賑わいを創出する図書館
2025-05-12 20:45 | by 村上 |
まもなくKADOKAWAから出版される『賑わいを創出する図書館』の著者は、元ぎふメディアコスモスの総合プロデューサー 吉成信夫氏。当サイトでも、みんなの森メディアコスモス訪問記を2022年8月に紹介しています。この本の副題に”開館9ヶ月半で来館者100万人を達成した「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の冒険”とあります。公募で選ばれ初代館長となった吉成氏は、実は図書館での勤務経験がなかったそうです。そのマイナス要素を、公共図書館のあたりまえに囚われないというプラス要素に変え、次々と斬新なアイデアで、それまで静寂なイメージの図書館像を変えていきます。
”賑やか”をキーワードに、吉成信夫氏と、北欧の図書館についての研究をライフワークにされている筑波大学の吉田右子先生との対談をお願いしたのは、吉成氏が『デンマークのにぎやかな公共図書館』(吉田右子著 新評論 2010)を読み、志は同じとおっしゃるのを聞いたことからです。
一方、『「若者の読書離れ」というウソ』(平凡社新書 2024)に続き、『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』(平凡社新書 2025)をこのほど出版した飯田一史氏。飯田氏はこの本の中で、本屋の危機は今に始まったことではないことを、様々なデータやインタビューを盛り込みながら伝えています。
6月にNPO法人読書の時間(代表 田口幹人氏)が主催する『賑わいを創出する図書館』出版記念トークイベントは、吉成信夫氏と飯田一史氏の対談です。読書の裾野を広げるために活動している田口氏は、図書館(公共・学校)と書店の垣根を取り払い、お互いを知ることが急務であると、この企画を立ち上げました。
7月31日(木)に開催する「みんなで学ぼう!学校司書講座2025・これからの学校図書館」は、書店・出版社・図書館が繋がり、0歳~18歳までの子どもの読書推進に取り組む北欧での実践について学び、これからの学校図書館を考える講座です。講師は、筑波大学教授の吉田右子氏です。図書館・書店・出版社の現状とこれからを考えるには、いずれも役立つ2冊ではないでしょうか。
(文責 東京学芸大学附属世田谷中学校 司書 村上恭子)