コミュニティデザインを考える

2017-01-13 16:52 | by 渡辺(主担) |

 
 
 人口が減少していく地方都市の未来。地元の特色を活かし工夫をして地域を活性化させ、住民が誇りをもって暮らせる町づくりはできないものか・・・。こうした地方再生やコミュニティのデザインについて個人研究のテーマとする生徒たちが毎年おり、関連資料を増やしています。
  今回は昨年の図書館総合展で、共にLibrary of the Year2016の優秀賞を受賞した、岩手県紫波町のオガールプロジェクトの本を生徒に紹介しました。
『町の未来をこの手でつくる』猪谷千香 幻冬舎 2016年
岩手県の紫波中央駅の駅前の広い空間は、数年前まで雪捨て場としてしか使われていないような何もないところでした。ところが再開発後、人口3万人の町に年間90万人もの人が訪れるような町に変貌をとげたのです。
紫波町のおこなったプロジェクトの最大の特徴は、「公民連携」。けして大企業に頼ることなく官と民が共に目的を決定し、施設の建設、運営、資金調達を分担しながらおこなったのです。
補助金がなくても町が生まれ変わる。他の地域の創生にもヒントとなる工夫や知恵が書かれています。

 
 
 国も地方創生をうたうなか、コミュニティを活性化させようと活動をしている地方都市は紫波町だけではありません。こちらの本では日本の北から南まで、全国各地
からユニークなコミュニティデザインが紹介されています。
『地域を変えるデザイン-コミュニティが元気になる30のアイデア-』
筧裕介 英治出版2011年
大阪府大阪市では増える路上生活者のために、「路上脱出ガイド」という自立支援ガイドブックを作成。路上で生活をしている人たちが”仕事を探したい” ”体調がすぐれない” "食べ物がない” など困っているときにどこに行けばいいのかがわかるガイドブックです。このガイドは東京でも23区版がつくられるほど、好評でした。
また、富山県富山市の「タケオカ・カー」は、高齢者や身体が不自由な人のためにミニカーを作成。開発をしたのは従業員わずか11名の町工場ですが、足にハンディがあったり、車いすのままでも乗車できることから、今では高齢で買い物が難しい他県の人たちからの受注も増えているそうです。
(東京学芸大学附属国際中等教育学校:渡辺 有理子)

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