こんな仕事があったとは!
2015-07-05 09:54 | by 中山(主担) |
杉並区立浜田山小学校司書 永田 美穂
このブックトークは、大妻女子大学 司書教諭課程「読書と豊かな人間性」のゲスト講師として学生さんに聞いてもらったものをもとに再構成しました。今年度、実際に高学年児童に向けて、実演の予定です。
* * * *
皆さんは大きくなったら、何になりたいですか?サッカー選手?アナウンサー?学校の先生?それとも、社長さんですか?
私の仕事は司書です。司書が働くところは図書館ですね。ある日、その図書館にライオンがやってきました。図書館で働く人は驚き、慌て、館長に相談するために走ります。館長は「図書館で走ってはいけません。」と釘を刺し、「図書館の決まりを守るならば、そのままにしておきなさい。」と当たり前のように言いました。館長さんは、司書のお手伝いをライオンにしてもらいます。書棚の掃除をしたり、読みきかせを聞く小さな子どもたちの相手をしたり、本の返却を過ぎた人に出す手紙の切手を貼ったり…。ライオンはの人気ものになっていきます。
ところがところがある日、
このライオンが事件を起こしてしまいます。さて、ライオン君はどうなったのでしょうか?
実は、ニューヨークの図書館の入り口には2頭のライオンがいます。(写真を見せる)まるで図書館を見守っているようです。アメリカではライオンは図書館のシンボルとして、人気があるのですよ。
写真を撮るときに手前にピントを合わせると遠くの背景がぼやけることはありませんか?
栗原さんは虫を大きく写し、遠くの景色にもピントが合った写真を撮りたいがために、「虫の目カメラ」を作りました。虫を驚かさずに撮影するために細長い筒をカメラに取り付け、レンズを何種類も組み合わせました。
このレンズは100枚以上試し、2年もかけて、ようやく納得のいくカメラが出来上がったそうです。
栗林さんは昆虫の撮影に強い拘りをお持ちの方ですね。そして、納得のいく写真を撮るためにはカメラを手作りする程です。
こちらの『しごとば』の人たちも、素晴らしい技術と手作業で、日本で一番高いタワーを造りました。
東京スカイツリーは最先端の技術だけで造られたのではありません。
実は人の力が結集しているのです。
まずは設計士がタワーの形やしくみを考えます。模型製作者が何台も模型を作っていますね。デザインを考える意匠設計士、建物が建つしくみを考える構造設計士、電気の配線をなどを考える設備設計士たちが協力して設計していきます。
次に鉄工員が鉄骨を手作業で加工します。スカイツリーの鉄骨37000本以上あります。一番大きな鉄骨は直径2.3m厚さ10cmもあり、丸めるのも一日がかりです。
そしていよいよ現場監督と職人たちの力で鉄骨を組み上げて行きます。
鉄骨の組み上げをするとび工は、持ち物を全てストラップで体に繋ぎます。ボールペン1本も必ず繋ぎます。何故だと思いますか?
3階から物を落としただけでも、下にいる人に当たったら、怪我をさせてしまいますね。その物が634mから落下したと想像してみて下さい。とんでもない事故になります。
クレーンオペレーターは、作業現場に鉄骨を釣り上げる仕事をします。30tもの鉄骨を正確な場所に釣り上げます。また、一日中タワークレーンの中で仕事をします。食事もトイレもタワークレーンの中です。
このように多くの専門家が関わり、細心の注意を図って出来上がったのが東京スカイツリーです。
一方こちらは、全くこだわりがなく、好きでもない林業の世界に放り込まれた青年の話です。
この本の主人公、平野勇気は高校卒業後、コンビニのアルバイトを続けて、フリーターになろうと思っていました。そんな彼を心配した担任の先生や親が、本人には何も知らせず、勝手に林業の研修生の応募をしてしまうのですが、なんと採用されてしまいます。
行かされたところは、携帯はつながらず、何本も電車を乗り継ぎ、駅からバスもなく、車でないとたどり着けないような山奥でした。やった事のない山仕事、木を切ったり、下草を刈ったり、木に登ってチェーンソーで枝を掃ったりしなくてはなりません。村の人の中には、彼をよそ者扱いする人もいて寂しい思いをするのですが、研修生は、一年間は続けなければなりません。果たして一年ももつのでしょうか?
どうやら、好きな人が出来たり、お祭りを楽しんだり、子どもになつかれたりと、嫌なことばかりでは無いようですよ。
同じように、高校卒業後の進路がうまく決められなかった女の子がここにいます。
高校を卒業してから1か月。なんとか仕事を見つけなければと焦りながら入ったデパートの地下で、和菓子屋に勤める決心をします。食べることが好きなのと、自分の体形にコンプレックスがあり、太めであることがこの仕事ならばプラスになるのではないかと考えたからです。
ところで和菓子には一つ一つに意味があり、季節があることを知っていますか?例えば、5月ならば「兜」「薔薇」「おとし文」が季節の和菓子だそうです。「おとし文」は巻いた葉に露がとまった形をしています。虫がこのような形に葉を落とすのを見た人が、「おとし文のようだ」と言った事が始まりだそうです。
ある日、会社員が「兜」を9個と「おとし文」だけ1個を買っていきました。なんともバランスの悪い買い方です。不思議に思った従業員たちの推理が始まります。
実は「おとし文」には、ある意味があるのです。
「会社」「おとし文」が大切なキーワードです。まるで推理小説のように、和菓子の従業員たちが謎を解いていきます。素敵な女性店長は実は株の投資が好きだったり、格好良い男性従業員が女の子らしい性格をしていたり、登場人物がとても個性的です。
こんな仕事があるとは、知っていましたか?どの仕事も奥深く、知れば知るほど魅力的です。学校の図書館、街の図書館で本を手に取って、研究してみて下さい。図書館のどこかにライオンが隠れているかもしれませんけどね。
実は、ニューヨークの図書館の入り口には2頭のライオンがいます。(写真を見せる)まるで図書館を見守っているようです。アメリカではライオンは図書館のシンボルとして、人気があるのですよ。
司書の仕事はライオンがお手伝いしたことだけではありません。本の相談に応じたり、図書館に入れる本を決めたり、お話会を開いて本を紹介したりします。この本は、その他27のお仕事をインタビューするように紹介しています。あなたのなりたいお仕事が載っているかもしれませんね。
図書館には 「司書」の資格を持つ人が働いています。では、「博物館」ではどんな資格をもって
図書館には 「司書」の資格を持つ人が働いています。では、「博物館」ではどんな資格をもって
誰が働いているか知っていますか?
そうです、学芸員といいます。上野にある国立科学博物館には400万点の収蔵物があります。なかでも、人気の恐竜の化石標本は学芸員が作っています。学芸員は化石の発掘に行くのはもちろん、化石の周りの岩石を削って化石だけを取り出すクリーニングをしたり、CTスキャンを使って化石を壊さずに中を調べたり、レプリカを作ったりして、最新の恐竜研究を元に復元骨格を組み立てます。とても細かく慎重に作業を行っています。
学芸員ではありませんが、こちらには、とても細かく慎重に昆虫の写真を撮っている専門家がいます。
昆虫カメラマンという仕事をしている栗林慧さんです。
栗林さんはヤゴがメダカをつかまえる瞬間や虫たちが空を飛んでいる瞬間を撮影するために「光センサー撮影システム」というカメラを作りました。光センサーとは駐車場から車を出すときに車がセンサーの前を通り、光が遮られることでセンサーが反応して自動的にブザーが鳴る仕組みの事です。
そうです、学芸員といいます。上野にある国立科学博物館には400万点の収蔵物があります。なかでも、人気の恐竜の化石標本は学芸員が作っています。学芸員は化石の発掘に行くのはもちろん、化石の周りの岩石を削って化石だけを取り出すクリーニングをしたり、CTスキャンを使って化石を壊さずに中を調べたり、レプリカを作ったりして、最新の恐竜研究を元に復元骨格を組み立てます。とても細かく慎重に作業を行っています。
学芸員ではありませんが、こちらには、とても細かく慎重に昆虫の写真を撮っている専門家がいます。
昆虫カメラマンという仕事をしている栗林慧さんです。
栗林さんはヤゴがメダカをつかまえる瞬間や虫たちが空を飛んでいる瞬間を撮影するために「光センサー撮影システム」というカメラを作りました。光センサーとは駐車場から車を出すときに車がセンサーの前を通り、光が遮られることでセンサーが反応して自動的にブザーが鳴る仕組みの事です。
写真を撮るときに手前にピントを合わせると遠くの背景がぼやけることはありませんか?
栗原さんは虫を大きく写し、遠くの景色にもピントが合った写真を撮りたいがために、「虫の目カメラ」を作りました。虫を驚かさずに撮影するために細長い筒をカメラに取り付け、レンズを何種類も組み合わせました。
このレンズは100枚以上試し、2年もかけて、ようやく納得のいくカメラが出来上がったそうです。
こうして作られたカメラで出来た写真絵本がこちらです。『アリからみると』
栗林さんは昆虫の撮影に強い拘りをお持ちの方ですね。そして、納得のいく写真を撮るためにはカメラを手作りする程です。
こちらの『しごとば』の人たちも、素晴らしい技術と手作業で、日本で一番高いタワーを造りました。
東京スカイツリーは最先端の技術だけで造られたのではありません。
実は人の力が結集しているのです。
まずは設計士がタワーの形やしくみを考えます。模型製作者が何台も模型を作っていますね。デザインを考える意匠設計士、建物が建つしくみを考える構造設計士、電気の配線をなどを考える設備設計士たちが協力して設計していきます。
次に鉄工員が鉄骨を手作業で加工します。スカイツリーの鉄骨37000本以上あります。一番大きな鉄骨は直径2.3m厚さ10cmもあり、丸めるのも一日がかりです。
そしていよいよ現場監督と職人たちの力で鉄骨を組み上げて行きます。
鉄骨の組み上げをするとび工は、持ち物を全てストラップで体に繋ぎます。ボールペン1本も必ず繋ぎます。何故だと思いますか?
3階から物を落としただけでも、下にいる人に当たったら、怪我をさせてしまいますね。その物が634mから落下したと想像してみて下さい。とんでもない事故になります。
クレーンオペレーターは、作業現場に鉄骨を釣り上げる仕事をします。30tもの鉄骨を正確な場所に釣り上げます。また、一日中タワークレーンの中で仕事をします。食事もトイレもタワークレーンの中です。
このように多くの専門家が関わり、細心の注意を図って出来上がったのが東京スカイツリーです。
一方こちらは、全くこだわりがなく、好きでもない林業の世界に放り込まれた青年の話です。
この本の主人公、平野勇気は高校卒業後、コンビニのアルバイトを続けて、フリーターになろうと思っていました。そんな彼を心配した担任の先生や親が、本人には何も知らせず、勝手に林業の研修生の応募をしてしまうのですが、なんと採用されてしまいます。
行かされたところは、携帯はつながらず、何本も電車を乗り継ぎ、駅からバスもなく、車でないとたどり着けないような山奥でした。やった事のない山仕事、木を切ったり、下草を刈ったり、木に登ってチェーンソーで枝を掃ったりしなくてはなりません。村の人の中には、彼をよそ者扱いする人もいて寂しい思いをするのですが、研修生は、一年間は続けなければなりません。果たして一年ももつのでしょうか?
どうやら、好きな人が出来たり、お祭りを楽しんだり、子どもになつかれたりと、嫌なことばかりでは無いようですよ。
同じように、高校卒業後の進路がうまく決められなかった女の子がここにいます。
高校を卒業してから1か月。なんとか仕事を見つけなければと焦りながら入ったデパートの地下で、和菓子屋に勤める決心をします。食べることが好きなのと、自分の体形にコンプレックスがあり、太めであることがこの仕事ならばプラスになるのではないかと考えたからです。
ところで和菓子には一つ一つに意味があり、季節があることを知っていますか?例えば、5月ならば「兜」「薔薇」「おとし文」が季節の和菓子だそうです。「おとし文」は巻いた葉に露がとまった形をしています。虫がこのような形に葉を落とすのを見た人が、「おとし文のようだ」と言った事が始まりだそうです。
ある日、会社員が「兜」を9個と「おとし文」だけ1個を買っていきました。なんともバランスの悪い買い方です。不思議に思った従業員たちの推理が始まります。
実は「おとし文」には、ある意味があるのです。
「会社」「おとし文」が大切なキーワードです。まるで推理小説のように、和菓子の従業員たちが謎を解いていきます。素敵な女性店長は実は株の投資が好きだったり、格好良い男性従業員が女の子らしい性格をしていたり、登場人物がとても個性的です。
こんな仕事があるとは、知っていましたか?どの仕事も奥深く、知れば知るほど魅力的です。学校の図書館、街の図書館で本を手に取って、研究してみて下さい。図書館のどこかにライオンが隠れているかもしれませんけどね。
こんな仕事があったとは!【ブックリスト】
『ただいまお仕事中 大きくなったらどんな仕事がしてみたい?』おちとよこ文 秋山とも子絵 福音館書店 1999
『としょかんライオン』ミシェル・ヌードセン/著 岩崎書店 2007
『博物館の一日』いわた慎二郎/作 講談社 2012
『栗林さんの虫めがね瞬間』栗林慧/著 フレーベル館 2004
『栗林さんの虫めがね発見』栗林慧/著 フレーベル館 2004
『アリからみると』桑原隆一/文 福音館書店 2004
『しごとば東京スカイツリー』鈴木のりたけ/作 ブロンズ新社 2012
『神去なあなあ日常』三浦しをん/著 徳間書店 2009
『和菓子のアン』坂木司/著 光文社 2010 (文庫 2012)
『としょかんライオン』ミシェル・ヌードセン/著 岩崎書店 2007
『博物館の一日』いわた慎二郎/作 講談社 2012
『栗林さんの虫めがね瞬間』栗林慧/著 フレーベル館 2004
『栗林さんの虫めがね発見』栗林慧/著 フレーベル館 2004
『アリからみると』桑原隆一/文 福音館書店 2004
『しごとば東京スカイツリー』鈴木のりたけ/作 ブロンズ新社 2012
『神去なあなあ日常』三浦しをん/著 徳間書店 2009
『和菓子のアン』坂木司/著 光文社 2010 (文庫 2012)