『ライブラリー学校図書館V O L.01 読書と豊かな人間性』

2023-11-14 17:55 | by 富澤(主担) |

 学習指導要領に謳われる「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」を本当に推進していくために、これからの学校図書館を運営していく専門職にとって必要な知識・技能とは?「学校図書館のモデルカリキュラム」で示された科目にも対応した「学校図書館学」を学びたい人々に向けた新しいシリーズ全8巻が刊行予定です。

金沢みどり・雪嶋宏一 監修
金沢みどり・河村俊太郎 著
勉誠社
2023年8月
ISBN:
978-4-585-30401-2
定価:2,750円

その第1巻目となる本書は、「読書の意義と読書教育」から「読書教育の課題と今後の展望」まで、全13章で、学校図書館に止まらず、様々な視座から子どもの読書環境、及び、読書教育についての重要な情報をコンパクトに提示してくれています。

 全ての章において、まず「本章の要点」を置き、章末には引用参考文献表が備えられている丁寧なつくりで、索引も充実しています。内容からも本のつくりからも、必要な情報の全てを、読者にわかりやすく届けようという志が伝わってきます。

本データベースについても、第9章「各教科などにおける学校図書館の活用と読書指導」の第2節「各教科における指導と実践」において、学校図書館が授業に提供している資料を分析した研究の紹介という形で言及がなされており、授業実践の蓄積が、研究にも資する資料となっていることを認識させてもらいました。

 個人的には、「学校図書館の教育力がもたらすゴールとは、生涯学習者の育成である」(p.53)と言い切る一言に、日々の業務のなかで感じるものの、固まり切らずモヤモヤとしていたもの、そして、目指すべき方向性が急に明確に見えたような感覚を覚えました。シリーズの全てが出揃うのが今から楽しみです。 
                        (東京学芸大学附属大泉小学校 司書 富澤佳恵子)

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