東京学芸大学 次世代教育研究推進機構

ABOUT US機構の概要

ABOUT US機構の概要

担当副学長・統括教員・ご挨拶Message

担当副学長 松田 恵示

担当副学長 岸 学  このプロジェクトは、次世代の日本と世界を担うことができる人材を育成するために、学校教育の場でいかなる資質・能力を育成すべきかを調査・研究することがねらいです。そして、育成の実現のために、次世代に対応できる教育モデルの開発をめざし、モデルに依拠した実践を提案していくことになります。

 開発に際しては、日本の授業実践や授業研究を体系化・モデル化し、それをOECDを通じて国際的に発信していくことを目標にしています。特に、教科横断的なスキルや人間性(キャラクター)の育成について、アクティブ・ラーニングの観点から体系化していくことになります。また、新たに改訂される新学習指導要領を見据え、今後育成すべき資質・能力の視点から、教育目標・教育内容・教育方法について、教科の枠を超えた再構成・再構造化を図り、同じく、新たな授業体系と教育モデル・授業モデルを構築していきます。

 東京学芸大学では、第3期の中期目標中期計画の戦略を「次世代教育モデルの発信と拠点作り」としており、このプロジェクトの推進がまさに本学の中核として位置づけられております。そのため、戦略の達成に向けて、学部・大学院・附属学校の総力を挙げて取り組んでいく必要があります。そして、プロジェクトの諸成果は、教員養成教育、なかでも現代的教育課題の解決への有力な示唆を与えることにつながり、新たな教員養成カリキュラムの開発等とあいまって、本学の教育活動・研究活動・社会貢献活動を大きく改善することが期待されます。

 今後ともプロジェクトの成果を注視していただくとともに、ご指導、ご批判を頂きたく、よろしくお願い致します。

統括教員 山田一美

 今日、いたるところで「次世代」という言葉が使われています。その次世代を、目の前の5歳児が二十歳になる頃の「2030年の世界」として考えてみますと、それはそれほど遠いことではなく、むしろ現在の学校教育のことであるという現実が見えてきます。また、2030年をめぐって、シンク・タンクから出される多くの報告書の中には、メガトレンド、すなわち近未来の世界を方向づける無視できない大きな流れが続くと、世界の社会環境は今と大きく変わってしまうと指摘するものもあります。OECDも同様に、人口移動や環境、公民権、家族、平和と安全、技術、健康、職業、不平等などの問題から、世界は今よりもさらに不安定に、不確実に、複雑に、そしてあいまいになっていくと予測しています。

 それでは、2030年代の世界の変容ぶりを想定して、未来に生きる子どもたちがどのような資質・能力を学校教育のなかで育み獲得していけばよいのでしょうか。この問題にかかわって、11月16日に、OECDのプロジェクト「EDUCATION 2030」のワークショップがパリで開かれました。そこでは、新しい資質・能力の枠組みとして、(1) 認知的コンピテンシー、(2) 社会的コンピテンシー/スキル、(3) 情緒的コンピテンシー、(4) 身体的コンピテンシー/健康、(5) 包括的メタ・コンピテンシーという概念が提案されています。

 こうした動向に対応しながら、本プロジェクトは、OECDと共同して本学の強みであるドゥ・タンクの機能を生かし、「現在の日本の教育」と「2030年の世界で求められる教育」との関係を明らかにしていくものです。実際には、プロジェクト内の部門1・2・3が協力し合い、国語・社会・算数のほか全教科等の枠組みで附属学校を中心に授業収録・分析を行っています。今後、これからの教育の在り方や教員養成、研修につながる成果が蓄積され、国内外に紹介されていくことが期待されています。