『あらしのよるに』
2026-06-10 11:38 | by 松岡 |
昨年3月と11月に『あらしのよるに』の新シリーズが約20年ぶりに刊行されました。

(左)『新あらしのよるにシリーズ1 あいことばはあらしのよるに』
きむらゆういち/作 あべ弘士/絵 講談社 2025年 ISBN 9784065383865
(右)『新あらしのよるにシリーズ2 あたらしいかぞく』
きむらゆういち/作 あべ弘士/絵 講談社 2025年 ISBN 9784065409671
オオカミのガブとヤギのメイ、本来なら天敵のふたりが育む友情の物語。新シリーズには「あたらしいかぞく」リスのポイが登場します。
この『あらしのよるに』のシリーズは30年近く前に出版されて、今もなお人気のあるシリーズ作品です。
『大型版あらしのよるにシリーズ1
あらしのよるに』
きむらゆういち/作 あべ弘士/絵 講談社 2000年
ISBN 9784062102933
あらしのよる、小さな小屋に逃げ込んだ一匹のヤギ。同じように小屋に逃げ込んできたのは一匹のオオカミ。くらやみの中でおたがいの姿が見えないヤギとオオカミは、相手が自分の「天敵」だとは気づかないまま次第になかよくなっていきますが…。
長い間読み親しまれていて、映画や舞台、歌舞伎で上演もされている大人気作品です。皆さま既にご存じの作品ではありますが、先日2年生と3年生の図書の時間に司書教諭の西岡先生が『あらしのよるに』を読み聞かせしてくれた様子を今回ご紹介します。
「このお話、知っている?」の問いかけに、どちらの学年からも「知ってる!」「読んだことある!」「見たことある!」という声は少なくありませんでした。
物語を知っている子がいても、ヤギのメイとオオカミのガブがそれぞれの正体がわかってしまいそうになる瞬間「あー!(ヤギ/オオカミだってばれちゃう!)」という声があちこちからあがり、次のページでホッとする、というハラハラドキドキする展開を多くの子が楽しんでいました。
2年生も3年生もこの物語を楽しみ、つづきを知りたがっていましたが、若干、2年生より3年生の方が物語の展開に予測をつけながら聞いていたり、次の展開に関心を寄せたりしている子が多かったようでした。
先生の読み聞かせを聞いていて、特に第一作目の『あらしのよるに』は、暗闇の中で姿が見えない、鼻かぜをひいていてにおいがわからない、ふたりが話すおいしい「えさ」のすれちがい、などのストーリー展開が子どもたちの反応に絶妙に応えてくれている構成になっていることに改めて感心しました。
『あらしのよるに』シリーズは全7作の絵本ですが、このシリーズを一気読みできる「完全版」も2014年に出版されています。
『完全版 あらしのよるに』
きむらゆういち/作 あべ弘士/絵 講談社 2014年
ISBN 9784062785099
シリーズの1から7までが完全収録されています。1冊の本になって読んでみると、不思議なことに7章からなる一つの作品として完成されていて、読み応えがあります。
長いお話を読むのは苦手、という子にも手に取りやすい1冊かもしれません。
様々な形で楽しむことができる『あらしのよるに』シリーズ。色々なアプローチ方法がありそうです。
(東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)