カラーユニバーサルデザイン

2016-09-04 19:38 | by 小野寺(主担) |

今年4月に施行された障害者差別解消法により、国公立学校では合理的配慮の提供が法的義務となりました。
具体的にどのようは配慮を行うかは、その学校現場の状況によって異なってくるでしょう。
多様な状況を想定して、事前の配慮を行っていくことも考えられます。




『考えよう 学校のカラーユニバーサルデザイン』

  彼方始著 教育出版 2013年

2003年以降、学校で実施される児童・生徒の定期健康診断から削除された色覚検査。
しかし現在でも、色弱者は日本人の男性の20人に1人、女性の500人に1人、40人クラスならば1人の割合でいると考えられています。

本書は、色弱の子どもが学校や日常生活の中でどんな場面で困っているのか、教師や周囲の大人がどのような配慮や工夫をするとよいのかを、具体的な事例を挙げながらイラストで解説しています。

Ⅰ「ぴーたの日記」 では、小学校3年生の男の子ぴーた君が、大好きなサッカーをしているとき、赤いゼッケンの仲間ではなく、緑色のゼッケンをつけている相手チームにボールをパスして怒られたことや、土曜日におじいちゃん家に行くときにオレンジ色の電車に乗るように言われたけれど、電車の見分けがつかなかったことなどを絵日記に書いています。

Ⅱどう困る? どう工夫する? では、「学校へ行くとき」「教室で」「体育や図工の時間」等の状況に合わせて、色弱者の見え方とその改善方法を具体的に解説しています。

Ⅲ資料編 では、カラーユニバーサルデザインの基礎知識を丁寧に解説しています。

読後、あらためて周囲を見渡すと、私たちの生活空間には、色によって表現されているものがたくさんあることに気がつきます。色は大勢の人にわかりやすくするための工夫のひとつで、魅力的にもなります。しかし一方で、色だけの表現方法では不自由さを感じる人もいることという意識を持った上で、もう一度見渡してみるとさまざまな気づきがあります。改善点も考えられそうです。
これも合理的配慮に向けた第一歩なのではないでしょうか。
(東京学芸大学附属大泉小学校 小野寺愛美)

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