新しい本がみなさんを待っています

2020-05-12 14:20 | by 金澤(主担) |

 現在は、非常事態宣言に伴い在宅勤務を続けている。出勤できていた時に新しく購入した本の受け入れ作業をしていた。それを展示し、子どもたちの登校を待ちわびていたが、いまだに休校が続いている…
 今月は、この新しく購入した本の中から、何冊か紹介してみる。



『さくらの谷』 
富安陽子(文) 松成真理子(絵) 偕成社

 満開の桜にうめつくされた谷に迷い込んだ私。桜の木の周りで、たくさんの人が、御馳走をひろげて花見をしていた。歌を歌って楽しそうだ。ところが、良く見ると人ではなく、鬼たちだった。鬼たちは、私を手招きして仲間に入れてくれた。一緒に楽しむうちに、昔のことが思い出されたり、なんだか不思議な気分になってきたり…
 淡い絵が、不思議なお話の世界に私たちを連れていってくれる。






『ヒグマ』―北国からの動物記
  竹田津実(文・写真)アリス館

 「北国からの動物記」のシリーズ10巻目。
 このシリーズは、野生動物の獣医師であった著者が、長年観察してきた野生動物たちを自分で撮った写真と共に紹介している本である。
 知床半島のルシャ川の周りは、「ヒグマの王国」と呼ばれているらしい。著者は、そこへ出向き、ヒグマの観察を始めた。2年間の観察から、子育ての様子や獲物の捕り方等を紹介している。人々の生活のすぐそばで生活しているヒグマたちを感じる。著者は、人間と野性動物との距離のとり方も教えてくれる。







『朔と新』 いとうみく(作) 講談社
 優秀で優しい兄が、バスの事故で失明した。弟の新(あき)のわがままから予定を変更して乗ったバスだった。責任を感じた新は、罪滅ぼしのため、自分にとって大切な陸上をやめる。
 盲学校へ入学してから一度も家に帰ってこなかった兄の朔(さく)が帰ってきた。そして、陸上をやめた弟に伴走者になることを頼んだ。
 走ることをあきらめ、自分の気持ちにふたをしてきた新だったが、兄と走ることで、自分の心に素直になっていく。失明してしまった朔も、自分のこの状況をすぐに受け入れられたわけではない。弟と走りながら、自分を見つめ直していった。
 一本のロープでつながれている兄弟の絆は再生されるのか?





『おばあちゃんの小さかったとき』
              おちとよこ(作) ながたはるみ(絵) 福音館書店

 『母さんの小さかったとき』(1988年出版)を大幅に改訂した本である。
 これまでは、お母さんが子どもに話してあげていたが、この本では、おばあちゃんが、孫に自分の子どもの頃の生活の様子を話している。
 女の子は、どんな遊びをしていたのか、お手伝いは?おやつは?学校生活は?1950年~1960年の昭和の時代の暮らしがわかる。
 『お父さんの小さかったとき』を改訂した『おじいちゃんの小さかったとき』もある。この本では、男の子の生活の様子がわかる。






『テツコ・プー』―ふうせんになった おんなのこ 児島なおみ(作) 偕成社
 いつもプーッと不機嫌なので、テツコ・プーと呼ばれている女の子。今朝も弟をいじめて、お母さんに怒られたけれど、謝らないでプーッとしている。お母さんが、「いつまでも プーッとしていると ふうせん みたいに ふくらんで どっかに とんでっちゃいますよ。」といったら、本当にどんどん膨らんで、空へ飛んで行っちゃった。
 風船みたいに空を飛んでいってもへっちゃら。でも、おうちには、どうやってもどるのかな?膨らんだままじゃ、降りられないよね…







 これから登校はどうなるのやら?時差登校やクラスを半分にしての登校など、様々な案が聞こえてくるが…図書館も閉まり、本を手にできないでいる子どもたち。一日も早い図書館の再開を願う。
           (東京学芸大学附属世田谷小学校 学校司書 金澤磨樹子)
 

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