少子化や過疎化が進行する中、山県市では教育の質の向上を目指し、教育ビジョン「山県学園構想」を掲げている。この構想は、学校の統廃合か小規模校の存続かという二項対立を乗り越える「第三の道」として位置づけられており、市内にある12の小中学校を統廃合せずに存続させ、それらを一つの大きな学校として捉えるものである。
具体的には、小中学校間の連携による合同授業や合同行事、さらには縦割りによる異年齢交流を通じて、児童生徒が多様な仲間と出会い、より大きな集団で学ぶ機会を得ている。また、統廃合を行わず教職員数を維持していることから、合同授業を複数の教員で担当でき、必要に応じた個別の手厚い指導も可能である。こうした取り組みにより、集団の中で多様な学びを展開しつつ、一人ひとりに応じた個別の教育も実現しており、まさに「いいとこ取り」の教育モデルとなっている。
(山県教育ビジョン2025:https://www.city.yamagata.gifu.jp/uploaded/attachment/17359.pdf)
山県市が掲げる教育ビジョン「山県学園構想」は、教育の数を保持することで教育の“量”を確保するという点に特色がある。しかしながら、そのような取り組みが多様性を育む教育、すなわち教育の“質”の担保につながっているのかどうかについては、明確にされていない。また、児童生徒に最も深く関わる教職員自身が、必ずしもウェルビーイングを感じられていないという課題もある。
本プロジェクトでは、「山県学園構想」における教育の質の担保を図ることを目的とする。教育の数の保持による“量”の確保が、多様性を育む教育環境の実現につながっているかを検証し、構想の中における教育の”質”を具体的に可視化する。また、山県市が掲げる「みんな幸せ」の教育の実現に向け、教職員のウェルビーイングにも焦点を当て、持続可能で幸福感のある教育現場づくりを目指す。
「山県学園構想」の成果を検証するための指標を策定し、児童生徒および教職員のウェルビーイングに結びつく教育環境を明らかにすることで、子ども・教職員・保護者がポジティブに教育に向き合える環境の具現化を目指す。
具体的には、「山県学園構想検証プロジェクト会議」を設置し、学校・大学・市教育委員会が連携して、小中連携による「合同授業」を基軸としたウェルビーイングの可視化に取り組む。実践・分析・評価のサイクルを構築し、継続的な改善と成果の明確化を図る。また、これらの取り組みの基盤として、「山県学園構想検証プロジェクト会議」の中で、教職員間で子ども観・教育観のすり合わせを行い、明確にしていく。
●岐阜大学教授
●一般社団法人代表
●学校関係者
●山県市教育委員会
●東京学芸大学教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト