愛知県田原市立東部中学校図書館
～学校図書館活用の可能性を探るモデル校～

 　　司書　浅野りさ

1.概要

　愛知県田原市立東部中学校は渥美半島のほぼ中央に位置し、太平洋と三河湾に囲まれた自然豊かな環境の中にある学校です。本校図書館は、昇降口の真上にあたる２階に位置し、開放的で明るい図書館となっています。ガラス張りの扉となっているため、図書館前の廊下を歩く生徒からは、「次の休み時間は図書館で○○の本借りに来ます。」「あっ、本返すの忘れてた！今から持ってきます。」など、気軽に出入りできる環境です。

2.田原市の学校司書

愛知県田原市の学校司書は平成15年度に2名配置されてから徐々に人数を増やし、現在では9名が配置されています。本校は、平成26年度から田原市教育委員会より学校図書館運営・活用モデル校の指定を受けて、学校司書１名を専任として週５日間配置され、読書推進だけでなく、学習・情報センター機能の充実にも重点を置き、学校図書館活用の可能性を探っています。

3.学校図書館運営・活用モデル校の指定を受けて

モデル校の指定を受けてから、授業で活用される図書館を目指して活動してきました。「まずは教職員の関心を学校図書館に向けないといけない！」と思い、学校図書館活用計画表を作成し、教員研修の時に実践例を紹介、毎月学校図書館の利用状況の報告などを行っています。　
　（写真は職員研修会で図書館の活用方法を紹介しているところです。）

　そのおかげか、平成26年度は本好きな子が集まる、本を読むための図書館でしたが、環境整備や蔵書構成の見直しを行い、平成27年度には学習用の資料が活用されるようになりました。

（写真は、中学3年生の総合の時間のためのブックトラックです。「防災」関連資料を、各クラスで活用できるようにしました。）

　そして本年度（平成28年度）は、図書館や司書、図書館資料 が様々な場で活用されるようになり、うれしい悲鳴を上げながら忙しい日々を過ごしています。

（右の写真は、中学3年生の社会科「大正デモクラシー」の単元で当時活躍した作家のブックトークを行った後に、館内展示したものです。）

　赴任当初は、生徒も教職員も図書館の使い方が分からず、読書のためだけの場となっていましたが、学校図書館に毎日司書がいることで、図書館や資料の使い方がうまくなっている生徒、教職員が確実に増えています。司書と図書館担当者だけではなく、全教職員を巻き込んだ活用がこれからの図書館を支える大きな力になると実感しています。今後も学習・情報センター機能の充実を目指して学校図書館活動を続けていきたいと思います。