子供を守る・自分を守る
2024-07-17 11:35 | by 岡田 |
一学期も終わりに近づきました。先日カウンターで図書委員が「あ〜取り敢えず試験が終わったー」と大きく伸びをしていました。4月から探求学習などの日々の学びに加えて、地理実習、体育祭、タイ国学生交流会、サイエンスフェアと様々な行事も行なわれました。特に一学期は入学、進級のクラス替えとまわりの環境も大きく変わり、生徒に大きく負担がかかる時期になります。本校ではそんな生徒へ向けて心身の健康を保ち、自分自身をいたわる方法を掲載した『こころの扉』という冊子を学校から配布しています。リラックス法の一つに「読書をする」の項目が記載されています。そこで今回は、自分自身をケアする方法の一つとして、忙しい本校生徒に教員が薦めた絵本を紹介します。
『びくびくビリー』アンソニー・ブラウン/作 灰島かり/訳 評論社 2006年 ISBN4:566-00846-0
ブックトークで授業参加をした際に、教員が好きな本として生徒に紹介し、購入を決めた絵本です。心のセルフケアとして「リラックス」と「リフレッシュ」の違いを『こころの扉』では分類して紹介しています。「緊張しやすい」ビリーにとって必要なのは心を解きほぐす「リラックス」です。高校生にとっても小さい心配事は毎日つきません。「リラックス」できる環境やグッズを揃えておくことも自分を守る大切な方法の一つです。さて、ビリーはどんな方法で「リラックス」を得ることができたのでしょうか。
『まじょのひ』大塚雄三/再話 渡辺章人/画 1989年 福音館 ISBN:978-4-8340-1452-5
太平洋を意識した内容の本として授業使用した絵本です。おおらかなパプアニューギニアの昔話です。「リフレッシュ」の方法として旅行があげられますが、違う場所に行って異文化と出会うことは、今までと違う視点をもたらしてくれます。海外へは気軽には出かけられなくても絵本なら自由に移動ができます。火を持つ魔女や日本では馴染みの薄い動物のクスクスなど、ダイナミックな昔話の展開に時代も空間も超えて日常とちがう世界を楽しんでみてください。
『くまのコールテンくん』ドン・フリーマン/作 松岡享子/訳 1990年 偕成社 ISBN:4-03-2021-2
成長期の高校生は自分自身への意識が強くなります。「友達と比べて劣っている」「自分は自分で良しと思えない」と狭い考えで悩んでいませんか。「自分とは何なのだろう」と考える時期の高校生に読んでほしい絵本です。デパートでリサちゃんに選んでもらえなかったのは、自分のズボンのボタンのせいだと思ってしまう主人公の気持ちや、そうではないことを伝えるリサちゃん家族との交流から自己評価と他者への共感の理解が深まります。
『ねむいねむいねずみ』ささきまき/作・絵 1979年 PHP研究所 ISBN:4-569-58597-3
睡眠の授業を保健体育と家庭科で両方面から取り上げています。一般的に高校生は8時間睡眠が推奨されていますが、皆さんはどうでしょうか。「いつも眠たいあなたに」として1.光を調整して体内時計を整える 2.休日でも同じ時間に起床する などが提案されています。この本を初めて読んだ時は個性的なねずみくんの冒険にワクワクしました。ねずみくんと一緒に睡眠を考えながら読んでみてはどうでしょうか。絵本を読むことを通して是非リラックスして日常を整えてみてください。
(東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)