『その本は』からミニ創作へ
2024-04-03 00:00 | by 宮崎 |
新学期、学校図書館オリエンテーションでは、図書館や本に関する本を読み聞かせたり、紹介することも多いかと思います。今年もたくさん図書館を使ってほしいという願いや、オリエンテーションで伝えたい図書館のしくみやルールなどにつながる絵本を選ぶこともあるでしょう。『としょかんライオン』(ミシェル・ヌードセン/著 岩崎書店 2007)や『コアラとお花』(メアリ・マーフィ ポプラ社 2001)など定番の本もありますね。今回紹介する『その本は』もそんなときにも使える1冊です。
『その本は』又吉直樹、ヨシタケシンスケ/著 ポプラ社 2022年
本校では、年度末の授業の振り返りの時期に、5年生に読み聞かせをしました。
この本は、年老いた王さまに「世界中のめずらしい本を読んで、その話を聞かせてほしい」と頼まれた二人の男が、旅の末に集めてきた話を「その本は」という語りだしで、夜ごと聞かせる、というものです。ヨシタケシンスケさんと又吉直樹さんがそれぞれに書いた短い話がたくさん入っていて、よくこんな発想が出てくるものだと感心したり、ちょっと感動したり、本好きにはたまらない1冊です。
5年生には、「今年もたくさん本を読んだね、これからどんな本に出会いたいかな」、と問いかけてから、この本の冒頭部分と、短編をいくつか選んで読み聞かせました。それだけでもじゅうぶんに楽しめる本ですが、今回はそのあとで、それぞれの「その本」を創作する取り組みを入れてみました。本型の画用紙のカードを用意し、そこに「その本は、」からはじまるショートショートを書いてもらうのです。『54字の物語』(氏田雄介作 PHP研究所 2018)などが人気だった学年でしたし、書くことを熱心にやっていたクラスでもあったので、全然書けないという子はおらず、とても楽しんで、何枚もカードを書く子も現れました。3文くらいで終わるものが多かったのですが、少し長めにオチまで工夫して書いている子もおり、ちょっとしたお遊びですが、なかなかいい取り組みだったと感じました。
書いたものは、4月のテーマ展示「本の本」と一緒に貼りだして、ほかの学年の子たちにも楽しんでもらっています。手軽にできて、楽しい取り組みでした。
(東京学芸大学附属竹早小学校 司書 宮崎伊豆美)