目次
教育におけるコンピュータの教育利用等の在り方について「研究の視点」〜昭和61年6月、文部省〜
楽しい学習に必要な条件
知的好奇心を生かす授業
知的好奇心の起こさせ方
「個人差」の基本的な考え方 〜文部省「個人差に応じる学習指導事例集」(昭和59年11月)
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個人差に応じた・個人差を生かす教育への前提条件
図 個人差のレベルと学習制御 (水越敏行氏による)
新しい技術の動向
マルチメディアの発展と展開の背景
MPC標準規格レベル2(1993年5月)
行政の対応例
マルチメディア - 双方向性、相互交渉性(インタラクティブ)が特徴
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教育方法、視聴覚教育としてのコンピュータ活用 - マルチメディア
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マルチメディアへの期待 - 旧くて新しい能力の開発への期待
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マルチメディアを支える学習理論 - 展開の系譜 -
(1)メディアの変遷
(2)学習理論の変遷
マルチメディア開発の段階
マルチメディア開発の課題
マルチメディア利用の課題
「研究の視点」
〜昭和61年6月、文部省〜
(1)各教科ごとに、どのような内容項目(単元)で、どのようにコンピュータを利用することが効果的か。
(2)コンピュータの利用は、能力、適正等の個人差に応じた学習指導を充実する上で、どのような効果をもたらすか。(学習意欲、動機づけ、学習の持続性等)
(3)思考力、応用力、判断力、表現力を育成するには、どのようなソフトを活用したらよいのか、また、開発が望まれるか。
(4)コンピュータを使ったことの効果を、どのように評価するか。
(5)コンピュータを利用して学習指導を進める場合、どのような教科や教具を開発したらよいか。
(6)他のメディアとどのように連動させたら効果的か。
(1)クラブ活動や部活動、ゆとりの時間、教科の時間等において、コンピュータに関する教育を、どのように行ったらよいか。そのためには、コンピュータリテラシーをどのように捉えたらよいか。
(2)コンピュータリテラシーのためのソフトウェアをどのように開発するか。
(1)指導計画作成や教材作りのために、コンピュータをどう効果的に使ったらよいか。(成績処理、授業計画、各種データ等)
(1)教師がコンピュータを使えるようにするためには、どのような研修を行ったらよいか。
(2)コンピュータを効果的に使うためには、どのような設置形態とすることがよいか。(集中、分散、ネットワーク)
(3)利用する教育ソフトは、どのようにして入手するのか。(開発か、市販か)
- 子どもに自由を
- 豊富で構造化された環境を
- 子どもの働きかけに応答しよう
- 相互交渉を通して知的発達を
(波多野 誼余夫 他、1980、知的好奇心、中公新書)
(1)観察への興味を高める
- 疑問を起こさせる->情報収集活動の誘発->情報の収集と疑問の解決
(2)知的好奇心の起こさせ方
- 子どもの持つ信念や先入観の利用
- 足掛かりになる知識を与える
- 既存の知識のズレに気づかせる
(波多野 誼余夫 他、1980、知的好奇心、中公新書)
(1)子どもの持つ信念や先入観の利用
- 子どもの持つ信念から導かれる予想に反する現象を教師が示す。
(例)子どもにとって「重さ」は重いという感じ。
したがって、空気は重さがない。そこで、
空気の入ったフラスコと真空のフラスコの比較。
- 子どもにその信念をどこまでも押し進めさせ、そこにおのずから「矛盾」や「驚き」を感じさせようとする。つまり、「ゆさぶり」をかける。
(例)水は高いところから低い所へ、という信念。では、毛管現象は、大きな驚き。
(2)足掛かりになる知識を与える
- 先ず、おおざっぱな、もしくは主要な法則のみを与え、これが定着した後に、それに当てはまらない事例の存在を示し、法則の一般化を考えさせる。
- 普遍妥当性のある法則を先ず子どもに与えるが、初めから、これが普遍妥当性を持った法則だ、とは教えず、法則の一般性を試す過程で、「これはいつも正しいかな?」と、子どもに考えさせる。(演繹的な思考)
(3)既存の知識のズレに気づかせる
- 可能な解答が複数ある問題(オープンエンドな問題)を子どもに出して、本当はどれが正しいだろうか、という「当惑」状態に子どもを置く。
ただし、「サクラ」は、子どもの持つ、あるいは、持つであろう考え方を代表させること。
〜 文部省「個人差に応じる学習指導事例集」(昭和59年11月) 〜
(1)達成度としての学力差
(2)学習速度、学習の仕方の個人差
(3)学習意欲、学習態度、学習スタイルの個人差
(4)興味・関心の個人差
(5)生活経験的背景の個人差(指導前における把握、授業中における把握、指導後における把握)
(1)学習の時間と学習の場所の柔軟性
(2)ソフトウェアの準備(質と量)が十分になされているか-多様な学習材やメディア
(3)自己学習の学習訓練を、いつ、どこで、どのようにしておくか
文献の選び方、発表のしかた、要点のとらえ方、自己診断のしかたの事前訓練の必要性。
(4)教師の意識改革
一斉指導、個人差を解消する教育を受けてきた今の教師に、新しいタイプの教育への頭の切り替えができるかどうか。これがすべてのカギを握っている。
図 個人差のレベルと学習制御 (水越敏行氏による)
コンピュータ技術の進展とこれを支える技術
(1)ディジタル技術と通信技術の進展
(2)情報の圧縮技術と表現技術、記述形式の標準化
(3)データベース技術の進展
(4)インターフェイス技術の進展
(5)液晶技術の進展
――――>メディアの統合とマルチメディア、ハイパーメディア
(1)文部行政
- 新しい教育メディアを活用した視聴覚教育の展開について(報告)(1992年3月)
マルチメディアとハイビジョン
(2)業界
- コンピュータに高級オーディオ機能とテレビ映像の取り込み、編集機能の充実
- MPC標準規格レベル2(1993年5月)
- 家電業界への積極的参入
―――――>PC(ポリティカリーコレクト)の形成
(1)倍速CD-ROM装置(容量540MB、300KB/s)の標準装備
(2)表示装置は、VGA相当640X480
(3)CPUは、486SX(25メガヘルツ)、メモリ4MB以上
(4)ハードディスクは、160MB以上
(5)AV機能の充実
- 8ビットD/A
- オーディオ機能
- MIDI機能
- マルチメディア教材開発養成講座
- マルチメディア教材開発ワークショップ等への補助
- 視聴覚教育メディア研修カリキュラムにおけるマルチメディア活用の導入
- マルチメディアの発展に対応した文教施策の推進に関する懇談会の設置
- 100校プロジェクトの推進
- 研究調査等への助成
(例)コンピュータに接続可能な各種視聴覚メディアと電子機器等
- 双方向性、相互交渉性(インタラクティブ)が特徴 -
(1)通信の放送の融合体(通信系)
テレビ電話、テレビ会議システム、ハイビジョン、衛星放送、文字放送、ビデオオンデマンド(VOD)、バーチャルリアリティ(VR)、リアルタイムシミュレーション、インターネット、など
(2)文字、音声、画像などが一体的に扱われるメディア(パッケージ系)
CD-ROM、LD-ROM、PD、DVD、携帯電話、携帯情報端末、マルチメディアパソコン、LAN、電子出版、など
- マルチメディア -
(1)研究と実践の促進ツール
- 画像による情動性
- 学習意欲の向上
- 学習態度の育成
- 教授・学習過程及びその諸要因のシステム的研究
- 通信のいっそうの活用
- テレビ会議システムの活用
- 携帯情報端末と情報コンセントの整備と活用
- 旧くて新しい能力の開発への期待 -
(1)マルチメディアへの期待
- 新しい学力観を支援する可能性
- マルチメディアの機能
分析、検索(探索)=ボタン/隠しボタン、関連づけ=リンク、編集、総合化、リアルタイムシミュレーション(模擬実験)
- 思考力、表現力、判断力、自己学習
(2)近未来の教育
- 発散的思考、発散的学習への寄与
(3)利用者(教師、学習者)に対し
- 発散的思考とともに、システム思考
- 多様な観点からの推理、考察能力
- グローバルな観点からの思考
1920年代 視覚教育(映画教育)
1933年 ラジオ学校放送
1952年 視聴覚教材利用の手引(文部省)
1959年 テレビによる放送教育
1969年 県域教育放送(UHF)
1970年代 VTR、教育機器の普及−−−−−>教育のシステム化の展開
- 発見学習(Morine,H. and Morin,G., 1973) −−−−−>能動性、発展性、柔軟性、非厳密性
- 誘導発見学習
- ひとり立ちの発見学習
- 学習者中心モデル(Rogers,C.R., 1966)−−−−−>人格全体の変化への関心
- 非指示的カウンセリング
- 映像視聴能力
- 教育機器の開発と実践的利用 −−−−−>個別学習、個性化学習の系譜
- 限られたハードウァとソフトウェアによる研究成果
- 構成主義的学習観の発展と認知
(1)開発者チームの形成
(2)最初の着想をもとに、関連する優秀な映像資料の収集
(3)着想の熟成と発展
(4)設計仕様の作成
(5)文字、映像、音声など関連資料の収集と整理
(6)入力機器(ワープロ、スキャナー、スチルカメラ、LD、CD、ビデオカメラ、VTRなど)によるコンピュータへの入力(デジタル化)
(7)オーサリングソフトやプレゼンテーションソフトによるリンク付け(ボタン−リンク様式)
(8)利用者ガイド等の作成
(9)試行、検証と評価
(10)教師の研修
−−−−−>作成者自身がハイパーすること
(1)一人ひとりの学習過程〜情報処理過程〜の支援 (distraction)
- 学習者の知識等の構造を明らかにする
- 多様な優秀な素材の蓄積と収集及び整理
- 著作権処理の柔軟性
- オーサリングソフト、プレゼンテーションソフトの改善
(2)学習に対する価値観〜学習観・評価観〜の変革(disorientation)
- 学習成果ではなく、学習の過程や学習のしかた
- 知識の量よりも、知識の質と興味・関心・意欲
- 収束的な学習よりも、発散的、総合的な学習
- 迷子(disorientation)の推奨
(1)発散的学習、創造的学習への重要性の認識(教師の力量)
(2)ディスオリエンテーション(disorientation、迷子)の許容と学習者の理解
(3)ディストラクション(distraction、不適な学習過程)の許容と学習者の理解
(4)多様性(学習のしかた)の本質的な認識
(5)学習の管理に対する教師の意識改革
(6)マルチメディア環境での評価の方法(学習の目的は、目標への到達度ではなく、学習意欲の向上、態度の変容、学習過程や交互作用のしくみ)
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