ブックトーク研修 in 三重
2011-09-04 22:16 | by 中山(主担) |
「授業を支える学校図書館~国語科でブックトークづくり~」
8月9日,三重県教育委員会主催による〈司書・司書教諭研修会〉が津市で行われました。
講師をされた 茨城県立水戸第二高等学校の司書・勝山万里子さんから紹介していただきます。
* * *
前任校の茨城県立佐和高等学校の国語の時間に行った「生徒によるブックトーク」の実践をもとに
研修者たちも実際に作ってみる演習をしました。
その中から1つ、紹介します。 ブックトーク テーマは「秋」……
*秋といえば何を思い浮かべますか?いろいろあると思いますが、たとえば、どんぐり!
どんぐりと言えばこの本!
『どんぐりと山猫』(宮沢賢治著:mikihausu 2006年)
秋の土曜日の夕方,一郎のところに「おかしなはがき」が届きました。
差出人は山ねこ。゛めんどなさいばんしますから,おいでなさい゛というのです。
実はそれは゛いちばんえらいどんぐりはだれなのか゛を決める裁判でした。
一郎はどんな判決をくだすのでしょうか・・・。
(どんぐりがたくさん載っている裁判シーンを見せる)
*たくさんのどんぐりが出てきましたが,本物のどんぐりを使った遊びが紹介されている本もあります。
『森の工作図鑑vol.1 どんぐりまつぼっくり』
(岩藤しおり いかだ社 2006年 )
秋は公園などにどんぐりやまつぼっくりがたくさん落ちています。いろんな形のどんぐりやまつぼっくりを使った工作の例が紹介されている本です。 (どんぐりのケーキ屋さんのページを見せる)
*おいしそうなどんぐりのケーキが出てきましたが,食欲の秋!です。
本当に食べられる、でも体重を気にせずにすむ、レシピのメニューも紹介します。
『体脂肪計タニタの社員食堂~500Kcalのまんぷく定食~』
(タニタ著 大和書房 2010年)
体重計を作っている会社タニタ。その社員が太ってはいけないとカロリー計算された社員食堂のレシピ。たくさん食べたいけど食べ過ぎても困りますよね。こんなに食べてカロリーこんだけ!のメニューが嬉しいです。
*太らないための努力をしている人といえば
モデルでしょうか。
『レッドマスカラの秋』 (永井するみ著 理論社 2008年)
17歳の女子高校生でありながら,モデルとして活躍する友人がトラブルに合う。彼女を助けようと探偵役に乗り出す主人公。背後には企業の争いが・・・。理想を持って闘う女性社長の生き方もすがすがしい!
どんぐりからマスカラまで、秋に気になるものを紹介しました。さて、あなたの「秋」は、どんな本が気になりますか……。
* * * * * * *
打ち合わせなしで持ち寄りった本から1時間で作ったブックトークです。お見事!さすが学校図書館の担当者ですね。
研修は以下のように進めました。
1.事前に<旅・秋・友達・命・家族>のテーマから一つ選び,本を1冊用意。
2.テーマごとに4~5名のグループになり持ち寄った本を互いに紹介。
3.どの順番にするか,つなぎの言葉をどうするかなどの話し合い。
4.台本づくりをし, 模造紙に書いて、最後に発表。
自分の持ってきた本を「紹介する」 「話し合う」という時間は、「言語活動の充実」の具現化となる時間でもあり、重要なところです。
生徒だったらどんな話し合いになるか,どこで躓くか,どのくらいの時間があったらよいかなど、
体験することによって、実際の授業に生かすことができます。
また,話し合いを重視するか,発表を重視するかによって
「グループブックトーク」にするか「個人ブックトーク」にするか、形態も異なってくると感じました。
「生徒にどんな力をつけたいか」で様々なアプローチや形態が生まれてくるのです。
誰に向けて作るブックトークなのか、対象もはっきり意識させたいものです。本のセレクトが違ってきますから。
生徒の場合は、まずはお互い同士からでしょうが、他学年対象だとまた違ってくるかもしれませんね。
研修後の感想で「ブックトークが授業になることに目からウロコ」とありました。 三重の皆様、お疲れさまでした。
国語科のみならず,さまざまな教科の先生と「生徒によるブックトーク」が出来るかもしれませんね。
また、実践報告していただけたらと思います。
(茨城県立水戸第二高等学校 勝山万里子)
〈参考〉
大塚健太郎、中山美由紀「子どもたちがブックトークに挑戦!」『学校図書館』660,2005.10,p22-24
SLiiiC>活動事例の紹介>東京学芸大学附属小金井小学校の授業見学 < http://www.sliiic.org/?page_id=308 > [引用日 2011.9.11]
中山美由紀「子どもたちが行うブックトーク交流会」 『小学図書館ニュース・付録』 第825~839号 少年写真新聞社 2008年9月~2009年2月
勝山万里子「ともにつくるブックトークの授業」 『学校図書館員の専門性を探るPart3 日本図書館協会学校図書館部会 第39回夏季研究集会東京大会報告集』2011年 p35‐42
2010年秋、慶応普通部の鈴木淑博教諭、庭井史絵司書教諭、西村賢子司書の協働授業、中3のブックトークづくりも見学させてもらいました。
〈追記〉
『月刊中等教育資料 2012年11月号』において、勝山万里子さんは
実践研究「学校図書館を活用した言語活動〈STARTプログラム〉の実践/茨城県立水戸第二高等学校」を執筆されました。
http://www.fujisan.co.jp/product/1281680124/b/862603/
『月刊中等教育資料 2012年11月号』において、勝山万里子さんは
実践研究「学校図書館を活用した言語活動〈STARTプログラム〉の実践/茨城県立水戸第二高等学校」を執筆されました。
http://www.fujisan.co.jp/product/1281680124/b/862603/