部門2の概要 Department 2
日本では,子どもたちの「生きる力」を育むという理念のもと,知識や技能の学習とともに思考力・判断力・表現力といった汎用的能力の育成を行ってきました。しかし,現行の学習指導要領については「生きる力」を構成する具体的資質・能力が明確でないことや,各教科の教育目標・内容と「生きる力」との関係も不十分であるなどの問題が指摘されています(文部科学省・育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会,2014)。こうした状況から,日本の新しい学習指導要領では,児童生徒に育成すべき資質・能力を明確にした上で,それを各教科の中でどのように育成するか,またその育成の状況を適切に把握するための学習評価はどうあるべきかを明確にすることが重要です。そして,汎用的な資質・能力は,教科の中で学んだ知識やスキルを活用して問題解決を行うための力であり,それを適切に育成するためには「何を知っているか」ではなく,「何ができるか」の観点から子どもたちの学習成果を評価する必要があります。
そこで部門2では,新しい学習指導要領において育成する資質・能力を創造的思考力(creativity),批判的思考力(critical thinking),コミュニケーションスキル(communication),コラボレーションスキル(collaboration),メタ認知(meta cognition)とし,これらの力を各教科の学びの中で評価する方法を,パフォーマンス課題に基づくルーブリックを用いた評価,及びICTを活用した学習評価として提案します。具体的には,学校現場での利用可能性を重視しながら,パフォーマンス課題やルーブリック,ポートフォリオなどの設計とそれらを通じた評価の指針を作成します。
そのために,大きく2つの研究を行っています。研究1(Performance Assessment Study)では,ALを通じて育成された教科横断的な資質・能力を実際の学校教育の中でどのように評価するかについて,パフォーマンス評価を行うことを前提に具体的な指針を提案します。研究2(ICT Learning Assessment Study)では,教科横断的な資質・能力を,タブレット端末などの情報機器を用いて評価するポートフォリオ評価の方法について具体的な指針を提案します。