筑波大学附属小学校図書館
私が本校に赴任したのは2011年の春です。当時の図書館には、背の高い書架がずらっと並べられ、その間は狭くて薄暗く、すれ違ったり本をさがしたりするのも大変でした。
明るく、居心地のよい図書館にしたい、子どもたちが喜んでやって来る図書館にしたい。そう思い、この3年間、書架の高さやレイアウトの変更、展示物作りなど、子どもたちと一緒に図書館を作ってきました。
図書館がきれいになるにつれ、貸し出し数も増加し、授業での活用される機会も増えてきています。理想の図書館にはまだまだほど遠いですが、明るく、広々とした図書館に生まれ変わった今の様子を紹介します。
明るくなった図書館
背の高い5段の書架を上下で分解し、3段と2段の書架として使うようにしました。配置も変え、書架と書架の幅を広げました。その結果、子どもたちも自分の目の高さでゆったりと本がながめられるようになり、友達同士、一緒に本を探したり、紹介し合ったりする姿も見られるようになりました。また、窓からの光も部屋の奥まで差し込むようになり、明るい図書館になりました。
子どもたちの協力
書架の上にある展示台は、5、6年生の子どもたちによる手作りです。図工科の先生のご指導の下、ボランティア活動(委員会活動)の時間に、ホームセンターで売っている角材で作ってくれました。おかげで、図書館に入ってくると同時に、たくさんの本の表紙がぱっと目に飛び込んでくるようになりました。
展示台には、よい本ですがなかなか手に取られない本や、ぜひ読んでほしい本を置いています。また、子どもたち自身もおすすめの本も置いています。中には簡単な紹介文を書いてきてくれる子もいて、自分が推薦した本が借りられていくのを楽しみにしています。
5年生が図工科の学習の中で作ってくれた案内表示です。分類ごとの内容が上手にデザインされ、分かりやすいものとなっています。手作りの温もりのある素敵な作品が並んでいます。
壁面の大きな掲示物も子どもたちと作りました。台紙は、ビニールシートにオレンジや黄色のお花紙を貼っています。文字は発泡スチロール、絵は紙を切り抜き作りました。おかげで、図書館が明るい雰囲気になりました。
レイアウトを変更した際、9畳ほどの読み聞かせ用の畳スペースを設置しました。休み時間には、友だちと一緒に絵本を読んだり、思い思いの格好で読書をしたりと大人気の場所です。
季節感あふれる掲示
図書館の入り口には、毎月、季節の詩や短歌、俳句を掲示したり、行事のいわれや習慣を紹介したりしています。伝統文化への理解を深めると共に、美しい日本語にふれ、言語感覚を磨いてほしいと願っています。子どもたちは、詩歌を口ずさんだり、暗唱したりしています。
季節の移り変わりを肌で感じられるよう、植物などの実物を展示することも心がけています。写真は、ある先生が持ってきてくださったたけのこ。長さが90㎝あります。低学年の学級では、持ち上げてその重さに驚いたり、さわって細かな毛があることを発見したり、香りを楽しんだりしました。その後、「たけのこ ぐん!」(武鹿悦子作)の詩を読み、また、『ふしぎなたけのこ』(松野正子作 瀬川康男絵 福音館書店)の読み聞かせしました。その日の給食は偶然にもたけのこご飯で、たけのこを満喫した一日でした。
授業との連携
図書館の環境が整い、授業で活用される機会も増えてきました。
写真は、3年生の国語で、『めだか』という説明文を学習した際に作った絵本です。授業では、意味段落のまとまりを把握するために、絵本づくりの活動をしました。教科書の説明文に書かれている大きな二つの内容をそれぞれ、『がんばれめだか』、『すごいなめだか』の絵本にしました。さらに説明文には書かれていない内容、めだかのえさやすみか、飼い方などを百科事典や図鑑、めだかの本など資料で調べて、『身近なめだか』の絵本にまとめました。完成した三冊の絵本は、図書館に置き、他の学級の子どもたちに見てもらっています。
図書館が授業に直接関わっていなくても、授業で作成した作品を図書館に置き、全校の児童に見てもらう場としても活用されています。作品を見ながら、楽しい会話が聞こえてきます。学年を超えた交流の場になったり、図書館にあまり来ない子どもがやって来るきっかけにもなったりしています。
写真は、ビニール製のアヒルのおもちゃ(名前はアヒルッティ)の一日をデジカメで撮ってまとめた、その名も『借りぐらしのアヒルッティ』と粘土で作ったゆるキャラの写真をまとめた『学校のゆるキャラ図鑑』です。ゆるキャラの中に、図書館に住むブックンがいます。
(筑波大学附属小学校司書 栗原 浩美)
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