秋の夜長にミステリー(教育実習生と展示を作りました)
2025-11-10 13:52 | by 富澤 |
光村図書出版の4年国語の教科書にはミステリーを扱う単元として、「友情のかべ新聞」(はやみねかおる作)が掲載されています。
教育実習生がその単元を担当することになり「単元の最後にミステリーを読んで紹介しあう活動をしたいのですが、学校図書館にどんなミステリーが、どれくらいありますか」と相談を受けました。「はやみねかおる作品は、ここにあります。江戸川乱歩に、アガサ・クリスティー、コナン=ドイルらの古典もありますし、動物の名探偵が登場するものや、少年探偵団が活躍する本もありますよ」と、棚をめぐりながら紹介すると、目を輝かせて「こんなに本があるんですね、学校図書館の本を使った活動をぜひしたくなりました!」と喜んでくれました。間もなく、「受け持ちクラスの30人全員に、一人一冊ずつミステリーを読んでもらって、紹介しあうことにします」と方針が決まったので「それなら、図書館内にミステリーコーナーを作って、子どもたちに直接選んでもらうのはいかがでしょう」とご提案し、急遽一緒に展示を作成することにしました。
【古典コーナー】
絵本書架の周りの子どもたちが手に取りやすい場所に、①はやみねかおる作品、②教科書掲載作品、③絵本や幼年向けの読みやすいもの、④古典、⑤色々な名探偵、と分類してコーナーを作成、表示は実習生が作成してきてくれました。9類の棚のあちこちに配架してあるミステリー作品が、一堂に会するとなかなかの迫力です。メインターゲットである4年生はもちろん、「図書の時間」の読み聞かせで来館する低学年にも大いにアピールするコーナーとなりました。図書委員の6年生が、お気に入りの「都会のトム&ソーヤ」シリーズが目立つところにあることに気づき「これっ、めっちゃ面白いから!」と興奮気味に友人に薦める姿も印象的でした。
【はやみねかおるコーナー】
その後、実習生は粘り強く子どもたちに呼びかけ、誰がどんな本を選んだのか、読めているのか等を丁寧に追いかけてフォローし、紹介の授業までには、見事、全員が何かしらのミステリー作品を1冊まるごと読んでいる状態になっていました。授業を通じて、子どもたちがミステリー作品に出会い、ミステリーというジャンルの特徴を意識して読む中で、面白さに気づいていく様子がとても良く見え、手ごたえを感じたようでした。
【教科書掲載本コーナーの一部】
子どもたちが意欲的に本に向かう姿に刺激を受けて、4年生の国語を担当されている先生が、「他のクラスでも、ミステリーを読んで紹介しあう活動を入れることにします」と、実習が終わった後も引き継がれたので、4年生のほぼ全員が一度はこのコーナーを訪れ、品薄状態が続きました。普段クールなある女の子から「このコーナー、実習の先生が作ってくれたんでしょ?すごいよね。お願い、ずーっとこのコーナー残して!」との声も聞かれ、先生の情熱が子どもたちに響いた大成功の取り組みとなったのでした。
昨年から、実習講話の際に、5分程度、司書が図書館のアピールをする時間をもらえるようになったことも奏功して、実習生の図書館利用へのハードルが下がっているように感じます。今後も継続されてほしい、良い流れです。


【絵本・幼年と色々な名探偵のコーナー】
(東京学芸大学附属大泉小学校 司書 富澤佳恵子)