読みたくなる絵本
2026-03-09 11:23 | by 松岡 |
春が近づいてくると読みたくなる絵本を紹介します。

『ちいさなはくさい』
くどうなおこ さく / ほてはまたかし え
小峰書店 2013年 ISBN 978-4-338-26110-4
畑を見下ろす柿の木と、畑からはみ出して育つ小さなはくさいの子が春を待ちながら会話をしています。何度もめぐる季節を見てきた柿の木と、初めて冬を越し春を迎えるはくさいの子のやりとりはとても微笑ましく、力強いのにやさしいタッチの挿絵で、文・絵共に楽しめる絵本です。
『のはらうた』でもおなじみの工藤直子さんの文章はとても読みやすく、リズム感もある文章なので読み手・聞き手どちらにも心地よいのがこの絵本を読みたくなるポイントの一つです。
そして、ほてはまたかしさんの描く挿絵は、見開きいっぱいに情景が描かれていて、見やすく遠目がききます。また、場面によってははくさいの子がぽつんと描かれていて寂しそうに見えたり、柿の木とはくさいの子が対話をしているように見えたりします。擬人化して描かれているわけではないのに、文章の柿の木とはくさいの子のやりとりがすんなりと入ってきます。
冬の厳しい寒さを耐え、春が来て暖かな日差しの中で花を咲かせるはくさいの様子はぜひ絵本を手に取って確かめてほしい場面です。絵本から温度が伝わってくるようです。
先日この絵本を1年生に読み聞かせで紹介しました。はくさいの子が大きくなろうと「いっち・に・さん・し」と体操をする場面で「かわいいね」とつぶやいている子がいました。つぶやいていた子の中で物語がちゃんと動いていたのかな、と嬉しい気持ちになりました。
(東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)