「調べものの部屋」開室!

2016-02-23 13:28 | by 村上 |

 2月2日に、国際子ども図書館内に、「調べものの部屋」が開室されました。

  調べものの部屋  ・・・ 中高生を利用対象とした約1万冊の資料が、開架式の棚に並んでいて、国際子ども図書館が開館している時間なら、誰でも利用ができるそうです。中学生~高校生が、調べものやレポート作成をする上で参考になる資料という視点で、セレクトされている蔵書ですが、内容的には、スポーツや音楽から戦国武将まで、ノンフィクションを中心にさまざまなテーマの本が揃っているとのこと。

 4月からは、修学旅行や校外学習のグループを対象とした「調べもの体験プログラム」(事前申込制)も始まります。詳しくは、こちらをご覧ください。

 東京学芸大学附属学校も、「調べものの部屋」開設に向けてのプロジェクトに一部協力をさせていただきました。13の学校図書館の蔵書を分析し、中核となるような資料群があるか、あるならそれを明らかにし、調べものの部屋のコレクション構築に多少なりとも役立てたい・・・という意向もあったのではと思います。しかし、結果的には、資料の重なりは思っていた以上に少なく、中核となる資料群を特定することは難しかったようです。
  
  学校図書館の蔵書分析;13校の全蔵書データを対象に 

     (三田図書館・情報学会研究大会発表論文集2013年度)


 国際子ども図書館 児童サービス課の根岸輝美子さんに、調べものの部屋について、いくつか質問をさせていただきました。

 Q1:蔵書の選定はどのように行っているのでしょうか?
 A1:日本語資料に関しては以下のツール等を用いて候補資料を調査し、選定を行っています。

  ・  NDL-OPAC等のデータベース

  ・  学校図書館向け各種目録(全国学校図書館協議会編『学校図書館速報版』『学校図書館基本図書目録』等)

  ・  新刊案内情報(TRC新刊全点案内、各出版社の出版目録等)

  ・  国際子ども図書館児童書研究資料室に開架の新刊納本資料のブラウジング

  ・  中高生向け調べものの部屋の準備調査プ ロジェクト(平成24~25年度実施)での学校図書館事例調査により入手した協力校の所蔵データ

 

   外国語資料に関しては以下の候補資料を調査し、選定を行っています。

  ・  国際子ども図書館児童書研究資料室所管資料

  ・  国立国会図書館東京本館人文総合情報室、科学技術・経済情報室開架資料のブラウジング

 
 Q2 調べものの部屋の蔵書を検索して、特定のテーマの選書に役立てることができると思うのですが?
 A2 はい、ぜひ役立ててください。子どもOPACでしたら、調べものの部屋の所蔵資料を対象に検索が可能です。      http://iss.ndl.go.jp/children/top
 

 Q3 本校の教諭も、ぜひ生徒を連れていきたいと言っていますが、「調べもの体験プログラム」には、すでに予約が入っているのでしょうか?
 A3 おかげさまで、4月からの実施にもかかわらず、現時点で5件の予約が入っています。ぜひ多くの中高生に体験していただきたいです。

 Q4 2月2日にオープンして、まだ一か月にも満たないのですが、来館された方からは、どのような感想をいただいていますか?
 A4 今のところ以下のようなご意見をいただいています。
  ・入ってすぐの「図書館の使い方」小展示パネルはとてもわかりやすくて良い。 (高校生)
  ・10の分類を言葉で表現する。いったいどんな本が並んでいるのかをすぐに見に行きたくなるような、わかりやすくてスッと頭に入ってくる、魅力的な表現です。(学校司書)
  ・選書のセンスが良い。中高生のみならず、大人にとっても興味深い本が並んでいる。(利用者)

  調べものの部屋には、大人向けの一般書もたくさん並んでいるので、中高生のための部屋なのですが、大人の評判がいいです。また、近隣の中学生が学校帰りに寄って、 本を手にする光景も見られます。


 公共図書館の一角によく「ヤングアダルトコーナー」などが設けられていることがありますが、中高の学校司書から見れば、いつも物足りない思いを抱いていました。この調べものの部屋は、1万冊の蔵書を見渡すだけでも、楽しそうです。”10の分類を表現する言葉”も気になりますね。まずは学校司書として、ぜひ足を運びたいと思います。皆さんも上野方面にお出かけの際は、ぜひチェックしてみませんか!

(文責 附属世田谷中学校 村上恭子)

次の記事 前の記事