文楽っておもしろい

2023-02-09 13:37 | by 中村(主担) |

 文楽を見たことはありますか?
 人形浄瑠璃文楽は日本独自の総合芸術として、2008年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。語り・音楽・人形が三業(さんぎょう)一体となって舞台を作り上げる、世界でも例を見ない人形芝居です。「敷居が高い」「難しい」と思っている人は多いかもしれませんが、江戸時代の大坂で生まれ、上方の大衆に長く愛されてきた芸能とあって、意外にもクスっと笑えるシーンがあったり、人形にびっくりする仕掛けが施されていたりと、初心者でも楽しめる要素がたくさんあるのです。(イヤホンガイド付きで楽しめば分かりやすく解説してくれるので、見どころシーンを見逃す心配もありません) 昔の言葉が分からなくても、人形の繊細な動きや太夫の語り、情景や心情を音で表現する三味線などの音楽によって、物語の世界に惹きこまれていく不思議な魅力があります。

 現在、中学2年生が音楽の授業で、日本の伝統芸能について調べる学習をしています。授業では歌舞伎や文楽、能楽、雅楽などに関する図書資料のほか、タブレットも併用してそれぞれの伝統芸能について調べています。
 ちょうど2学期に図書館に入れた本で、今回の授業でよく使われ、かつ生徒の興味をひきつけて「文楽おもしろそう、観てみたい」という言葉を引き出せた1冊があるのでご紹介します。

 『14歳からの文楽のすゝめ』
  竹本織太夫監修 (実業之日本社) 2022年

     ※本の帯、外すのもったいないです 

 文楽の歴史、人形の秘密、舞台を作る人々についてなど、この1冊で文楽通になれる充実の内容です。くだけた文体でイラストや写真を多用し、とても分かりやすく読み手に文楽の魅力を伝えてくれます。
 第2章では「自分ばかりうまくいかない気がする」「クラスに居場所がなくて辛いです」「気づいたら三角関係 どうすれば・・・・・・」といった中学生にありがちな悩みについて、文楽の名作を紹介しながら精神科医が問題解決のヒントを提示してくれます。ふむふむ、こうやって読んでみると、江戸時代も現代も、文楽の世界も中学校生活も、みんなの悩みって変わらないんだなぁ・・・。そんな風に思える、身近な作品紹介となっています。

 生徒にとって普段はなじみの薄い伝統芸能も、自分で調べた知識が下地となって、いつか実際に舞台を観に行った時に一味違った鑑賞ができるといいなと思います。
 
 (東京学芸大学附属竹早中学校 司書 中村誠子)

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