今月は国際バカロレア(IB)認定校である、岡山県の学校法人みつ朝日学園 朝日日塾中等教育学校のメディアセンターをご紹介します。年間の館内活用が600時間以上というメディアセンターのようすを司書の小竹祐加さんに執筆いただきました。
朝日塾中等教育学校メディアセンター
1.学校の概要とメディアセンターの位置づけ
本校は全校生徒200名弱の中高一貫校で、岡山市北区御津(ミツ)地域という自然豊かな場所にある小規模な学校です。留学生(タイ、中国)も在籍しており、2021年に国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)MYP(Middle Years Programme)・DP(Diploma Programme)一貫教育認定校となりました。IBとは、多様な文化の理解と尊重の精神を通じて、より平和な世界を築くことに貢献する若者の育成を目的とした国際バカロレア機構(本部:ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログラムのことです。
IB認定に向け、2020年に『図書室』から『メディアセンター』に名称を変更し、床面積も111㎡から218㎡と倍近く広い教室に引っ越しました。(図書総数:約1万冊、雑誌:25誌(うち12誌寄贈)、新聞:3紙)メディアセンター内機器も少しずつ充実してきています。(現在、ノートパソコン6台、タブレット2台、コピー機1台、プロジェクター&スクリーン)
生徒は全員iPadを利用しており、メディアセンターの情報はGoogleクラスルーム、Googleサイト、学校のHPを使い校内外に発信しています。
▶メディアセンターのGoogleサイト ▲新着案内は配信&クラス掲示
2.メディアセンター活用の様子
寮生朝学習もセンターを使用しており、新聞ワークシートやNIE活動が行われています。(右画像:NIEコーナー)
引っ越し後は、機器が増えたこともあり、もともとメディアセンターで行われる授業(英語・社会)に加えて、多教科にわたる授業活用が増えました。年間で600時間以上の活用があります。蔵書はまだ十分ではないため、岡山県立図書館から年間約1600冊の資料を借りて授業に活用しています。
中学2年生の国語の授業(バイオロギングの単元)では、資料を活用したポスターセッションを行い、それぞれが発表者・質問者となりお互いの発表を評価し合いました。中学3年生の音楽の授業では、新聞データベース「朝日けんさくくん」を活用し、音楽療法について調べました。教科や単元毎で利用する資料が決まっている場合は、事前に関連資料を県立図書館から借用し、コーナーを設けています。また、その単元の学習終了後もメディアセンター内に生徒の成果物を展示して、他学年の生徒にも閲覧可能にしています。
その他、資料の探し方・データベースの使い方といった学問的誠実性を定着させる授業も行っています。
▲中2国語 ポスターセッションの様子 ▲中3音楽 新聞検索
3.データベース&電子図書館
紙以外の資料や情報にも親しみやすい環境づくりの一環として、以下5つのデータベースや電子図書館を導入しています。
➀朝日けんさくくん(朝日新聞検索システム)②Britannica school(英語で検索する辞書と百科事典)③ジャパンナレッジschool(日本語で検索する百科事典、辞書、新書・歴史漫画、日本古典文学全集などの電子図書)④LibrariE(電子書籍)⑤ProQuest Ebook Central(英語電子図書)
④、⑤の電子書籍については数が少ない事もあり、まだまだ定着には至っていませんが、定期的に統計データを示して利用増進を促しています。
その他、剽窃チェックTurnitinを導入し、レポートや論文作成時に引用個所をきちんと示せているか、また不正行為はないかといった点について生徒自らもチェックすることができるようになりました。こちらも、現在はDP生のみの利用となっているため今後はMYP生への利用拡大を目指しています。
4.成長する有機体として
貸出冊数増加、定期的な展示、効果的な告知、図書委員会活動の活性化など課題はまだまだ山積みですが、専任司書が配属され、昼休み・放課後も常時開館していること。さらに、設備が充実しつつあり、授業活用が増えたこと。以上の理由から、生徒たちにとってメディアセンターに来るというハードルは下がったように感じます。今後は、「心地よい空間」を提供するだけではなく、教員と連携を取りながら「読書センター」、「学習・情報センター」としてもさらに活用できる知的環境を目指して、成長する有機体でありたいと考えています。(学校司書:小竹祐加)
学校HP:https://m-asahijuku.ed.jp/
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