてきました。最後に「わら」を使った民具に触れ、実際に正月飾りを製作することで「綯う」「撚る」「結う」作業を体験しながら、古来より伝えられてきた稲作文化や、もの作りの文化に触れることを目的とした総合学習の支援を行いました。
 環境市民会議の方が、作り方の説明をする中で、複雑な手の運び方に戸惑う子どもたちの近くで作り方を示すなど、講師の手が届きにくい部分を担いました。また、保護者の方々も支援に加わり、協力しながら子どもたちの学習を支援することができました。
 さらに、授業時間だけでなく、前日の教材準備にも関わり、教育実践が行われる際には、当日の授業だけでなく、事前の準備に大きな労力を要することを実感できた支援となりました。

※2013年度(平成25年度)環境教育リーダー養成講座は、電通育英会の助成事業です。

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