地域を生かした地質教材の一試案 −立川市南方の多摩川河床を例として−
馬場 勝良、松川 正樹、林 明、藤井 英一, 地学教育, 39 (5), pp. 193-201. (1986), 対象:
東京都立川市南方の多摩川河床に露出する上層総群の地層と含有化石の調査を行い、その場所についての地質実習の教材化を試み、小・中・高校生を対象としたその実践の結果、以下のことがわかった。(1)この場所に露出する上層総群は、泥層・砂層・礫層で構成されており、貝、有孔虫、植物の葉片や材、花粉,生痕の化石を含む。また、河床であるため地層の露出状態が良好に保たれ、多人数の観察や採取が可能であり、地質の野外観察に適した場所である。(2)この場所で地質の野外観察を行うためのワークシートを小学校・中学校・高等学校ごとに作成し、教材化を行った。このワークシートの中で、児童・生徒にとって岩相の特徴や堆積環境をより具体的に認識しやすくさせるために斜線によるマーキング法を、堆積環境の推移を理解しやすくするための変化曲線を用いた。このワークシートは、わずかの改良により、他地域でも使用可能であると考えられる。(3)このワークシートを用い、小学校・中学校・高等学校の児童・生徒を対象に野外観察を行った。そして、得られた資料をもとに地質実習地としてのこの場所の評価を行った。その結果、この場所で野外観察を行うことにより、地層や化石について、また、含まれる化石から地層の堆積環境やその変遷にまで理解を深められることがわかった。それは、この場所が狭い範囲の中に、陸と海で形成された地層を含み、それを示す化石が多種多量に産するからで、そのうえ、その変化の様子がワークシートで曲線として表されるからである。
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「恐竜とかけっこ」の教材開発
松川 正樹、小荒井 千人、榊原 雄太郎, 地学教育, 50(6), pp.217-227(1997), 対象:
ヒトの歩行から速さ,ストライド,足裏の長さを測定し,相対歩幅,無次元速度を求め両者の関係を一般化し,それを基に恐竜の歩行速度を求めることができた. 最低でも1グループ15人はどの人により得られたデータを解析して,恐竜の歩行や走行の速度を秒速何m という絶対速度によって求められる実験に学生は,驚いたようである.この教材では,学習者が自身の歩行や走行の速度を計時し,その時のストライドや足裏の長さを測定して,解析し,恐竜の歩行や走行の速度を見積もることができるので,学習者は恐竜が歩いたり,走ったりした様子を体感することになる.恐竜の歩く速度を見積もる理論に関しては,学生には理解されにくいようである. しかし,この理論が十分に理解されていなくとも,体を動かしてデータをとり,非常に簡単な計算により恐竜の歩行速度が求められることや,それを基に恐竜が残した歩行跡について科学的に解釈できたことに興味をもったようである.今回はすべて手作業でデータを処理したが,パソコンを使用して測定値を入力しグラフを作成し,恐竜の足跡のデータを入力すると直ちに歩行速度を求め表示させることも可能である(図16).受講した学生は,さまざまの種類の学科に属し,グラフや計算の作業になれていないようであったが,ほぼ時間内に実験が進められた. 高校の授業でも利用できるものと思われる.地学分野には, 1回のみに起こった事象の解釈を行うことが特徴の一つに挙げられている(松川・林,1994).二つの並んだ歩行跡の解釈には, きめ細かいデータの入手,それらの積み上げと論理性が必要となり,この実験により地学を通して残された記録より動物の基本的な機能を理解する方法の特徴が示されよう.二つの並んだ歩行跡について,単なるストーリーを考えるのではなく,科学的証拠と論理展開により解釈を導き出すことが科学としての地学を理解する上で最も重要な点である.恐竜足跡化石を用いて恐竜の歩行速度を求める実験は,化石を「動」的なものにする教材として適当であるだけでなく,地学を通して自然を理解する場合の進め方の特徴の一つ(松川・林, 1994)を十分に表していると言えよう.
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「恐竜とかけっこ」の授業実践と改良
小荒井 千人、松川 正樹, 地学教育, 52(1), pp.23-30(1999), 対象:
高校と大学で授業実践を行った.実験はおおむね成功し,好評であったが,改善点が2つ見出された.(1) 歩いたり走ったりしてデータを取るときに,ストライドとスピードの関係はそれぞれの歩き方走り方でのトップスピードで測定しなくてはならない.十分に加速するためには助走路の長さが15m以上は必要であることが分かった. もう一つは,腰骨までの高さの測恵である.測定時に間違った部位を測定してしまうことがあるので注意を促す必要がある.(2) 実験を発展的なものにするために,恐竜の足跡化石を直接観測して実験を行った.生徒は足跡化石に直接触れながら足跡の測定をし,より大きな興味をもって実験に臨んでいたようだ.また,足跡化石は比較的平面であるためコピー機を用いて複製することができた.恐竜の足跡化石は一般には入手困難であるが,博物館の資料を使用して実験を行うことも可能であろう.
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足跡化石を基に動物を動かそう −恐竜の方法をゾウに応用して−
馬場 勝良、松川 正樹、小荒井 千人、林 慶一、伊藤 慎, 地学教育, 53(6), pp.269-281(2000), 対象:
化石教材のうち,恐竜の足跡からその足跡をつけた動物の速度を見積もる実験教材は,いわゆる「動」的な実験として位置づけられている. しかし,恐竜の歩行跡の化石の産出がまれな日本では,比較的多く産出しているゾウやシカの歩行跡を用いて,実験できる可能性がある.筆者らは東京都日野市の多摩川河床に広がる更新世の地層から,大型四肢動物の歩行跡を発見した.これを教材化するために,まず素材の足跡化石を研究し,それに基づき教材化の可能性を検討した.その結果,筆者らが発見した足跡はゾウの足跡で,ほぼ南から北へ向かった2列の歩行跡である.足跡化石を印した動物の大きさ,年齢や歩いた速度を見積もるために,ケニアの現生のアフリカゾウや東京多摩動物園のアフリカゾウやアジアゾウと比較した. 2つの歩行跡を印した動物は,胴体の長さがそれぞれ175cmと161cmで,群れを構成していた5-6歳ほどの2匹の個体であると推定される.この素材研究に基づいて,足跡を残した動物の足の数については, ヒト,イヌやネコの足の運びの様子,歩行跡の幅,歩角の大きさなどを実験的に調べて,それらと比較することで推定が可能である.また,足跡化石のサイズから,現生の大型四肢動物との比較が可
能である.さらに,「恐竜とかけっこ」の教材化の手法を用いると足跡から歩行速度の導きが可能でもある.この足跡化石は,東京から報告されたまれなゾウの足跡で,連続歩行のものとしては極めて学術的価値が高く,その地学教育-の利用価値も高いものと評価できる.
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足跡からの絶滅生物の推理と「知識の引き出し」の拡大 −翼竜の教材化と実践に基づいて−
相場 博明、八幡 麻衣子、松川 正樹, 地学教育, 55(2), pp.27-36(2002), 対象:
化石教材のうち,恐竜の足跡からその足跡をつけた動物の速度を見積もる実験教材は,いわゆる「動」的な実験として位置づけられている. しかし,恐竜の歩行跡の化石の産出がまれな日本では,比較的多く産出しているゾウやシカの歩行跡を用いて,実験できる可能性がある.筆者らは東京都日野市の多摩川河床に広がる更新世の地層から,大型四肢動物の歩行跡を発見した.これを教材化するために,まず素材の足跡化石を研究し,それに基づき教材化の可能性を検討した.その結果,筆者らが発見した足跡はゾウの足跡で,ほぼ南から北へ向かった2列の歩行跡である.足跡化石を印した動物の大きさ,年齢や歩いた速度を見積もるために,ケニアの現生のアフリカゾウや東京多摩動物園のアフリカゾウやアジアゾウと比較した. 2つの歩行跡を印した動物は,胴体の長さがそれぞれ175cmと161cmで,群れを構成していた5-6歳ほどの2匹の個体であると推定される.この素材研究に基づいて,足跡を残した動物の足の数については, ヒト,イヌやネコの足の運びの様子,歩行跡の幅,歩角の大きさなどを実験的に調べて,それらと比較することで推定が可能である.また,足跡化石のサイズから,現生の大型四肢動物との比較が可
能である.さらに,「恐竜とかけっこ」の教材化の手法を用いると足跡から歩行速度の導きが可能でもある.この足跡化石は,東京から報告されたまれなゾウの足跡で,連続歩行のものとしては極めて学術的価値が高く,その地学教育-の利用価値も高いものと評価できる.
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恐竜の体重測定と食物量 −骨格標本と縮尺モデルの差の考察に基づいて−
松川 正樹、小荒井 千人、柴田 健一郎、中西 亮平, 地学教育, 59(3), pp.89-100(2006), 対象:
大英自然史博物館モデル,カーネギー自然史博物館モデル,フンボルト大学自然史博物館モデルの三つの縮尺モデルとも完全に精密なものでなく,恐竜の体重を推定する実験で使用するモデルとして,どれがふさわしいか断言することはできない.体重測定の教材として恐竜の縮尺モデルを用いるとき,その縮尺モデルがどのような方法で復元されたかが把握でき,できるだけ細部まで精密に復元されているものが好ましい.しかし,そのようなモデルを求めることは現段階では不可能である. したがって,縮尺モデルと復元の基になった標本との問に,どの程度の差があるのかを把握した上で,この実験を行うことが必要であろう.また,山中白亜系の瀬林層から産出したオルニトミムス類(山中竜)の体重を測定した. これは, 日本から見つかった恐竜の体重を初めて見積もった値である.さらに,近年求められた動物の体重と所要エネルギーの関係を用いて,恐竜の体重から恐竜が必要とした食物量求めることができることを示した.そして,恐竜の大きさを実感するために,求めた食物量を身近な食べ物に置き換えた.
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