『プロジェクトの学びでわたしをつくる』軽井沢風越ラーニングセンター 編

2024-07-03 16:30 | by 村上 |

 ページをめくると、最初にあるのは、そもそも「プロジェクト」とは何か…という軽井沢風越学園理事長の言葉です。それを読む限りでは、「プロジェクト」とは、とりあえず前に向かって何かを投げてみることであり、それによって予測不能な何かを引き起こすことを面白がる集団でありたいと考えているようです。

 軽井沢風越学園は、「子どもこそが作り手である」と学習者を真ん中に置き、探究の学びを志向する学校です。「12年つづく探究の学び」をカリキュラムの大きな柱としています。いわゆる一斉授業であるならば、先行研究や先行実践の蓄積により、技術的熟達の道がある程度体系化されているが、学習者中心の学びは国内には蓄積も少なく、道筋も体系化されていない。この本は、プロジェクトの核となる理論やこれまでの実践、その手応えや課題、そこから生み出されたツールをテキスト化しようと試みた1冊です。多くの国公立学校で、「探究」を取り入れた学びが行われ始めています。が、そもそも、「学び」とは、本来探究的な営みではないでしょうか。

 2024年、9月7日(土)に開催する「みんなで学ぼう!学校司書講座2024」は、軽井沢風越学園の司書教諭、大作光子さんと、国語科教諭、澤田英輔さんのお二人に、”「探究」を学びの中心に置く軽井沢風越学園の実践”と題して、講演をお願いしています。大きなテーマは「探究と読書」です。

 風越学園の学校図書館=ライブラリーは、校舎内に広がるように書架が置かれています。NDCを基本にしつつも、4つのエリアにわかれたライブラリーで、子どもたちの学びを支えてきた大作さんに、4年目に入った風越での手応えや、課題について伺いたいと思います。

 一方、東京の中高一貫校の国語科教員だった澤田先生は、読書教育とライティング教育を専門とされて、風越でもそれは変わりません。2024年4月、岩波ジュニアスタートブックスから『君の物語が君らしく-自分をつくるライティング入門』を出版されました。澤田先生は、「書くことについての僕自身の物語を書いてきた」と最終章で書かれています。風越に来たからこそ書けた1冊だとも。

 読むことと書くことを専門にされてきたお二人に、風越での実践についてたっぷりうかがえる贅沢な研修です。皆さんのご参加をお待ちしています。

(東京学芸大学附属世田谷中学校 司書 村上恭子)


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