今月の学校図書館


2013/03/09

千葉県市川市立冨美浜小学校の巻

Tweet ThisSend to Facebook | by 村上

今月学校図書館
 
 
今月は、千葉県市川市立富美浜小学校での図
書館関わる様々な活動の一端をご紹介します。
 
 
 
 2階への階段を上って図書室に行こうとすると、真っ先に目に入るのは季節の花と詩です。2月下旬、あたりの梅がようやく匂い立つようになりました。今はこちらの俳句を添えています。卒業間近な六年生へのメッセージも込めて「勇気こそ 地の塩なれや 梅真白」(中村草田男)
 
 
 
 千葉県市川市の南部にある富美浜小学校図書館は「ことば」を前面に出すことを意識しています。ことばの「音」も大切にし、あちらこちらにいつも「詩」があります。図書室にはいると、壁面に大きく掲示している詩が、子どもたちを迎えます。やなせたかし「けんきゅうしよう」と谷川俊太郎「学ぶ」。カウンターで順番を待っているときなど、見るともなく見て、読むともなく読み、声に出してつぶやく子どもたちです。
 
 
     写真 やなせたかし「けんきゅうしよう」『てのひらをたいように』より(国土社)
 
 
 
 写真 谷川俊太郎「学ぶ」『すき』より(理論社)
 
 
  この富美浜小学校図書館の図書員会の活動を紹介します。

 大きな行事は年に2回の読書週間、中心テーマはここ数年毎年同じで、春は「詩」、秋は「古典名作」です。
下の写真は読書週間の掲示と読書ポスターです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                                                
 
 
  読書週間は、全校読書集会で始まります。春の読書週間は、このようなようすです。
 

 
 テーマは「詩とあそぼう」。詩といっても、国語の教科書に載っているものだけが「詩」なのではなく、日常生活のいたるところに「詩」があることを案内します。
     
 はやしことばも歌も「詩」です。この全校集会で紹介する詩やわらべうたは、すべて模造紙を何枚も張り合わせた大きな紙に書き、全校のみんなが見えて、みんなで声が出せるようにしておきました。 
 図書委員たちが詩の世界を案内します。まずは、「でんでらりゅうば」の手遊びです。全校でうたいながら何度か繰り返し、だんだん早くしていきました。
 
 
 
 
  じゃんけんも、ただ「じゃんけんぽん」ではなく、歌と一緒にじゃんけんしましょう。「はやしの中から おばけがぞーろぞろ…」と、身振り手振りも添えて、うたいながらじゃんけんをすると、じゃんけんそのものがあそびになります。舞台の上で大きな「グー」「チョキ」「パー」のプラカードをかかげた図書委員を相手に、みんなでじゃんけん大会です。図書委員が出したプラカードに負けたら座っていき、5回のあとに立っている(勝ち続けている)児童に拍手!!!
 
 わらべうたはまだ続きます。何人かに舞台に上がってもらって「はないちもんめ」をしたり、「ほ ほ ほたるこい」の歌と「ほたるこい やまみちこい」の歌と、ふたつの歌をかさねて即興で全校合唱をしたり、体を使っての集会です。
 (参考『にほんのわらべうた』全4巻 福音館書店)
 
  
 もちろんわらべうたばかりではありません。短歌、俳句、現代詩も紹介します。たとえば名歌名句を紹介するにも、前もって校内に掲示しておいた中からの三択クイズにするなどして、とにかく全校参加ができるようなプログラムを考えます。この場合、読書集会の2週間くらい前から、図書委員が校内に「おぼえておきたいこの俳句」として「しずかさや 岩にしみいる セミの声」や「荒海や 佐渡に横とう 天の川」などの5句を「読書集会クイズに出ます」というコメントも添えて、校内の目立つあちらこちらに貼っておきました。そして当日のクイズとしました。 
 たとえばある時の、三択クイズ「『しずかさや 岩にしみいる』のあとの5音はなんでしょう」「1、セミの声」「2、滝の音」「3、虫の声」  校内には三択クイズのためのヒントが掲示されていたりします。自分が正しいと思う番号に手を挙げてもらいました。
 
 
 
 
 
 
 業間休み時間には、低学年、中学年、高学年別に催し物を行いました。「詩と遊ぼう」をテーマにした、自由参加のミニ集会です。ことば遊びの詩をみんなで声を出したり、詩形式のなぞなぞに答えてもらったり、男女に分かれてかけあいをしたり、詩で楽しみました。
 

←写真 ミニ集会

 
 


♪ 百人一首大会 ♪
  
 
 富美浜小学校では、1年生のときから百人一首であそびます。12月から1月にかけて、校内は百人一首で盛り上がります。この時期の図書室は、休み時間も百人一首の札が机を占領し、歌を詠む声と「はい!」という声でいっぱいです。静かな読書はどこへやら…。
  

 
 1月末には百人一首大会を行います。今年の百人一首大会は、3年生以上によるグループ対戦にしました。学年別に3人一組になって対戦します。体育館がいっぱいになるほど出場チームが多く、3日にわたって3回戦まで、勝ち抜き戦を行いました。この裏方も図書委員会です。
 
 
 
←写真 百人一首大会
 
 
  
 図書委員会の役割は、友だちと本とを結ぶことです。読書週間のような行事をきっかけとして図書委員自身がたくさんの本に触れ、その本を友達に紹介しています。
 
 

                          (紹介文は 市川市立富美浜小学校司書 高桑弥須子さんにお願いしました。)
 

  学校図書館でのこのような活動が、子どもたちの豊かな育ちを支えていることが伝わってきます。学校司書の高桑さんが書かれた、『学校ブックトーク入門―元気な学校図書館のつくりかた』  教文館 2011 という本は、ブックトークだけにとどまらず、学校の中で小学校の司書がどのような役割を果たしているかがとてもよくわかります。まだお読みでない方はぜひ一読を!
 
 注)  市川市の学校図書館教育は、他市に先駆け様々な取り組みをしてきました。詳細をお知りになりたい方は、市川市教育委員会のサイトをご覧ください。             (文責 東京学芸大学附属世田谷中学校 村上恭子)

                          

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