体育科授業研究組織の教員及び研究成果をつなぐ ネットワーク構築のための実証的研究
平成26年度~28年度 学術研究助成基金助成金基盤研究(C)
課題番号(70633816)
【この研究課題が明らかにしようとすること】 本研究課題の目的は、体育科を研究する学校研究組織及び官製研究会組織の研究成果と所属する教員をつなぐネットワークシステムを構築し、その運用の効果と可能性を実証的に明らかにするとともに、研究プロセス段階から開かれた校内研究会の在り方や官製研究会との連携制度やプログラムを新しく開発し、現代的な教員研修や授業研究に関わる課題や研修 内容や方法について提言することです。
【具体的な研究課題】 1.体育科を研究する教育委員会主催や学校基盤の研究組織に属する教師が、「授業研究の在り方」「授業研究の成果」「授業研究の課題」についてどのような意識を持っているかについて実証的に明らかにします。
2.官製研究会、校内研究会への参与観察を実施し、そこでの「発話分析」「研究プロセスの記述」から「年間を通した連続性」について実証的に明らかにします。
3.研究課題に関わって、「授業研究」に対する教師の意識構造及び教師が捉えている「成果」と「課題」を整理しながら「成功裡な官製研究会及び校内研究会のモデル」を理論化することを試みます。
4.イギリス、アメリカ、ドイツにおける教師教育制度について調査し、「教師の研修」「実践的力量向上のためのシステム」「教師間の研究連携」に関してより多面的に明らかにすることを予定しています。
5.研究協力組織を選定し、生成された理論モデルと海外調査結果を基盤に、授業研究ネットワークシステム(仮称)を構築しその効果を実証的明らかにしていきます。
6.研究成果を総合的に検討し、我が国において望まれる「研究成果と教師をつなぐ授業研究の在り方及び研修制度や実践的力量向上に向けたプログラム」に関する提言を行います。
本研究を通して、学校現場で日常行われている授業研究や校内研究をつなぐ「ネットワークシステム」を提案したいと考えています。これは、形骸化されたとも言われる授業研究の現状に対し、重要な新視点や方法として活用されることが予想されます。また、現実に基づいた形で開発された授業研究のあり方や研修内容のプログラム案を提出したいと考えています。今後、教員の教職歴バランスがさらに崩れ、校内OJTが機能しないことが課題となるとき、ひとつの解決案、モデル案として参照活用されることを目指します。
第1回 授業研究組織と研究成果をつなぐ体育授業Build a Bridge研究会
【日時】平成27年3月8日(日)
【会場】東京学芸大学 南講義棟(S棟)303教室
【趣旨説明】
本研究会は、校内研究会、官製研究会、研究サークル等の研究組織や研究成果を架橋することを目的としている新しい研究会です。対象は、主に体育科を研究する小・中・高校教員、学生、研究者です。
現在、体育科に限らず授業研究が盛んに行われています。その様相は、海外からも注目されているほどです。形態としては、学校ごとに行われる「校内研究会」、地域の教育委員会等が主催する各地区の教育研究会や研究員等の研修システムが母体となる「官製研究会」、そして有志によって組織され、いわゆる手弁当で行われる「民間研究会」の大きく3つが存在していると考えられます。そして加えるならば、教員養成期間であり、また一部で先の3つに何らかの関係性をもって関わっている「大学における研究」もあります。それぞれが、独自性を発揮しながら研究を深め、研究成果を出しており、そして課題もあると考えられます。しかし、一人ひとりのレベルでそれぞれの研究成果を活用することはあっても、組織自体が協同したり、コラボレーションしたり、また組織間、研究成果を交流したり刺激し合うような「システム」が存在し、充実して機能しているとは言い難い状況にあると言えます。本研究会は、そのような実態に目を向け、大学が校内研究会をはじめとする様々な研究を架橋し、プラットホームになり、研究成果や課題を共有してそれぞれが発信し交流できるネットワークづくりを目指すことを目的として企画されました。
去る平成27年3月8日(日)に、第1回目の研究会が行われました。初回の内容は、参加者同士の意見交流の場である「ワールドカフェ」やシンポジウムを通して、体育授業研究の成果をどのように発信し、交流し、活用するのかについて考え合うことを目的としました。参加者全員で、体育科授業研究の現状と課題を語り合い、そして研究内容の交流が実現できました。
今後も会を重ね、授業研究のプラットホームになれるよう運営をしていこうと思います。
「体育授業」Build a Bridge研究会第1回目の目的
●体育科の研究組織の「研究内容」「研究方法」「在り方」について情報交換を行う。
●研究組織や研究内容そのものの現状と課題を出し合い、今後の「在り方」を考え合う。
●研究交流を行うこと自体の意義について考える。
【主催者】
鈴木 聡 東京学芸大学)・ 内田雄三(白鴎大学)
近藤智靖(日本体育大学)・山口 拓(筑波大学)