評論に挑む 生徒が生徒に伝えあう推薦文

2020-02-04 11:28 | by 岡田(主担) |

 附属高校の図書館では授業での図書館使用に力を入れています。
「高校生がなかなか手に取らない評論を敢えて読ませたい」との教員の意向を受けました。
図書館司書をしていて、「この評論面白いのに」と思いながら、やはり借りてもらえない分野ではあります。このような時には、授業で教員と一緒に生徒へ本を届けるのが一番いい方法です。後日、教員が「推薦文のいいものを館内展示して欲しい」と持参してくれました。こんな風に教員と一緒に展示が行えるのが理想の形だと常日頃思っています。今回は国語の授業との合同展示を紹介します。


資料支援をした図書は以下です。
『暇と退屈の倫理学』國分功一朗 2011 朝日出版社 
『学問のすすめ』福沢諭吉 1978 岩波文庫
『豊かさとは何か』暉峻淑子 1989 岩波新書
『高校生のための哲学入門』長谷川宏 2007 ちくま新書
『鬼の研究』馬場アキ子 1988 ちくま新書
『聞く力』阿川佐和子 2012 文春新書
『科学者という仕事』酒井邦嘉 1843 中公新書
『私家日本語文法』井上ひさし 1984 新潮文庫
『科学の目 科学のこころ』 長谷川真理子 1992 岩波新書
『ゾウの時間 ネズミの時間』本川達雄 1992 中公新書
『タテ社会の人間関係』中根千枝 1967 講談社現代新書

生徒の書いた選書の理由には
「私は今まで哲学というものに触れたことがなく」
「将来の選択肢の一つとして気象予報士の資格を取りたい」
「文法と聞くと、いつも憂鬱な気分になる」
「自らの探究活動に役立てたい」
「科学者になる事は私の状来の夢の一つだから」
など、実に高校生らしい動機が語られています。
 
 文科省から要請の「コミュニケーション能力の向上」に向けての授業が本校では増えています。図書を媒体として、生徒同士の伝える、教えあう、共感する授業は学校図書館という場を介してとても適していると、日々感じています。
生徒が書いた推薦文を読みあい、本への興味を促すとともに、友達の考えを理解できる展示となりました。

            (東京学芸大附属高等学校 司書 岡田和美)

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