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21CoDOMoS におけるコンピテンシーのとらえ方

コンピテンシーとは

コンピテンシー(資質・能力)とは,これからの社会にむけて児童生徒に育成されるべき,「現実場面における課題解決の力」のことです。しばしば「単なる知識や技能以上のものであり,特定の文脈において,スキルや態度をふくむ様々な心理・社会的リソースを結集し活用することで,複雑な要求に対応する能力」(OECD,2005)と説明されます。

21CoDOMoSでは,コンピテンシーを,特定分野の知識・技能に加え,1)未知の状況にも対応できる汎用的なスキルと,2)よりよく社会・世界と関わり,よりよい人生を送るための態度・価値からなるものととらえ,それを各教科等における知識・技能の学びとともに育成する授業をビデオで紹介しています。その対象となる汎用的スキル,態度・価値は,次の15種類の「力」や「心」です。

汎用的スキル

批判的思考力

種々の情報に対して,その正しさを根拠にもとづき,客観的,論理的に評価したり,他の見方や考え方はないだろうか?などと多様な視点から考えたりする力のことです。この力の強い人は,他者の意見や本やテレビで紹介された情報,さらには自分自身の考えや解釈などについても,その正しさを,思い込みを排して冷静に評価することができます。省察的,論理的,多面的な思考の力とも言えます。なお,ここでの「批判的」という言葉に「相手を非難する」という意味はありません。

問題解決力

明らかにすべきこと,知りたいこと,改善すべきこと,達成したいことなど,自分や自分が属する集団にとっての課題や問題を発見し,その解決や目標達成をなしとげる力のことです。解決すべきことや知りたいことを見つける課題発見力,どのような問題なのかその構造を把握する力,他者や資料から情報を収集し,必要な情報を選びだして活用する力,課題解決や目標達成のためのアイデアや工夫を発想する力,課題解決や目標達成の道筋を計画する力などがこれに含まれます。

協働する力

学びを深めたり,目標の達成を行ったりするために,他者と協力する力のことです。単に仲良くするとか一緒に行動するということではありません。話し合いで多様な意見を引き出したり,異なる意見を持つ人と建設的に議論を進めたりすることや,それぞれが自分の能力を発揮して目標達成のための役割を果たしたり,助け合ったりすること,立場や背景,専門が異なる人と共通の目標に向かい,調整しながら行動することなどを意味します。集団での活動を効果的に進めるマネジメントの力もこれに含まれます。

伝える力

自分の考えや主張,調べたことなどを分かりやすく正しく伝える力のことです。論理的で曖昧さのない表現の力や,図や写真,グラフなどを使って視覚的に伝達する力などが主なものですが,考えたことや理解したことを自分で実感したり,整理したりするための表現力や,感じたことや気持ちを伝える力,他者との双方向的なコミュニケーションの力もこれに含まれます。

先を見通す力

ある行動や出来事,働きかけの結果としてどのようなことが起こるのか,何をどうすればうまくいくのか,何をするとうまくいかないのかなどを予測し,それにもとづき適切な判断をする力です。そのもとになるものとして,経験したことから法則や決まりを見いだす力も含まれます。リスク(危険性)を認識し,それを回避したり低減したりする上でも大事な力です。

感性・表現・創造の力

音楽や造形物,自然物や身体,形や色,音,触感,言葉や記号などから何かを感じ取ったり,それを通じて表現をしたり,美しさや新しい価値を生み出したりする力のことです。

メタ認知力

今,自分が考えていることや理解の程度,感じていることなどを自分自身で感じ取り,それに応じて思考や学び,行動などをより良い方向にコントロールする力のことです。こうしたメタ認知の活動(感じ取ることとコントロールすること)をうまく行うためには,「自分は何をよく知っているのか,何が苦手か」「自分はどんな風に考えがちか」「どうすればよく覚えられるのか」「分からない時にはどうしたらよいか」など,自分自身や人間一般の思考,記憶,理解,知識,そして学びなどの性質について正しく知っていることも大事です。自己省察,自己評価,振り返りなども近い概念です。

態度・価値

愛する心

生き物や自然,国や郷土,伝統や文化,家族や友人,そして自分自身について,愛情や尊重する気持ちを持ち,大切にしようと思う心のことです。

他者に対する受容・共感・敬意

人それぞれが多様な考えや意見,価値観を持つことを理解し,それが自分と異なる人も受け入れる態度や,相手の気持ち(喜びや感動,悩み,苦労など)に共感したり,敬意や感謝の心を持ったりすることです。異なる文化の人々や自分と年齢が離れた人々への受容,共感,敬意も含みます。

協力しあう心

集団の中で積極的に他者と協力したり,関わりを持ったりする態度や,集団において自らの役割を果たそうとする責任感,集団を目標達成に方向づけたり,まとまりを維持したりするリーダーシップなどのことです。

より良い社会への意識

人々の生活や社会の仕組みを見直し,より良いものにしようとする意識や,そのために社会と積極的に関わり,大切なことや良いこと,必要なことを実践しようとする態度などのことです。

好奇心・探究心

知らないことを詳しく知りたいと思う気持ち,身の回りのささいな出来事にも興味・関心を持つ態度,知りたいことや解決したいことを見つけようとする姿勢,なぜだろう? どうなっているのだろう? 何が正しいのだろう?などの疑問に合理的な答えを得たいと思う心などのことです。

正しくあろうとする心

ルールを守ろうとする心,道徳的に正しくあろうとする心,欲望や感情に流されない自制心,公平・公正であろうとする心,悪いことを憎む心などのことです。

困難を乗り越える力

大変なことでも粘り強く取り組んで最後までやり遂げる姿勢や,間違えや失敗にも意欲を失わず,そこから学んで再挑戦する態度などのことです。

向上心

より高いものを目指して,自ら決めた目標に向けて努力したり,一人の人間としてより良い生き方や自分らしさを求めようとしたりする態度などのことです。