次世代教育研究推進機構の取り組み
Ⅰ.プロジェクトの目的
東京学芸大学・次世代教育研究推進機構は,文部科学省機能強化経費の援助をうけ,以下のプロジェクトの活動を行っております。そのミッションは,「小学校・中学校における教科等の授業にて,子どもたちのコンピテンシー(資質・能力)をどのように育成し,評価するのか」を示すことです。
- OECDとの共同による次世代対応型指導モデルの研究開発(2015.04~2018.03)
- OECDとの協働による次世代型コンピテンシー育成のための授業・評価方法開発とその国内外への発信(2018.04~2021.03)
Ⅱ.プロジェクトを進めるための2つの基盤
VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代で生き抜く力を育成するために,どのような教育を推し進めるかについて,本プロジェクトでは,2つの枠組みを基盤として活動を行っています。一つは,OECD(経済協力開発機構)による「Education2030:教育とスキルの未来」事業,もう一つは,文部科学省の新学習指導要領による資質・能力の枠組みとその育成です。
一つ目のOECDによるEducation2030事業のねらいは,まさに「複雑で予測の難しい2030年の世界を生きる子ども達に対して,①育成すべきコンピテンシー(資質・能力)とはどのようなものか? ②それをどのように育成するのか?」を各国の協力で提案していくことです。
この事業は2つの段階で進行していきます。第一段階は,2015年から2018年で,OECDが今世紀初頭に提案した「キー・コンピテンシー」の内容を見直し,新たなコンピテンシーの概念やあり方を提案していくことです。そして,コンピテンシーとして,a) 知識(Knowledge),b) スキル(Skills),c) 態度と価値(Attitudes and Values)の3つを設定しています。第二段階は,2019年以降で,第一段階の成果をもとに,コンピテンシーを育成するための学習環境や,それを実際に学校教育で育成し,評価するためのシステムを考えていくものです。
二つ目の,文部科学省の新学習指導要領では,育成すべき資質・能力を「何を理解しているか,何ができるか(生きて働く「知識・技能」の習得)」,「理解していること・できることをどう使うか(未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力等」の育成)」,「どのように社会・世界と関わり,よりよい人生を送るか(学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」の涵養)」の3つの柱に整理しています。そして,こうした力の育成のために,「新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し」(何を学ぶか)と,「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善」(どのように学ぶか)を進めています。
本プロジェクトは,これら2つの枠組みの考え方を背景に,子どもたちのコンピテンシー(資質・能力)をどのように育成し,評価するのかを示すことを目指し,様々な取り組みや研究活動を行っています。
Ⅲ.OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN)との連携
2018年4月より,プロジェクトは,OECD日本イノベーション教育ネットワーク(ISN: Innovative Schools Network)事業と連携して活動を進めております。ISN事業は,OECD東北スクールの活動を継承している内容で,主に中等教育を対象とし,国際協働によるプロジェクト学習(PBL : Project-Based Learning)を主体とした研究・実践活動を展開しています。