書架サインを一新!

2024-05-30 15:18 | by 中村 |

 今回はテーマ展示ではなく、図書館全体を支える書架サインについてご紹介します。

 春休み、かねてから気になっていた本校図書館の書架サインを新しいものに作り替えました(写真➀)。

   

 背の高い書架が並び、その間の通路はとても狭いので(幅90㎝しかない!)、書架の正面に立ってサインを見渡すことができない図書館です。そのため、遠くから見ても横からのぞいても見やすい案内を作る必要がありました。
 「館内に入って全体を見渡した時、どの場所にどんな本があるかをざっくり把握できる」図書館を目標に、主に以下の2つの書架サインをリニューアルしました。

 1. 見出しパネル

 書架の上に置く見出しパネルは、角度をつけて、横から見上げても文字が読みやすいようにしました。また、角度をつけると奥の文字が見えづらくなるため、すべての文字がよく見えるように少し高さを出しました(写真➁)。 文字は大きく、遠くからでもはっきりと読めるようにしました。
 通路のどちら側からも表示が見えるよう2枚のパネルを貼り合わせた見出しパネルは、角度を自由に変えられ、かつパネル単体でも倒れないように置くことができます(写真➂)。

   

 2. 側板サイン

 図書館奥へと進むメイン通路に対して直角に並んでいる書架。通路に面した書架側面を利用して、各列にどんな分類の図書が並んでいるか一目で分かるような側板サインを作りました(写真➃)。
 また、上部には突き出しサインで棚番号を取り付けました(写真➄)。これにより、カウンターが立て込んでいて直接案内できない時でも「外国文学は《G》の列にあるよ」などと生徒に示しやすくなりました。なお、棚番号は、分類番号と混同しないようにアルファベットで表記しています。

   

 
 見出しパネル・側板サインともに、以下の材料と作り方で制作しました。

【材料】 ・ハレパネ(スチレンボードの片面にノリが付いたパネル。今回は黒色を使用)
     ・ラミネートフィルム(マットタイプ)

【作り方】➀ 自校の蔵書に即した分類表示を見出し用・側板用で必要数作る。
       今回はWordを用い、黒い背景に白抜き文字を入れて作成。

     ➁ ➀をラミネート加工する(今回は艶消しが表面になるように加工)。

     ➂ ハレパネと➁をそれぞれの場所に適した大きさにカットする。
       見出しは2枚を中央で繋ぎ合わせる。

     ➃ ハレパネに分類表示を貼って掲示する。

 ポイントは、ラミネートフィルムをマットタイプにしたことです。これにより、どの角度からでも「光が反射して見えない」ということがなく、窓際や天井に近い位置でも見やすくなりました。
 あとは小さなことですが、色に統一感を持たせることも意識しました。ほとんどの書架が「側面は木目調だけれど棚板は黒いスチール」だったため、新しい書架サインにも黒いハレパネを使用しました。そのことで、カットした断面や裏側まで黒く統一感が出たため、来館した生徒から「なんだかかっこよくなった」という声をチラホラいただきました。書架サインの文字と背景色にはカラーユニバーサルデザインの考えも採り入れ、誰が見ても分かりやすい色の組み合わせを目指しました。

   

 リニューアル以前の書架サインは、作られてから年月を重ね、色褪せたり、収められた本の位置と微妙なズレが生じたりしていました。また、分類表示が大まか過ぎて、本を探す時にやや分かりづらい一面もありました。今回一新した書架サインで、それらが解消し、生徒が自分で探しやすく、また司書が生徒に案内しやすいようになったことを実感しています。作業はかなり大掛かりになり、時間もかかりましたが、一度制作したらなかなか取り替えることのないものなので、丁寧に作り、自分が納得できる形で運用していきたいと思います。

(東京学芸大学附属竹早中学校 司書 中村誠子)


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