給食指導に!紙芝居「にがてなたべものにチャレンジ!!」

2013-11-10 08:01 | by 中山(主担) |

低学年を対象とした、偏食指導用の紙芝居です。

安部景奈 作/絵 赤松利恵 監修   『にがてなたべものにチャレンジ!! 』  建学社 2012年 ISBN:978-4-7797-0289-1
 
 主人公のお茶太郎くんには、苦手な食べ物がたくさんあります。しかし、苦手な食べ物が給食に出たとき、お茶太郎くんは いろいろな「工夫」をして、苦手な食べ物にチャレンジします。給食を残さず食べられたお茶太郎くんは、残さず食べると起こるいろいろな「いいこと」に気づきます

このシンプルなストーリーが、4日間繰り返されます。給食の時間に使えるように、1日5分程度でできるようになっています。そして、5日目には… 

 最後には何の工夫もせずに、苦手な食べ物を食べられるようになり、給食を残さなくなります。

実は、この紙芝居には、食育を含む健康教育の世界で注目されている「行動科学」の理論が使われています。

その理論では、人がある行動を実行するには、その行動をすると「いいことがある」という気持ち(結果期待)と、自分がその行動を「実行できる」という気持ち(効力期待)が必要だとされています。
そう、お茶太郎くんが残さず食べられるようになったのは、工夫して苦手な食べ物でも食べることで、「できる」という自信が高まり、残さず食べると「いいこと」があるということがわかったからなのです。

気をつけたいのは、お茶太郎くんが苦手な食べ物を食べるために使う「工夫」は、あくまでもチャレンジするためのきっかけのひとつであり、自信を高めるためのものであるということ。
最終的にはお茶太郎くんのように自信を持って、工夫をしないでも食べられるようになることを目指しています。







紙芝居を実践した学校からは

「短時間で出来て、子どもにもわかりやすい内容なので使いやすい。」

「子どもたちが毎日楽しみにしていた。反応もとてもよく、驚いた。」

「工夫してチャレンジしようとする子が増えた。」

「嫌いな食べ物がないという人も自信を持った。」

といった声が寄せられています。

この紙芝居が効果を発揮するか否かは、紙芝居が終わってからの指導にかかっています。
紙芝居の解説に載っている「自信を高める指導の方法」は、行動科学に基づいたもので、担任の先生が日常的に実践できる内容です。紙芝居とあわせて活用してください。

  お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科 (元 東京学芸大学附属小金井小学校栄養教諭) 安部 景奈 




・編集部 追記

『食育フォーラム」(建学社2012年8月号)には、特集記事が掲載されています。

この紙芝居は 電子ブックで 立ち読みができます。
http://www.ken-ebook.com/kamishibai_ni-c/_SWF_Window.html


・その他 の掲載誌の情報は以下です。後者は学会発表されたものです。

安部景奈,赤松利恵「実践力を高める食育 小学校における給食の食べ残しについて」『学校保健研究』2009,53(6),490-492

安部景奈,赤松利恵「社会的認知理論に基づいた給食時間における食べ残し指導に関する紙芝居教材の開発と実践活動のプロセス評価」『日本健康教育学会誌』2011,20(特別号),43-51

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