『絵本で広がる小学校の授業づくり』
2022-08-25 14:58 | by 松岡(主担) |
今回、著者である齊藤先生よりコメントをいただきました。
「絵本をもって教室に行こう!」
私にとっての絵本との出会いは、自分が子どもをもった時に遡ります。そして、そんなときに出会った日野市の学校の司書のSさんとの出会いが、絵本の楽しさと魅力を教えてくれました。授業で絵本を活用するようになったのは、それからさらに時間が経ってからです。そして、教材としての可能性に目を開かせてくれたのは担任していた子どもたちです。
子どもたちは絵本が大好きです。読んでもらえることを楽しみにしています。もちろん、自分で読みたい子もたくさんいます。その反面、子どもの頃の私自身のように自分から絵本を手にすることのない子もいます。ですから、子どもたちが興味をもてる絵本に出会えるように、そして担任の先生や周囲の大人が、子どもたちにその子にあった絵本を提供できる本をつくりたいと思っていました。もちろん、その中には授業で活用できるように、指導案や板書記録、写真資料、イラストなどをふんだんに使って示したいと思いました。ですから、本書の事例はすべて私自身の実際の授業をもとにしています。
絵本を使った授業実践というと、道徳の事例が多く見られます。書籍化されているものも少なくありません。絵本がそもそも幼い子どもたちのための教育メディアであることを考えれば、当然かも知れません。けれども、本書では道徳に限らず、多様な教科領域での授業実践を事例として掲載しています。道徳はもちろんのこと、算数、生活、図画工作、体育、英語、運動会の表現運動や食育といった特別活動に関連する事例も紹介しています。
本書で紹介している絵本は授業で活用できるであろう絵本の一部に過ぎません。リスト化も私の狭い絵本の知識や経験だけでは太刀打ちができませんでした。ですから、京都女子大学の学生のみなさんの協力を得てリスト化したものです。私が東京学芸大学附属小金井小学校で担任をしていたときにも、ずいぶん司書の松岡さんにお世話になりました。松岡さんを通じて、他校の司書のみなさんにもお世話になりました。そういった積み重ねの末の授業実践でもあります。ぜひ先生方も、授業で絵本を活用して、楽しい授業実践を展開してください。
本書を読むと、齊藤先生ご自身が絵本が好きで子どもたちと絵本の世界や時間を共有しながら授業づくりをされているのが伝わってきました。豊富な実践経験から選ばれた312冊の絵本は授業と切り離しても読んでみたくなる、魅力的な絵本がたくさん紹介されています。
授業例と併せて紹介されている絵本に関しては、教材としての絵本の紹介から指導ポイント、授業の流れまで丁寧に紹介されているので、授業づくり、クラスづくりのヒントとしても先生方におすすめの一冊です。
(編集 東京学芸大学附属小金井小学校 司書 松岡みどり)