学校心理プログラムでは,子どもたちや学校の問題に対して「教育心理学」の専門性で対応できる小学校教員の養成を目的としています。
学校心理プログラムは,初等教育専攻(A類:小学校の先生を養成する課程)の現代教育実践コースに所属していますが,A類の他のコースのように国語や社会といった特定の教科について学ぶわけではありません。学校心理プログラムでは,主に「教育心理学」について学びます。
では,教育心理学とはどのような学問なのでしょうか? 頭に「教育」がつく心理学というと,不登校やいじめの問題などを学ぶというイメージを持つ人が多いかと思います。もちろん,こうした問題への対処は教育心理学の研究や活動における重要な要素の1つですが,教育心理学で学ぶことはそれだけではありません。
教育心理学は,様々な心理学のうち「認知心理学」「社会心理学」「発達心理学」そして「臨床心理学」などを学問的基礎として,子どもたちの学習の仕組みや教室内の人間関係,心の成長・発達,学校不適応への対処,やる気の問題や学力評価など,学校教育に関する様々な問題について「どうなっているのか?」「なぜそうなのか?」「どうしたらよいのか?」を科学的に考える学問です。本選修では,初等教育専攻・現代教育実践コースのプログラムとして様々な教科の内容や指導法,学級経営の基礎などを学ぶともとに,そうした「教育心理学」を専門として学びます。
学校心理プログラムでは,「教育心理学」の専門性を身につけることで,子どもたちが効果的に学習を進め,楽しい学校生活を送るためにはどうしたらよいかや,ますます多様化する子どもの心や行動の問題にどのように対処したらよいかを,学校教員として,根拠にもとづき考えることができる力を身につけることができます。
様々な年齢,能力,価値観,家庭環境にある子どもたちに対し,いくつもの教科を集団形式で教え,人間としての成長を促すことが求められる小学校教員にとって,教育心理学の知識や技術は,とても強力な武器になるのです。