読書感想文コンクール
東京学芸大学附属高等学校では、今年度、二名の生徒が読書感想文コンクールに応募しました。自由図書として遠藤周作『海と毒薬』、課題図書の
香川宜子『アヴェ・マリアのヴァイオリン』の二本を東京都のコンクールに出したところ、課題図書『アヴェ・マリアのヴァイオリン』の感想文「私たちに託された使命」が全国コンクールに進むことになり、第六十回青少年読書感想文全国コンクールで入選賞をいただきました。
図書委員作成ポスター
本校では読書感想文を生徒全員に書いてもらっているわけではありません。今回のコンクールは、書きたいという生徒の申し出を受けて、応募に至っています。課題としてすべての生徒に読書感想文を書いてもらうことも、図書館の利用推進という意味では重要なのかもしれません。また「本を読むこと」自体は本校でも様々な形で長期休業中の宿題になっていますので、本を読むのを生徒任せにしているわけでもありません。しかし、読書感想文は全員の課題にはしておりません。これについては色々な考えがあるかと思いますが、自主的に書きたいという気持ちがあってこそ、感想文に向かう意識を持って本を読み、よりよい文章を書くことができるのだと思います。
今回、東京都のコンクールに応募するにあたり、わたしが添削をしました。それぞれの読みを活かしながら、どのようなところまで踏み込むかを一緒に考えました。全員の課題ではないため、きめ細かく見ることができたように思えます。生徒たちが本をどのように解釈しているかを語り合える有意義な時間になりました(少なくともわたしにとっては)。
結果として全国コンクールで入選賞をいただいたわけですが、自分の解釈や感想を外に示そうとする過程で、それぞれの発見や成長があったと思います。もっと多くの生徒に関わってもらい、本との出会いや自己の再発見などにつなげていってほしいと考えています。これからは自主的になるのを待つ、だけではなく、積極的な働きかけは必要なのだと思います。ただし、自主性を損なうことがないような工夫をしながら。
東京学芸大学附属高等学校 国語科教諭 日渡正行
「アヴェ•マリアのヴァイオリン」関連図書館内展示
「
人間の条件」ハンナ•アレント1994年 ちくま学芸文庫 「夜と霧」フランクル 1661年 みすず書房
「アンナとロッテ」テッサ•デ•ロー 2004年 日本テレビ
「朗読者」ベルンハルト•シュリンク 2000年 新潮社
「ケストナー」クラウス•コードン 1999年 偕成社
「回想」レニ•リーフェンシュタール 1998年 文春文庫
「人生があなたを待っている」クリングバーグ2006年みすず書房 他
夏休み前に図書館のカウンターで「読書感想文のコンクールに挑戦したい」との相談を受けました。生徒と選書をしながら、最終的に「アヴェ•マリアのヴァイオリン」「路上のストライカー」「生命とは何だろう?」「海と毒薬」が残りました。
大変だったのは、どの本を対象にするかということでした。悩みながら、本を選ぶ楽しさも生徒と一緒に味わえました。読書コンクールは内容の異なる本に出会える場になるとあらためて思いました。
東京学芸大学附属高等学校図書館 司書 岡田和美
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