『知識の海へ』児童図書館基本蔵書目録3 東京子ども図書館
2022-10-12 16:02 | by 岡田(主担) |
私たち司書が心待ちにしていた本が17年の時を経て出版されました。
『知識の海へ 』(児童図書館基本蔵書目録 3) 東京子ども図書館 2022
東京子ども図書館から待望の「児童図書館基本蔵書目録」のシリーズ第3巻が出版されました。『絵本の庭へ』『物語の森へ』に続いて幅広いジャンルのノンフィクション約1500冊もの厳選された本が収録されています。活用の仕方、試し読みもできますので以下のリンクからお入りください。
https://www.tcl.or.jp/umi/
https://www.tcl.or.jp/umi/
以前、学校司書講座で科学的な本の選書について取り上げたことがあります。理由の1つには「理科的な本の選書が難しい」「選書の基準を学びたい」との意見が受講生の中から上がった事です。図書館の蔵書構成に文学的な本が多いのは今も変わらないのではないでしょうか。メディアセンターとして位置付けられている学校図書館ですが、国語教育と密接に図書館が結びついてきた経緯が背景にあるようにも思います。特に児童へのノンフィクションの本の紹介は司書にとって、骨の折れる仕事の一つです。学年による知識の差や興味の対象への個々の違い、時代による学びの方向性の変化も現場では無視できません。一番気を使うのは学術的に古くないかの教育現場での精査です。先日、高校3年生が「文化の盗用」についての本を探しに来ました。レファレンスを行いながら新しい概念の本を生徒と一緒に考える喜びと、立ち向かう畏怖の念にとらわれました。どのように変化していくのかわからないノンフィクションという難しく、苦手意識のあるジャンルを豊かな「知識の海」に導いてくれる本が手に取れることを深く感謝しています。皆様にもこの素晴らしい本をこの場で紹介できることを本当に嬉しく思います。
(東京学芸大学附属高等学校 司書 岡田和美)