日本における次世代対応型教育モデルの研究開発
「日本における次世代対応型教育モデルの研究開発」プロジェクト(以下,本プロジェクト)は「日本・OECD共同イニシアチブ・プロジェクト『新たな教育モデル2030』」の一環として,平成27年度から平成29年度までの3年間の事業を通して,東京学芸大学,OECD,文部科学省,東京大学が連携をし,新たな教育モデルの開発を目指して実施されている研究プロジェクトです。
設置趣旨・経緯・目標 Installation spirit, history and goals
日本では,文部科学省が1998年の学習指導要領から「生きる力」の育成を掲げて,「確かな学力」,「豊かな人間性」,「健康・体力」をバランスよく育てることを目指してきました。この取り組みは,PISAにおける2006年以降の成績の向上など多くの成果をもたらしました。一方,思考力・判断力として何を育成すべきかの混乱や,総合的な学習の時間や道徳教育の指導力のばらつきの大きさなど,いまだ様々な問題も存在します。そしてこうした成果と課題を踏まえながら,政策レベル(e.g.,学習指導要領の改訂),現場レベル(e.g.,アクティブラーニングの重視)でよりよい教育に向けた改革が続いています。
これらのことから,日本の学校教育は,これからの教育で求められる教科横断的スキル,人間性の育成の先行事例として考えることができ,日本の教育の現場で何をどのように育成しているのか,そこで見えてきた課題が何かを分析することはOECDが構想するEducation2030における教育のビジョンに大きな貢献を果たすと考えられます。
『新たな教育モデル2030』は,今後必要となる資質・能力を子どもたちに育むための新たな教育モデルを日本・OECD共同で開発します。課題を共有する諸外国と教育モデルを共有し,各国における学校教育の革新などに寄与することを目的としています。この事業の一環として,日本側は東京学芸大学を主な主体として,日本・OECD共同で,教育方法やOECDが有する様々なノウハウ・データの調査研究などを行います。これにより,学校現場の教育改革に資する成果を生み出していきます。また,新たに改訂される新学習指導要領を見据え,今後育成すべき資質・能力の視点から,教育目標・内容・方法について教科の枠を超えた再構成・再構造化を図り,同じく新たな授業体系と教育モデル・授業モデルの構築を目指します。