今年度の成果のひとつは、デジタルプラットフォームの作成です。子どもたちが、ひとり一台使えるようになった各自の端末から、広大な情報の海に漕ぎ出すとき、良質な情報にアクセスできる窓口が必要だろうということで、大学図書館との協力により司書が情報を集めて作成し、運用を始めることができました。
簡単に言うと、学習につかえるリンク集ですが、「Yahoo!きっず」のような基本的なものから、竹早小の図書検索((株)カーリルの学校図書館支援プログラムによるもの)、学大総合OPAC「GAKUMOPAC」や、ポプラディアネット・電子書籍「Yomokka!」の入口などを載せています。先生方の希望により、キーボード入力の練習サイトなどもリンクしており、必要に応じて、リンクを増やしていくことができるようになっています。いずれは、子どもたちの作品をデジタルアーカイブするなどの機能も備えられたらと構想しているため、外部から開けない方がよいということで、媒体は、「Microsoft SharePoint」を使用しています。附属の子どもたちが全員持っているMicrosoftアカウントで開くことができるので、子どもたちは教室からでも家からでも、メディアセンターの本を検索できるようになって、いつでも蔵書とつながることができるようになりました。またメディアセンター内にも検索用の端末を設置することができ、とても便利になりました。
もうひとつは、(株)ポプラ社の協力のもと行った電子書籍の活用実践です。ポプラ社の電子書籍サービス「Yomokka!」は、今年度無料トライアル利用を行っており、利用した学校も数多くあるようですが、竹早小では、授業のなかでの利用の可能性を探るべく、研究を進めました。ポプラ社の方にもご参加いただき、電子書籍の機能をご紹介いただいたり、こちらからの要望をお伝えしたりすることもできました。発表会では2年生と3年生のクラスで、写真絵本と感想機能を使った国語の授業の発表を行いました。詳細は本データベースの授業事例にも載せていますのでご覧ください。(授業事例A0399、A0400)
メディアセンターとしても、「Yomokka!」をよりよく使ってもらうには、司書からの働きかけも有効と考え、図書便りで、「Yomokka!」のおすすめ本を紹介する、図書の時間の読み聞かせやブックトークでも「Yomokka!」の本を使用し、大型TVに映して見せる、感想欄やおすすめランキング機能に司書も記入する、など、積極的に使用しました。紙の書籍と電子書籍両方を使ったテーマ読書も行ってみました。富安陽子作品のテーマ読書です。(授業事例A0398 )子どもたちは、面白ければ、紙でも電子でも垣根なくどんどん読んでいくのが印象的でした。
何よりみんなで一斉に同じものが読めるというのは、最大の利点で、アニマシオンや読書会などいろいろな活用の可能性があります。「Yomokka!」のような電子書籍読み放題サービスがあると、学校図書館の役割はどうなってしまうのか、という危惧もよく聞きますが、学校図書館と電子書籍サービスをうまく連携させていくことは十分できるし、未来の学校図書館にとって必要不可欠なことではないかと考えています。
このように少しずつ、メディアセンターのDX化(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいますが、まだまだ「未来の」というよりは「現在の」学校図書館にやっと追いついてきた竹早小です。さらに研究を重ねて、新しい可能性をひらく「未来の」学校図書館を目指していきたいと思います。
来月は附属竹早中学校にバトンタッチします。